ネバー・エンディング・ストーリー
失恋街道まっしぐら!
「・・・ほんと、ベタすぎる台詞だよ、それ」
「だぁっ、てぇ、しょうがないでしょぉふえ~ん」
弟シナノは最近では姉ミナノが横で発する不快な音を回避することはせず、逆に不快な音を増幅させる側に回っていた。
ミナノはシナノという愚痴のぶつけ相手に出会うと、暴走に等しい口調でどこまでも止まらない。
「今回は何だったのさ。姉ちゃんの玉砕理由は」
「品乃っ・・・あんた少しは言葉を選びなさいよ言葉をっ!」
「いつも言葉を選ばない姉ちゃんに言われたくないね、まったく」
こんなやりとりも初めてではないのだけど毎回新鮮そのものだ。
それは深く突っ込まないことにしておいて、シナノは姉の証言を待った。
ミナノは促さなくても勝手に喋った。
「佑くんがねっ、散々あたしのことが一番だとか言っといて二股かけてたんたよ!?
しかも二股してたもう一人に本気になったとか要らないことを正直に喋るなっての!!」
「はぁ・・・二股の末に敗れたのね」
「それ以上言わないでえぇぇ」
生傷を抉られるミナノの泣き声は激しさを増した。
でもシナノは何となく分かっている。
いくら泣いたって、ミナノは懲りない。
また明日には、新しい恋の相手を見つけていることだろう。
諦めの悪さがある意味ミナノの特権なのだ。
ひたすら気になる相手に出会えたら、ひたすらど直球に突っ込んでいく。
素直なのは良いことなんだけど、素直過ぎて駆け引きとかいろいろはまったく眼中になくて、だいたいきっと相手にドン引きされてる。
都合のいい女か、ただただ好意が怖い的に見做されて、ろくに理解されないままに近付いてもすぐに離れていく。
またいつか、ミナノはこうやって恋に挫折するだろう。
シナノはそれに、うんさりしながらも耳を傾ける。
そしてこんな物語の一場面が出来るだろう。
恋多きミナノの恋愛ベタが治らない限り。
「・・・ねえっ、今なんか変なこと考えてたよねっ!品乃っ!?」
「そりゃするよ。いつまで経ってもワンパターンなんだもん、
いい加減気付きなって・・・バカ姉」
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