第14話 予想外の展開
「なるほど。僕も第二王子という身分でなかったらと考えると耳が痛い」
おい待て殿下。別にその辺批判した訳じゃないぞ。
「それでも殿下はこの
とりあえず事実でフォローしておく。
「でもそれもアンフィーサ達がここへ連れてきてくれたおかげだ。たった半日だけでこれだけ魔法も体力も上昇したと感じる。なのに今までそれが出来なかった。その事が悔やまれる」
おっと、エンリコ殿下、思った以上にくそ真面目だ。ゲームではもっとチャラい感じを受けたのだけれども。ちょっと評価を上方修正させて貰う。
「それに気づかれただけでも今日の
フォローをしておくが殿下の表情は晴れない。
「確かに僕に関しては今後出来る事を努力するように心がけるつもりだ。でも他の連中はどうだ。正直、教室で貴族特有の甘さというのを感じる事も多い。貴族だから適当にやっても後は何とかなる。大事なのは親の地位と権力争いだというような雰囲気が横行している。学業の成績すら事実上は親の爵位順だ。アンフィーサ達はその辺に疑問を持ったりはしないのか」
確かにその辺は度々感じる。でもこの辺は少し言葉を濁しておこう。
「私自身が親の爵位の影響をかなり受けて上方修正されていますから」
何せ私は侯爵令嬢だ。同学年には私より実家の爵位が上の存在は殿下しかいない。
「その反省がまあ、こういった活動ですわ」
「でも私はアンのおかげで助かっているにゃ」
おっと、妙なところから援護が来た。
「正直この学校へ来るときは、3年間耐える事を覚悟したにゃ。親も『申し訳ないが国同士の約束で仕方ないんだ。何とか我慢してくれ』と言っていたのにゃ。実際初日の朝、私の回りだけ席が空いたままなのを見て、まあ孤独なだけなら何とか耐えられるかにゃなんて思ったりもしたのにゃ。
でもアンが隣に座ってくれて話しかけてくれて、仲間として行動してくれたおかげでいつの間にかクラスにも慣れたのにゃ。その辺は全部アンのおかげにゃ」
「それを言うなら私もだよ。正直男爵家なんて貴族でも最下級だし絶対いじめられると思ったんだ。その辺心配しなくていいのはアンのおかげだね、間違いなく」
確かにゲームではそうなっていた。だからその辺は私が関与した結果というのは事実。でも私自身も打算があって動いている訳でその辺あまり褒められても居心地はよくない。
「逆に私はナージャやリュネットから色々教えられていますし刺激も受けていますけれどね。ナージャの獣人国家の目線から見た考えや意見は勉強になります。リュネットは流石聖属性魔法の腕でこの学校へ引っ張られただけあって、魔法の知識も実力も考え方も他の方と違います。正直なところ最初はそういう打算がなかったわけでもないですわ」
あとは風呂で目や触覚を楽しませてくれるとかも重要だ。だからこそ午後は一気に第5階層ボスまで攻略してさっさと終わらせようと思っている。勿論そんな事はこの場では言えないけれど。
「いいな君達は。お互いそんないい関係で。僕の方はもうガチガチさ。マーティンとミロンは僕に人を近づけないようピリピリしているし、他の生徒は隙あらば取り入ってこようとするし。毎日が決まった人と同じような会話だけで楽しくない状態だ。折角退屈な王宮を出て学校に来ているのにね」
どうもこれ、エンリコ殿下の本心のようだ。王子という立場も大変なんだな、と私は人ごとながらしみじみ思う。こうやって
でもまあ私には関係はない。私は実力をつけた後にこの国を脱出する予定だから。その時の密告ルートとして殿下は健在であってくれればそれでいい。
なんて悪い事を思った時だった。
「アン、何とかならないのにゃ?」
思わぬタイミングで思わぬ事をナージャに言われる。
おい待てナージャ、私は男子は殿下といえど対象外だ。あくまで可愛い女子限定で、あとは貧乳ロリ女子の枠が1枠欲しいと思っているだけだ。そう思いつつリュネットの方もちらっと伺う。まずい、これは……
仕方ない。私は覚悟を決めた。予定より随分と早くなってしまったが仕方ない。エンリコ殿下を堕とそう。
無論堕とすといっても私と婚約に持ち込ませるという意味ではない。私の中のおっさんはあくまで女の子好きオンリーだ。いくら見目麗しくてもオトコはいらない。この場合はあくまで私達のグループに誘ってしまおう意味だ。
「では殿下、もしよろしければですが、明日の昼食はこちらでお誘い致しましょうか。個室ではなくあくまで大食堂へ、ですけれど」
「大食堂か、はじめてだな。でも大丈夫だろうか」
そう言いつつ殿下、表情が嬉しそうだ。さてはこっちが誘うのを待っていたな。
「私がお誘い致しますわ。皆さんは私の実家の威力で文句は言わないでしょう。強いて言えば陛下から父へとお小言があるかもしれませんわ。あったとしても無視するまでですけれど」
どうせ私は逃げる予定だし、父は処刑される予定だ。だから心は痛まない。
「いいのか、本当に」
「大食堂で皆とわいわいやるのも楽しいですわ」
最近は私達3人だけでなく、他の女子や男子交えて一緒に食事をしたりもしている。その辺まで殿下を引きずり堕としておくのも悪くない。小うるさい連中は私の実家の威光で黙っていただこう。
「エンリコ殿下が皆と同じ食堂に来るようになるのか。かなり驚きだけれど楽しみだよね」
「同意なのにゃ」
よしよし、作戦成功。いや実際はこんな作戦の予定はなかったのだけれど、成り行きでこうなってしまったから仕方ない。
そう思って、ふと私は気づいてしまう。そうだ、まだ私達は
「さて、食事が終わったら気分一新して
実際には私の目は他人のステータスも見る事が出来る。リュネットのMP最大値は225で残りMPが150、しかも食事のおかげで回復中だ。これなら最短ルートで第1階層から第5階層ボス攻略終了まで余裕だろう。
「問題無いよ。この前のボス戦でまたかなり魔力が増えたしね」
「私も絶好調なのにゃ」
よしよし、これなら問題は無いだろう。何としても2時間以内に終わらせ、さっさと寮に帰るぞ。その理由は勿論風呂に入ってナージャやリュネットとスキンシップを図る為だ。本日は休養日、だからより時間をかけてムフフな時間を楽しもう。
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