第6話 真(神)話と推測
まず、根元神についてですが、根元神は世間一般では悪神と思われています。創造神の後継者となろうとして、悪神を率いて、最大派閥の万古神に挑み、八百万の神々に八つ裂きにされ、艮の地の地中深く5か所に分けて封印されたといわれています。
ただし、これは有名な歴史書に書かれていることで、本当は太古の自分たちの分身である人を見かねて早く神の領域に達するように導くよう主張した根元神と、自分たちを神と崇め恐れる人をこのまま見守ることを主張した万古神との主義主張が異なった2大派閥がお互いに譲らず人や人ならずものを巻き込んで戦争を始めた結果、世界が荒廃し人間に干渉する力さえ削がれてしまったのです。
そして、このままではいけないと考えた根元神は和解を申し込み、受け入れるふりをして、万古神は根元神を八つ裂きにして艮(うしとら)の地に封印し、歴史をねつ造しました。
根元神に付いた神々は、神については人々に災いをなす悪神に、人ならず物は妖怪や魑魅魍魎として人を食らう悪しき異形の物として神の対局におき、人については神域に迎え入れることなく永遠の輪廻を与えました。
そして、根元神には人を用いた永遠の呪詛を与え、封印が解かれないようにしました。
ここで美人秘書さんは話を切った。
「そして、今、神々は人に干渉する力が蘇りつつあるのです」
「まず、根元神がどこに封印されているかが問題ですね」ジェンヌが口を開いた。
あれ、美人秘書さんの話どこか引っかかるところがないか
「封印された場所は、教団の力を使っても分かっていません。たぶん、艮(うしとら)の地というのがキーワードと思うんですけど。または、ふつうに考えて根元神を祭っている神社とか。まあ調べてはいるんですけど、結果は芳(かんば)しくありません」
俺は美人秘書さんの説明を聞いて、「八つ裂き、バラバラ、人を用いる、呪詛(じゅそ)」どこかで見聞きしたような……。
オタクコンピューターのCPUがうなりを上げる。一つの仮説をたて、スマホで検索する。
「あのう、人を用いた永遠の呪詛って、「五節句」の風習じゃないですかね。何かを食べたり、飾ったりするけど、すべて根元神のバラバラになった体の一部とされていますよ。」
「5という数字も一致するし、毎年、封印の上載せができるし、どうですか?」
美人秘書さんは、こいつオタクのくせにって顔している。
いや、そういうの地味に傷つくんですけど。
ジェンヌはなんのことか分からないって顔をしている。
ジェンヌには5節句の行事の写真をスマホで見せて、これが肉、これが骨とか教えてあげた。
「それじゃまず正月だ。封印を開放するんだから、封印を強化する時期は関係ないよな。正月の盛んなところはっと」スマホで検索して、封印ということは、結界があると考えてやっぱり神社だよな、鳥居とかは結界とか境界とかになっているというからな」
「 「 暗治神宮!!」 」
俺の声と美人秘書さんの声が重なった。
「まず、意識操作できる神は人を集めることが出来ます。ここは毎年たくさんの人が集まり、強力な結界の上載せが出来ます。
次に、鳥居は結界の境目であり、根元神を信仰している人が結界に入ると疑似空間に入り込み、結界を守る妖怪などに食い殺されてしまいます。今でこそ文明が進み、かえって目立つため、疑似空間の出現条件のハードルが上がっていますが、昔は神隠しとして恐れられたようです。祭られているのは天照大御神の直系ですし」
「ここでバトると大変なことになるな」
「大丈夫ですよ。さっき言ったように、根元神の信者が結界内に入ると疑似空間になります。
現実の世界には干渉しませんし、疑似空間内でしか、神や妖怪も具現化できません。」
疑似空間(-_-;)、宇宙〇事みたいだな。あっ、いいこと考えた。あとで試そう。
「それじゃ、まずは暗治神宮ということで。仮説が正しいかどうかわからないんで、ここの結果を見てから今後のことは考えよう」この後、やることがあるからね。
「これからどうするのですか? すぐ出かけるんですか?」
ジャンヌが尋ねた。
「すぐに出かけるけど、暗治神宮ではないよ。先にやることあるし、まずは学校だな」
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