第3話 ニーマン召喚【ドームの中の仲間たち】

「はぁ はぁ はぁ・・・」

やったぞ。旧道か・・・。


俺は 自分の足を見てまた後悔した。片方の足にはめられた青いリングを見るたびに罠にはまった小鹿のような気持になる。

水で出来たこのリングは スポーツ用のサポーターのように見えるけど

何のサポートもしてくれない。むしろ足が重い!! 

鉄アレーでも足に付けているみたいだった。

どうしてこんな事になったかというと・・・・



「さて セレネさんがくれた包み紙を開けてみるか」

セレネさんの笑顔?を思い出しながら包み紙を開けると 

リングが二つと呪文が書かれたメモが入っていた。

何で出来ているんだろう?金属じゃないんだよな。

例えるならガラスで出来ている。

体を動かすときに使ってほしいって言っていたから 

この大きさだと腕輪じゃなくて足輪だというのはわかった。


でも・・。


はいはい わかりました~ 俺 わかっちゃいましたよ。

自分の足を見たときに すぐに気が付いた。

この棒のように疲れた足と、そしてセレネさんのお母さんは元魔女で、そしてリングがある。


つまり 冷え冷えか?ブルブルか?ってことだろ?

これはありがたい。

早速使わせてもらおう。そう思って足にはめて呪文を唱えると

足首のところでガラスのリングが砕けて水のリングになった。

この瞬間は感謝の気持ちのほかに 別の感動もあった。


初の異世界魔法だ!


多分 俺の魔力じゃなくてセレネさんの魔力だろうけど、魔法が使えたことが何か嬉しいぞ。

あれ? 


冷や冷やもブルブルもしないぞ。

おかしいな。

足を持ち上げてリングを確認しようとしたけど・・ 

何だこれは足が重い!! 

足が上がらないじゃないかぁぁぁぁ!


そしてリングは外れなかった。

セレネの冷酷な笑い声がどこからともなく聞こえてきた。

「ふふふふ あ~ははは オーレンス、私はあなたのような人間が大好きよ。クスクス」

幻聴かもしれないけど きっと 遠く離れた場所で笑っている事だろう。


これが魔女のイタズラか?

村娘だけど、立派な魔女の娘だ。

そしてメモの最後には こう書かれていた

「もっと 強くすることもできます。楽しんでください(#^.^#)」と

「可愛い女の文字だな~おい! それ~!」 俺はもう一つのリングを投げ捨てた・・・・・・

 

と言うことがあった。

片足だけで気づけたけど、俺の心は完全にもてあそばれてしまった。

新道は避けて進むことにしよう。

村のほうがくを一直線に進んだら、そしたら運よく旧道に出られたところだ。



道と道が 途切れ途切れになっていて使われていない道のようだった、

この道もクカコスの村につながっているのかな?

と歩いていると なんか 古びた感じで土に半分くらい埋まっているお地蔵さんが現れたぞ。

カエルの石像か。お地蔵さんサイズの古びた像だな。

「無事帰る(カエル)ってダジャレか・・」


お地蔵さんサイズのカエルの像で三体ならんでいて

それぞれに 喜び・悲しみ・平静の3つを現しているようだ。

表情豊かで可愛いお地蔵さんだな。

今は土の中に埋まっているようだけど この三体だけなのか?

今は三体しかいなくて、さみしそうに見える。

そしてクカコスの村と書かれた立て札も見つけた。


「ふぅー」安心した。旧道ならあいつらが後ろから追いついてくることもない。

「ゲロゲロ」とカエルの声も聞こえてきて心地のいい響きだ。

どうやら方向はあっているようだし、ホッとしたのでその場に腰を下ろして一休みした。

座るとやっぱりあれが飲みたくなる

「コーヒーが飲みたい」

地球にいた頃は飲みたいときに飲めたからな。

当たり前の事ってなくなるとこんな気持ちになるんだな。

そうだ。この世界にコーヒーがあるのかもわからないけど、

似たような飲み物はあるはずだ。

よし!コーヒーを探す旅でもしてみるか!

探すのはコーヒーでも何でもよくて、

異世界で改めて真っ白な自分を埋めていくというパズルをしてみようと思った。


「でチュ!でチュ!」

ん?なんの音だ??ドームから音が聞こえた気がした。


ログハウスと木が植えられているドームの中を覗き込んでみると

するとログハウスの横の芝には 何かが手を振っているぞ?

小っちゃい何かの正体は・・・。

「カエルとハムスターだ」


確か死神はこのスノードームのような球体のドームがニーマンの家だと言ってたな。

もしかして、これが俺のニーマンなのか?


「おーい!外に出てこないか?」

話しかけてみたけど ピョンピョンと跳ねたりするだけだ。


そうだ 俺は「ニーマン」が使える「ニーマン使い」だったな

なら 呪文があるはずだ。

えーっと呪文は・・声が聞こえた。フロンとサブロウか。


「フロン! サブロウ! 召喚!!」


「ヴォォォン」

俺の影がゆらゆらと揺れ出した。焚火の明かりで出来た影のように揺らめいて怪しい

雰囲気を醸し出しながらカエルのフロンとハムスターのサブロウが現れた。

「久しぶりでちゅ オーレンス」

「ゲロゲロ 初めましてオーレンス ゲロ!よろしく」


喋った!!

というか 影が揺れていて怪しげだと思ったら

腰を振りながら踊っていたのかよ。

「ゲロ♪ ゲロ♪」

「でチュ♪ でチュ♪」


でも気になったことがあった。

ところで お前はサブロウっていったな。

「でチュ?」

もしかして 俺が昔飼っていたサブロウなのか??


サブロウは俺が学生だったころに一緒に暮らしていて

子供だった俺はサブロウに毎日、自分の事を話していた。

嬉しいことも、悲しいことも、好きだったあの子のことまで話していた。

そのサブロウなのかと聞くと「そうでチュ」と元気いっぱいの声で返事をしてくれた。

赤ちゃん言葉を使う可愛い性格のヤツだったのは意外だったけどまた会えて俺も嬉しいよ。


突然 カエルのフロンが叫んだ。

「再開のところ悪いけど モンスターの臭いだ。ゲロ!!」


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