第3話 拉致?目的は神の召喚

「最初の質問に戻りますけど、結局、僕は何をすればよろしいのでしょうか。」


「私たちの教団は、艮(うしとら)に封印された根元神を信仰しており、根元神を復活させて理想世界を築くために活動しています。

 高級神が施した封印をいきなりとくことはあなたでも難しいことでしょう。そこでまずは、封印を守っている神を倒せる戦闘能力の高い荒神を、あなたの力で復活させてほしいのです。」


「そのための八方陣というわけですか。」俺はため息を吐きながら答えた。

「あなたが覚醒してから4時間、早急に準備を開始し、霊力も神が顕現できる程度には集まっております。」


なんと手際のよいことか、祭壇の上座にいる羽織袴のおっさんは完全に美人秘書さんの傀儡だな。霊力感じないし。

それにしても、こんな荒唐無稽な話、美人秘書さんの評価にスタイル抜群、エロい、恐れ多いいに危ない人が追加されたぞ。


「はぁ~、ところで荒神さんなので、呼び出した瞬間こちらめがけてなぐりかかったり、天変地異を引き起こしたり、そこのかわいい巫女さんを生贄に出せといいだしません?」

とうとう口調が崩れてきたか。

「その心配はいらない。もともと根元神とともに戦い、恨みを持っているのは封印した邪神どもだからな。」

そちらも、本音がでてきたような。


安全が確保されたらしいので、とりあえずやってみることにした。早く帰りたいし、陰陽師の力を確かめたいしね。(半信半疑)


 まわりの雰囲気に覚悟を決め、内心の気恥ずかしさで額に汗を一筋流しながら、マジ顔で八方陣に方に歩いていく。


 八方陣はどういう仕組みか、淡く光を発してその時を静かに待っている。

 歩みを止め、アプリを起動し、素早く文字を打ち込み、エンターを叩く。


「召喚!!!!!」



スマホの画面が眩しく光り、光の粒子がほとばしりやがて呪符の形に収束し、梵字が浮かび上がる。

 呪符が八方陣に吸い込まれ、八方陣が激しくスパークし目を開けていられなくなった。

 光が収束し淡い光になったのを感じ、薄目を開けると、八方陣の中心に呪符を額に張り付けた美少女が佇んでいた。美少女が目を開けると呪符は光とともに溶け込んでゆき、少女の顔立ちを一層神秘的にした。肩までの輝く金髪をなびかせ、エメラルドグリーンの大きな瞳は、決意をみなぎらせ、凛と咲き誇っていた。


「ビ ビーナス、ミロのビーナスを召喚してしまった。顔といい、スタイルといい、この黄金比まみれの物体を、あ、あれと比較したい。」


「こっ、これは (・o・)」


「コーラをビンで!!」


美人秘書さんに思いっきり頭をはたかれた。ボケとツッコミが確定したようです。


「あなたは何者?」警戒しながら美人秘書さんが訪ねた。


「私は、ジェンヌという。ガームル王国の勇者だ」


どうやら勇者さんのようだ。俺のラノベ知識からいえば異世界の勇者だ。どうりで騎士団の制服のような恰好で背中に剣を背負い、セ○ントセ○ヤのような軽装の鎧を身に着けている。剣も鎧もシンプルだが機能美を備え業物であることが窺い知れる。


「どういうことだ」美人秘書さんが俺を睨みつける。


「どうって、俺にわかるわけ。あっ、神を現世に現わすならば、「顕現」か、「召喚」となれば異世界の勇者に決まってるよね。てへ」ラノベ知識全開の頭をこぶしで軽く小突く。


「可愛くねえんだよ!」脳天にこぶしの上からかかと落としを食らわされた。目から星が出たけどパンツが見えたからまっいいか。眼福。眼福。


「あなたが助けてくれたんですか」

いきなり勇者さんに抱きつかれました。


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