第8話 中のおっさん万歳
両脇に助さんと格さんではなくリュネットとナージャを従え、帰り道を闊歩する。
頭の中では例によってどんぐりころころの歌詞+『ああ人生に涙あり』の曲。調子がいいとどうしてもこの曲が脳内を流れてしまう。
「頑張ったのにゃ」
「お小遣いもそこそこ増えたしね」
ナージャもリュネットもご機嫌だ。
第1階層にいたのはちょうど1時間くらい。その間ひたすら魔物を見つけては無詠唱魔法の訓練をした。
その結果、ナージャは身体強化魔法が無詠唱で使えるようになり、リュネットも体力回復魔法と魔力回復魔法が無詠唱で使えるようになった。どっちも得意魔法だ。やはり得意な魔法の方がイメージしやすい分、無詠唱にもしやすいらしい。
更にケイブフロッグとスライム併せて30匹始末。1人あたり
「でも帰ったらすぐお風呂ですね。結構走りまわって汗をかきましたわ。夕食に汗の臭いをさせて行くわけにもいかないですしね」
魔力反応で魔物を見つけてダッシュしては退治。疲れたらリュネットの魔法で回復。それをひたすら繰り返したのだ。おかげで結構汗をかいてしまった。まあこれも私の予定通りなのだけれど……
「そう言えばそうだよね」
「仕方ないにゃ」
よし、2人を自然な形でお風呂へと誘えた! これで晴れて2人とムフフする事が出来る!
今までの私は個室に備え付けの風呂に入ってオルネットに洗わせていた。驚くなかれ、上級貴族や王族用の個室は風呂なんてものもあるのだ。でもこれでは他の皆さんとうふふ出来ない。だから今日は一般用の大風呂に入るつもり。
学校の寮に帰り、風呂へ行く前に自室に寄る。
「これから一般用のお風呂の方へと行って参ります。ですので新しい下着と校内用の服を出していただけるかしら。あと石けんその他道具を持って行きます」
「何故そのような処へ行かれるのですか。侯爵家令嬢としては下々の……」
オルネットにそう言われるのは予想済みだ。だから勿論言い訳も考えてある。
「エンリコ殿下の好みにあわせる為ですわ。殿下はいかにも貴族令嬢といったおしとやかなタイプは好まれないようです。むしろ庶民的で、活発で、かつ自分に積極的に迫ってこない方が好みかと。ですので食事も大食堂で食べるなど、しばらくはその方向性で行こうと思っております」
「……承知致しました。ですが夕食の後、この部屋に戻られた後にはもう一度こちらで洗わせていただきます」
その辺が妥協点だろうな。仕方ない。
「それでは準備の方、宜しくお願いしますわ」
「かしこまりました」
よし、これでナージャ&リュネットと裸のふれあいだ!
オルネットに用意させたグッズ入り自在袋を手に意気揚々と大風呂へ。
脱衣室の中はかなり空いている。基本的には皆、夕食の後に入るからな。だから目的の2人はすぐに見つかる。
「早かったですわね。リュネット、ナージャ」
「私達の部屋の方がここに近いしね」
「でも正直風呂は苦手なのにゃ」
ふむふむ、獣人は耳と尻尾以外は普人と同じと。そして胸は服の上からも予想した通りだと。獣人、それも猫の獣人の女子皆が胸大盛りなのだろうか。それともナージャが大きいのだろうか。これはいずれ研究の余地があるな。
そして予想外だったのが、リュネットが着痩せするタイプだった事だ。身長は私より
「それでは行こうか」
「そうですわね」
大風呂は実は来た事が無い。だからリュネットとナージャについていく形になる。
引き戸を開けると中からむわっと湯気が襲ってくる。
時間が早いので中はかなり空いている。だから私達3人で並んで場所をキープ。そして私は2人とふれあう為に持ってきた道具を出す。
「肌と髪それぞれ専用の石けんと、身体洗い用のブラシを持ってきました。今日はこれで洗ってさしあげますわ」
これで堂々と2人にボディタッチ出来る訳だ。
「いいよ、何か申し訳ないし」
「でも髪の毛や毛がつやつやになりますわ」
「うう……ならお願いするにゃ」
さては毛がつやつやになるで折れたな、ナージャ。まあそうなるだろうと思っていたけれど。
そんな訳でまずはナージャの背中から。うん、つやつやでもちもち、思わずうへへと……
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(この辺、中のおっさんが興奮してヤバい事を妄想していたりするので自主規制)
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最後に髪と毛部分に特製リンスを軽く塗り込んですすいで、魔法で温風を出して乾かせば完成だ。
なおこの特製リンスは中のおっさんの転生者知識とアンフィーサの魔法で作った特製だ。具体的には水にアップルビネガーと蜂蜜、オリーブオイルと蒸留酒を少量ずつ混ぜて魔法で乳化させた代物だ。一般に流通する安物ごわごわ石けんとは次元の違う仕上がりを思い知れ!
「何か髪も毛もつやつやふわふわしているのにゃ。これはいいものなのにゃ」
よし、これでナージャと毎回お風呂出来るな。中のおっさんがガッツポーズ!
「それじゃ次はリュネットですわ」
「私はいいよ。アンに悪いし」
「いや、これはおすすめなのにゃ」
「そういう事で……」
問答無用に近い形でリュネットを襲う、いや背中を流して……
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(この辺、やっぱり中のおっさんがヤバい妄想していたりするので自主規制)
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うん、堪能した! これはいいものだ! お返しで2人に洗って貰ったりもしてもう至福の一言。いや、眼福だけでなく感触まで至福。洗っている最中に触れてしまう胸とかももう最高。
そんな感じでとろけているうちに俺の洗浄が終わってしまう。
「ごめんにゃ。アンほど乾かすのが上手じゃにゃくて」
「充分ですわ。それではお湯に浸かりましょう」
これは是非、毎日でもやらなければならないな。その為にも午後は毎日
私はかたくそう決意したのだった。
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