第7話 外出 車内編
「ショウコさん。車を出してもらっていいですか? ここどこかも分かりませんし」
「そうね。大丈夫よ。解決まで長くなると思うし、拠点は教団として、身の回りを整理してきて」
「わかりました。ジェンヌは俺についてきてね」
俺の中ではジェンヌの用事のほうが大きいんだよな。
俺はもう学ランに着替えているし、ジェンヌは教団のリクルートスーツを借りることにした。それに美人秘書さんが色々いるだろうからと、結構な大金を渡してくれた。札束だぜ! 宗教法人て結構もうかるのか?
さて、ジェンヌの服装は違和感半端ねぇな。梵字変換(神語モード)で顔立ちや髪の色を日本人の平均的な容姿に見えるようにする。
「 幻影 」
これで、他人からみたらどこからどうみても平凡な日本人にみえる ちなみに昨日、梵字変換(神語モード)の機能について、寝る前に色々と試している。
入力文字よりも、イメージが大事で、多少言葉の意味が合ってなくとも思ったとおり具現化する。ボキャブラリが少ないし、多少厨二病を患っている俺としてはありがたい機能だ。
そして、飛び出す呪符だが、自動追尾機能があるみたいで、対象に必ず命中する。ただし、対象を目視していなくても大丈夫だが、直接的な攻撃は、激突後、霧散して効果は具現化しない。死とか書いてぶつけてもしなないので即死系チートではないということだ。
車が用意できたので、昨日のイケメンさんに学校まで送ってもらう。ここから大体1時間ちょっとで、学校と同じ県内だった。
まだ伝えたいことがあるとのことで美人秘書さんもついてきている。
ジェンヌは初めて乗る車に興奮気味で、「馬がいないんですね。ほとんど揺れないし、シートの座り心地もいいし、なにより速いですね。」
窓の外を流れる景色にも「道がきれいに舗装されています。車が溢れるように走っています。あれは家ですか? 宮殿のような高い建物がたくさんあります」などと、燥ぎまわっている。
その間中、ジェンヌはずっと俺の腕を組んで離さない。腕にやわらかいものが当たっているが、気が付かないふりして無視していた。だって、ダメって言ってこのやわらかさがなくなったら悲しすぎるよ。なんかいい匂いもするし。
今までの生活ぶりを聞いてみると、ジャンヌがすんでいた世界の文明は大体中世ヨーロッパレベルだが、魔法があるためインフラが整備されていなくてもそれほど困らないらしい。
そりゃそうだ。ド○えもんたちが古代や中世にいっても食事や移動に困っているのを見たことが無い。
ジェンヌを落ち着かせ、美人秘書さんに話しを促す。
「それで何か妖怪? 俺とショウコの間柄で、まだ隠し事があるのかい?」
「だれとだれの間柄じゃい!」俺は後部座席、美人秘書さんは助手席シートベルト付のため、言葉だけのツッコミで、痛くないからボケ役としては助かる。
「はあー、あんたと話していると疲れるわ。隠し事じゃなくお願い。わかる。」
「根元神を封印するときに神器を使ったらしいの。その神器も封印を開放すると出現するから回収してきてほしいの。神器は全部で5つ。よく知られている三種の神器と合わせて八種あるの。その八種はそれぞれ八方陣の各辺を守護していて、それぞれ意味があるらしいの」
「なるほど、国宝をパクってこいと」
「行きがけの駄賃でしょ」
「僕はあなたの心しか盗めませんよ」
「お前はル○ン三世か!」
バッシッって、 いや口で言っても痛くないし。
そのあと、ジャンヌを交えて八種の神器についての成り立ちや、効果などボケとツッコミを入れながら話し合った。
校門が見えてきたので、話を切って俺たちは車から降りる。最後に
「できるだけ、可能な範囲で」と格好つけてマジ声を掛けて……。
かぶっているよ。「頭痛が痛いだよ。」折角かっこつけたのに~。
視界から車が消えると、俺は頭を抱えてしゃがみ込こんでいた。
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