第5話ハートギアシステム

 姉さんの話はさらにスペックについての専門的なものにまで及んだ。

 大臣だって逃げ口上に仕事を上げただろうに早くも四面楚歌だった。


 ところで姉さんが元素分解されていないのは何故かというと、

「マシンメトリィの説明をマシンメトリィにさせても信頼は得られないからね?」

 だそうだ。


 それにそのプログラムを組むより口で言った方が早いじゃん。

_まぁそうだよな。

 前を見たまま俺にだけ聞こえるように姉ちゃんは言った。


 そうだ。わかるわからないの話じゃない。

 誠意が伝わらない。

 それくらいは俺にもわかった。

「ところでマシンメトリィには生殖機能があると言ったね?何のためかな?」


 おっさんそういう目で人を見んなよ。

 思わず一歩前に出た俺を姉ちゃんは目で制してから、

「ええ、マシンメトリィは介護、介助、病気のみならず、生殖機能の改善またはそれに伴う行為の補助、教育も考えています」


 では実際に、、


「ですがそれはある条件下においての限定解除の機能となっております」


 人間ならば気持ちに関わらず体は反応してしまいますが、マシンメトリィの場合はそれを未然に防ぐため、ハートギアシステムを採用させて頂きました。

 そうすることで被害者も少なくできるはずだと。


「ハートギアシステムとは?」


 好感度と考えて頂ければわかりやすいかと。

 人間も好きでもない相手には触られたくないですよね?

 そういうことです。

 好きじゃない人に触られても体は反応しないようにすることができます。


 因みに旧型マシンメトリィには体内に入り込んだウィルスから血清を自動精製する機能が備わっています。

 それを使えばもし不性行為に及んだ場合でも対応できます。

「姉さんいつの間に」

 母さんには内緒だよ?


「そうか。では認可しない理由はないというワケか。耐用年数は推定?」


 一応10年ごとの整備込みで保険適応が妥当かと考えています。

 耐用年数はそれによっては異なるかと。

「では早速整備工場の、、「待って下さい」

「全国の医療機関に医療用マシンメトリィを配属して頂くだけで結構です」

 医療機関に配属されたマシンメトリィにマシンメトリィを診察して頂けるだけで。


 大臣は暫く思案した後、

「わかった。その件についてはこちらで手配しよう」

「博士。民衆への周知は完了しました」

 こちらの話がひと段落つく頃、姉さんと同じ顔をしたマシンメトリィが別室から戻ってきた。

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