第81話:育児・オードリー視点

「「オンギャア、オンギャア、オンギャア」」


 私の子供は授乳すればいいだけですが、母上の子供までは授乳できません。


「「ワァアアアアン、ワァアアアアン、ワァアアアアン」」


 真ん中の子供達が下の子達に影響されて泣き出してしまいました。


「「ママ、ママ、ママ、ママ」」


 上の子達まで泣き出してしまいました。

 子供が生まれるたびに甘えたになってしまいます。

 弟妹に私達をとられると思っているのでしょうか。


「アラステア、使い魔を頼むわ」


 魔界の神々が身勝手に襲い掛かってきてから二年、信じられないくらい平穏な日々が続いています。

 私と母上は三人目の子供を産んで育児に追われています。

 信用できる侍女のフリデリカも子供を産んで育児に専念しているので頼れません。


「任せてください、オードリー」


 アラステアが私や母上そっくりの使い魔を創り出して子供を世話してくれます。

 乳母代わりの使い魔が授乳や寝かせ付けをさせてくれます。

 昔なら乳母や侍女がやってくれたそうですが、今の私達には不可能です。

 人界の皇帝ともいえる私達一家に取り入ろうとする人間は星の数ほどいます。

 いえ、子供達の乳母や侍女に選ばれたら、そう思ってしまうのです。

 

「アラステア、私は少し眠らせてもらいますね」


 私達が人の欲望を刺激しておいて、彼らが堕落したと言って処罰する。

 それはあまりに身勝手だとグレアムが言ったのです。

 弱い人間の心を誘惑しておいて罰するのは厳し過ぎると言ったのです。

 私には理解できない事でしたが、母上はその通りだと言われました。

 父上も仕方ない事だと申されました。


「後はお任せください」


 ただ私達には莫大な魔力があります。

 人界の神々と魔界の神々が連合して襲ってきても大丈夫なように、常に強固な防御魔法を展開しています。

 その魔力を維持するために、この二年間で新たな世界を数多く探しました。

 その世界とこの世界を繋ぐことで魔力に余裕がでたのです。

 その魔力で多くの使い魔を創り出せるくらいの余裕をです。


「おやすみなさい、アラステア」


 子供達がとても静かにしてくれています。

 どうやって創りだしたのかは分かりませんが、私や母上に瓜二つの使い魔です。

 子供達まで私達だと思わせるてしまいます。

 これがアラステアでなければ恐怖を感じている所です。


「おやすみなさい、オードリー。

 安心して身体が完全に回復するまで眠ってください」


 私と全く同じ姿形をした使い魔と母上と全く同じ姿形をした使い魔が現れました。

 いえ、父上やグレアムと同じ姿形をした使い魔も現れました。

 それ以外にも子供達が大好きな犬や狼、虎や豹の姿形をした使い魔もいます。

 これで安心して眠ることができます。

 

 

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