第1章 予定より早い接触作業と間違ったフラグ立て
第9話 最初の階層ボス討伐
同じクラスの半数以上の生徒は掌握させてもらった。私の中におっさんが入って態度が変わった事により男子受けがよくなったがそれだけではない。女子もほぼ全員、味方につけている。
その秘密は私特製のリンスだ。
具体的には、
① 大風呂へ毎日入る
② 髪に使っているリンスが気になる
③ そういえば3人とも髪がつやつやだ
④ 出来ればそれ分けて欲しいな。
という流れでクラス外の女子からも申し出があった。
そんな訳で材料を購入し魔法で大量生産。適当な瓶や壺に入れて配りまくったのである。無論無料でだ。侯爵令嬢たる者ここでケチってはいけない。
結果、かなり皆さん私に対して好意的になってくれた。この辺は計画にはなかったのだが結果オーライという奴である。
なおこのリンス、原材料さえ知っていればこの辺で安価に手に入るものばかりで作れる。強いて言えば蜂蜜がちょい高価かな程度である。使用量は少ないから問題無いけれど。
なおこの辺の知識はおっさん時代に何でも手作りする趣味を持っていたおかげである。何事も知っておくものだ。まさか異世界で役に立つとは思わなかったが。
放課後の
寮の私の部屋には風呂がある。高級貴族用の部屋の特権だ。バスタブだけで洗う際は専属メイドのオルネットが魔法でお湯を出しながら洗ってくれるが、このバスタブを使って魔法を特訓している。
方法は、
① 空のバスタブに水を9分目まで入れる。
② 水を沸騰させ、全て蒸発させる。
③ 蒸し暑くなる場合は窓を開け風魔法で換気しつつ、熱魔法で部屋を冷やしつつ行う。
④ 水が全て無くなったら①からやり直し。
の繰り返しで寝る前に魔力を使い切る事だ。これを繰り返せば次にレベルアップした際、総魔力量ことMPがぐーんと成長しているという訳である。
なおバスタブは軽銀と呼ばれる金属で出来ている。日本で言うアルミニウムだ。なぜ科学技術的には中世か近代初期程度のイ・ワミ国でそんな軽金属が使用されているか。それはひとえに魔法のおかげだ。
錬金術と呼ばれる種類の魔法を使用すれば化合物や混合物からその成分を単体の形で取り出す事が出来る。そしてアルミニウムは実は地殻中には結構大量に含まれている金属。そんな訳で何気にこの世界ではアルミニウムこと軽銀が多用されていたりする訳である。鍋釜といったものから鎧まで。
まあそんなこんな努力をした結果、私はレベルが2つ上がって現在14。魔力量ことMPは現在350で4月当初の2倍以上に増えている。
勿論リュネットとナージャもそれぞれレベルが上がった。
リュネットは流石主人公だけあってレベルアップが早く能力上昇も全般的にいい感じ。現在レベル12でHPも魔力も順調にあがっている。
ナージャは現在やはりレベル12。MPはあまり上昇していないがHPと
その結果、クーザニ
ボス部屋とは通称で、本来は
そして休養日である今日はいよいよ最初の
「準備は問題無いよね」
「大丈夫な筈ですわ」
今回はMPポーションを10個購入、私が3個、リュネットが7個持っている。
鎧は3人とも学校でも使っている革鎧。私とリュネットの武器の魔法杖もやはり学校で使っているもの。でもナージャの片手剣だけ違う。ナージャが実家から持ってきた代物で
「私は早く行きたいにゃ」
「作戦は皆さん大丈夫ですよね」
2人とも頷く。
作戦は非常によくある
そこで今は私が
ここ第5階層のボスは
だがうちの
そうはわかっていてもドキドキはする。何せ初めてのボス戦だし。
一歩進むと自動で岩に偽装された扉が横に開く。私、ナージャ、そしてリュネットと中へと入っていく。最後尾のリュネットが入り終わったところで扉が自動的に閉まった。もうボス戦をクリアする以外に脱出方法は無い。
前方に魔力反応を3つほど感じる。これがここのボスのアークゴブリンだな。間違いない。それでは作戦開始だ。
「行くわよ。
3頭の中心を狙って派手な攻撃魔法を放つ。3頭のうち1匹にほぼ直撃、他の2頭もある程度被害はある模様。これで敵の
私めがけて敵2頭が迫ってくる。
無詠唱で熱線魔法、1頭の足に命中。もう1頭が私めがけて走りながら剣を振り上げる。攻撃は間に合わない。大丈夫と思っても思わず目を瞑ってしまう。衝撃はこない。
目を開ける。
ナージャが私の目前の敵をあっさり袈裟懸けに斬り倒す。もう1頭、最初の魔法が直撃した奴は動けないがまだ魔力反応があるので熱線魔法でやはり攻撃して始末。敵3頭の魔力反応が完全に死んだものへと変わった。私はほっと息をつく。
「終わったね」
「たわいないにゃ」
2人とも私より余裕がある感じだ。ちょっと情けない。でも正直に言っておこう。
「私は結構怖かったですわ。膝が震えましたし」
「でも結局、アンが一番多く敵を倒したにゃ」
「そうだよ。それに敵の前に立って引きつける役だもの。怖くても仕方ないよ」
2人がそう言ってくれるのがちょっと嬉しい。
「これで夏休みはもっと大きな
クーザニ
「とりあえず討伐証明に魔石を採取しましょう。私がやるのが一番楽ですわね」
アークゴブリンはゴブリン同様素材にならない。だから魔石を取るには焼き払うのが一番手っ取り早くて楽。そしてこの3人でそういった攻撃魔法を得意とするのは私だ。
膝の震えはおさまっていた。だからまずはすぐ目の前、ナージャに斬られた1頭から焼き払う。
「
炎が消えた後、濃い藍色の魔石だけが残った。
無詠唱で触れる程度まで魔法で温度を下げ、私はそれを回収する。
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