15話 元カノは行動を起こします
学校が終わって、放課後になった。
今日は、泉ちゃんに言って、一人で帰ることにした。
理由は、昨日の平川くんとの会議で、これからは今まで通り、少しずつ距離を詰めていくことになったからだ。
だから、私はスーパーへ行って、二人分の食材を買うことにした。
「今日は何にしようかな…!」
私は、鼻歌交じりにスーパーへと向かった。
私は、家に帰ると、少し下準備をして、海斗君の部屋のインターホンを鳴らした。
しかし、少し待っても反応がなかった。
「あれ?まだ帰ってきてないのかな?」
少し心配になった時だった。
━ピロンッ
メールが来た。
何かと思って開いてみると、「海斗と今別れた。もうすぐそっちに着くと思う」と書かれていた。
「平川くん…ご丁寧にありがとうございます」
私はそう呟くと、ドアにもたれかかって帰りを待つことにした。
少しして、海斗君は現れた。
「朱音……」
海斗君は、思わずこぼれたと言った感じで、私の名前を口にした。
私は、ドアから体を離しながら、ゆっくりと海斗君の方へと向いた。
そんな私に、海斗君は少し疲れたような口調で、こんなことを言ってきた。
「どうしたんだ?また鍵でもなくしたのか?」
海斗君は、そう言うと軽く歩きながら、こちらへと向かってきた。
私を通りこすようなペースで。
私は、以前のことをからかわれたことに、少しだけ恥ずかしくなりながらも、ここで作戦を決行しなくてはダメだと思い、私はいつも通り、海斗君を誘った。
「う、うんうん、違うよ。今日の夜ご飯、一緒にどうかなーと思って…」
私がそう言うと、海斗君は驚いたような表情になった。
しかし、すぐに何かを感が始めたかと思うと、海斗君は私に好意った。
「悪い。今日はもう準備してるんだ…」
すこしがっかりしたけど、私はそれが顔に出ないように注意した。
「そ、そっか。分かった。ごめんね?無理な誘いしちゃって」
「いいよ、気にしないで。じゃぁ」
「う、うん。ありがとう…」
海斗君は、そう告げるとそのま部屋へと入った。
残された私は、少しだけ寂しく感じた。
でも、まだまだこんなことでめげてはいけないと思い、明日のご飯の準備をするために、部屋に入った。
今日準備した海斗君の分は、明日のお弁当になった。
翌日の放課後。
今日は、泉ちゃんと一緒に帰宅することにした。
「朱音ちゃん、早く帰らなくていいの?」
「え、うん。平川くんが少し時間を取ってくれてるみたいだから」
「ふーん。そっか……なら大丈夫だね」
泉ちゃんは、少しの間の後そう言った。
それが少し気になったけど、私は気にしないことにした。
「それじゃ、また明日ね」
「うん。また明日、泉ちゃん」
私はそう言って、泉ちゃんを見送った。
「さてと、行きますか!」
私は意思を強くして、マンションへ向かった。
マンションに着いた私は、一応のため、海斗君の部屋のインターホンを鳴らした。
しかし、相変わらず反応はなく、まだ帰ってきていないことが分かった。
だから、私は昨日のように、扉にもたれかかって待つことにした。
「朱音…」
しばらくすると、海斗君が私の名前を呼んだ。
そして、どこか身に覚えのある会話を始めた。
「どうしたんだ?また鍵でもなくしたのか?」
海斗君が昨日と同じように私のことを素通りしていこうとしているのが分かったので、私は意を決して誘うことにした。
「え、えーと…違う…よ?今日ご飯、一緒に食べないかなーと思って…」
私の言葉を聞いて、海斗君は少しそっけない口調で話した。
「いや、悪いな。今日はもう準備してるんだ…」
「そ、そうなんだ…。分かった…」
私は思わず顔を俯かせた。
海斗君の前で、感情を表に出すのはダメだってわかっていたけど、どうしても出てしまった。
「じゃ」
そんな私を見かねてか、海斗君はそう言って足早に部屋へと入ってしまった。
「やっぱり、私、嫌われちゃったのかな……」
そう呟かずにはいられなかった。
翌日も、放課後は朱音ちゃんと帰った。
そして、私はその時に相談したかったことを話した。
「あのね、泉ちゃん」
「どうしたの?」
「私、海斗君に嫌われちゃったかも…」
「え?」
私の言葉に、泉ちゃんはウソ!と言った感じだった。
「どうして?」
「えっと…私が夜ご飯に誘っても、今日は用意してるって断られて…」
「で、でも、たまたま準備してたんじゃ…」
「そうかもしれないけどね、二日連続で、だよ?」
「な、なるほど……」
「しかも、海斗君って、あんまりちゃんとした料理ができないって言ってたから、たぶんカップ麺とかのはずなのに、だよ?」
「うーん…」
私がそう言うと、泉ちゃんは考え込んでしまった。
そして、ぽつりと何かを呟いた。
「やっぱりアレだよね…」
「え?」
「あ、うんうん。こっちの話だから気にしないで。それよりも、今日もまた誘うの?」
「うん…。今度会ったら、聞こうと思ってることもあるから」
「そっか…」
泉ちゃんはそう言うと、改札に向かって駆けだした。
どうやら知らないうちに駅まで来ていたようだ。
「じゃぁね、朱音ちゃん!」
「うん。またね、泉ちゃん!」
そうして私たちは別れた。
すぐに私はマンションへと戻ると、ある程度下準備をしてから、海斗君のマンションのインターホンを鳴らした。
しかし、いつも通り、反応はなかった。
「今日も、まだなんだ…」
私は、いつも通りドアにもたれかかって、海斗君を待つことにした。
30分程が経過した。
私は携帯を取り出して、平川くんにメールをした。
━海斗君、知りませんか?
まだ帰ってこないんですけど…
すると、すぐに返信が来た。
━え、マジか?
もう30分前くらいには別れたんだけどな、駅で…
「え?」
私は思わずそんな声がこぼれた。
私はもう一度インターホンを鳴らした。
しかし、依然として反応はなかった。
「どこ行ったんだろう…」
私は、少し心配になった。
もしかしたら、何か良くないことが起こっているかもしれない…。
心配には張ったが、それでも私は親でもなければ彼女でもない。
だから、私はもうしばらく待つことしかできなかった。
それからさらに30分が経過した。
しかし、海斗君が返ってくる気配はない。
「仕方ないかな…」
私は、そう呟いて、部屋に戻った。
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