第33話 事件の説明
銘柄オークのカツ丼は美味しかった。お風呂は完成まであと僅か。そしてリリアはやっぱり可愛い。
そんな訳で翌日。まずは冒険者ギルド兼ミセン
エルフはこの国でも冒険者ギルド、商業ギルド等では時折見かける。獣人と違い特に差別等される事もない。なお美形で長寿命というところはいわゆるファンタジーな世界のお約束。胸はあまり無いが一晩お願いしたい感じだ。経験豊かなお姉さんにあれこれされたいというのはやはり(一部の)異世界愛好家の夢だろう。
そんな本音はとりあえず隠した状態で、彼女から昨日の調査結果を聞く。
「結論から言いますと、昨日の事案は人為的かつ作為的なものです。おそらくはそちらのパーティを狙った犯行だと思われます」
予想通りの結論を言われてしまった。
「それでどのような方法を使ったのでしょうか。犯人は特定できたのでしょうか」
「それではまず方法から御説明致しましょう。階層主の部屋、いわゆるボス部屋は中に冒険者が入り扉が閉まる事で起動して階層主を魔素から生成します。通常は階層主の部屋に蓄積される魔素は毎回同質かつ同量ですので同じ魔物が同じ数、生成される事になります。ここまでは宜しいでしょうか」
「ええ」
その辺は書物で読んで知っている。なお魔素から魔物を生成する事は通常の魔法では不可能で、その辺は
「魔力探知を極限まで微細なものまで反応するようにして調べた結果、階層主の部屋の奥に大量の魔石を蔵置した痕跡を確認しました。おそらくこのせいで生成の際に普段以上の魔素が供給された結果、コボルトリーダーではなくコボルトマスター、それも5頭が生成されたものと思われます。なお既に魔石から魔素は放出済で、目に見える痕跡は残っていません。今後についても影響は無いものと判断されます」
なるほど。でもそれならばだ。
「私達のパーティを狙うなら、より多くの魔石を使用してより強大な魔物を生成するようにした方が良かったのではないでしょうか?」
ワレンティーナさんは頷く。
「ええ。本来は犯人もそのつもりだったでしょう。犯人は一昨日の午前中に魔石を蔵置しています。その日の午後に第5階層主の部屋を攻略した場合、おそらく
「本来は一昨日の午後に攻略する予定でした。予定が変わったのが幸いしたという訳ですね」
流石に
「ええ。この季節、この辺の冒険者はこの
状況は理解した。では次だ。
「蔵置時間がわかったという事は、犯人も判明したという事でしょうか?」
私が聞くより先にリリアが尋ねる。
「ええ。先程申しましたようにこの時期にこの
ですがこのパーティは他にも活動歴があるパーティです。若干素行に問題がみられもしますが、暗殺等の活動を直接請け負う程のパーティではありません。
おそらくこのパーティは依頼されただけでしょう。単に階層主の部屋に魔石の入った箱を置くように。この件については本日中にギルド本部を通じて衛視庁にも被害届を提出する予定ですが、真犯人へとたどり着けるかは不明です」
なるほど。おそらくその通りだろう。この事件を企んだ張本人は判明しない。多分きっと。ならそれなりに対策を考える必要がある。
その為にとりあえずの確認だ。
「この
ワレンティーナさんは首を横に振る。
「昨日第1階層から第20階層の階層主部屋までを踏破し、無い事を確認しました。ですのでおそらくこの
今の処はこの
「わかりました。調査結果の説明、ありがとうございます」
「いえ、こちらの管理下であるミセン
「とりあえず第5階層終わりの地点まで転送陣で飛んで、第6階層から第8階層付近でレベル上げをしようと思います」
つまり中断した
「わかりました。こちらでも当分の間、受付時等に注意しますが、お気をつけて」
「ありがとうございました」
礼を言って部屋を出る。
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