第10話 外出 買い物編
俺の親はいいだろう。もともと放任主義だし、聞かれれば本当のことをいえばいい。神社の神主をしているので、「あっ、そう」で終わるはずだし。下宿は家賃、電気、水道代は親の口座から引き落としになってるから。ときどき見に行けば大丈夫だろう。
軍資金はあるんだから、県庁所在地の一番大きな駅の近くにあるデパートに行先を決める。
まあ、ここから電車で20分ほどの場所である。
デパートでもジェンヌははしゃぎまわり喋りまくっているが、いちいち文章にしていると、永遠に先に進めそうもないので……、はい、下着売り場に到着しまいした。
怪しげな下着は通販で買えることを耳打ちし、普通の下着を買うように強く言い聞かせた。だって「男性を魅了する法その4」も免許皆伝しているかもしれないし。
あと、パンストはいらないこととスパッツを忘れないように言って、売り場の前のベンチに座った。セーラ服には生足以外は認めません。
ジャンヌは売り場に入っていき店員さんと話しをして、サイズを測ってもらったりしているようだ。
俺は覚醒後は身体能力が常人の十数倍ぐらい上がっているが、前世の記憶があるため、通常は無意識に力を抑えられている。そこはジェンヌは慣れるまで大変だったらしい。
ここでは、聴力を最大限に強化し、ジェンヌと店員さんの会話を聞き取れるようにする。
ジェンヌはもともと貴族のため、周りに身の回りを世話するメイドがいたわけでもないが、服を他人に脱がされたり、からだを触られたりすることに抵抗がないらしい。
からだを店員に褒められながら、サイズを測られている。店員さんはサイズを読み上げながら羨ましそうにため息をついている。
聞こえてますよ。数値はこころのノートに記入してと、後からあれと比較しないと。
店員さんとジェンヌの会話
「外に座っている男の子は彼氏」
「はい」
「ちぃ ガキがからだ目当てか。」
こころの声が聞こえました。これが感情を読み取るスキルですか。俺にもできましたよ。
「厚塗りばばあ、ジェンヌは、顔も最高なんだよ。」と心の中で毒づいておきました。
下着を数枚買って、袋に入れて貰って売り場から出てきました。気に入ったものが買えたようでにこにこしています。
次は洋服売り場です。
ここは、俺も入って意見(趣味)を主張します。店員さんも付いてきて意見(高価な物)を勧めます。ジェンヌは基本おれの言うことを聞いています。
結局、某アイドルグループが着ている制服風ジャケットとそれに合わせてカッターとチェック柄のスカート、シックなワンピース、キャラクターのトレーナーを数枚、白と黒のチノパンと花柄パジャマを購入しました。
化粧品について聞いてみると、特に必要ないと主張されたのですが、お願いして薄いピンクの口紅を選んでもらいました。ちょっと想像してにやにやしてしまったら、ジェンヌは恥ずかしそうにそれでいて期待に満ちた目でこちらを見ていました。
だからそのスキルは使用禁止だって。
最後に靴か。ここは、実用性一択でいきました。ハイカットスニーカーとハーフブーツです。
おっと、水着を忘れるところだった。出番があるはずだよな。お約束だしな。
色といい。デザインといい色々あるよな。で思わす叫んでしまう。
「デパートの宝石箱やぁー」
「なんで、食レポしているんですか?」
ジェンヌ、なぜそれを知っている?
考えがあるからデザインはこれに決まりだな。
時計を見ると結構時間がたっていた。美人秘書さんに電話をすると1時間ぐらいでそちらに行けるということなので、迎えをお願いしました。
夕食は、フードコートでスパゲティミートソースとドリンクを注文しました。
席について、今日の感想を聞くと。
「とても楽しかったです。こんなに楽しかったのは初めてです。これがデートというものなんですね」
「いや、デートかどうかはわからないよ。俺も今までしたことないし」
「いやデートです。このあと、しゃれたバーでお酒を飲みながら、私はアキトに口説かれてしまうのです。そして、夜の闇に紛れてふたりは……」
「いや、向こうの世界では成人でも、こちらではまだお酒飲めないから」
「じゃあ結婚してしまいましょう。私のいた世界では、成人していなくても結婚や婚約していればお酒が飲めます。社交界でパーティーに出ることも増えるし、パーティーにはお酒はつきものですから」
「いや、俺17だからこの国ではまだ結婚できないよ」
「う~ん」うなりながら天井をにらみつけています。
どうも、ジェンヌは「お酒の場=口説かれる」の公式をだれかさんから習ったらしい。助かった。いつか口説くことがあったとしても、今はまだ無理だもの……。
スマホが鳴った。迎えの車がここに着いたらしい。
さて帰って、風呂入って、クソして、寝ますか!
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