第80話:ルーパスとアラステア
「アラステア、人界の神々が我々を攻撃してくることはないのか」
ルーパスが決意の感じられる声色で聞く。
「可能性はありますが、確率的に低いでしょう。
他の世界の神々の眼があります。
守るべき自分の世界の知的生命体を攻撃するとなると、恐らくですが、神々の世界の規律を破ることになります」
「だが、魔界の神々は魔族を攻撃しているというではないか。
その魔界の神々が他の世界の神々に攻撃されている気配はないぞ」
「はい、確かにその気配はありません。
ただ魔界の神々が先に魔族を攻撃したのか、それとも魔族の方が先に神々を攻撃したのかが分かりません。
まあ、他の世界の人族を問答無用で襲ってくるような神々です。
魔族が嫌いというだけで理不尽に滅ぼそうとした可能性は高いでしょう」
「それは、自分達に取って代わりかねないくらい力をつけた魔族を神々が恐れた、そういう事なのだろうか」
「その可能性が高いですね。
その上で、そんな身勝手な事をしても他の世界の神々は介入しない。
神々の感性がそういうモノだと考えて行動すべきでしょう」
「自分の世界に関係ない事は、神々の常識に反していても介入しない。
そういう事だな」
「その可能性が高いだけですが、最悪の状況として考えておくべきです。
可能性は低いですが、人界の神々がルーパス達を恐れて滅ぼそうとする事も考えておかなければいけません。
今回の件で人族から恨みを買った事くらい理解しているでしょうから」
「最悪だな。
人界の神々と魔界の神々が連合して襲ってくる可能性があるか」
「はい、可能性は低いですが、最悪を想定するとなるとそうなります。
神々の考え方や性格が分かりませんから、人界の神々に恥をかかせた魔界の神々を恨んで攻撃するのか、それとも力をつけた人族を恐れて攻撃するのか、全く予想が立てられません。
私としては、人界の神々は何もせずに放置すると思っていますが、最悪の状況を想定して準備しておくべきでしょう」
「魔力を浪費してしまうが、結界は全力で展開しなければいけないという事だな」
「はい、この世界を放棄して逃げるのでなければです」
「そうだな、一番安全なのは、人族全員で新たな世界に移住する事だな」
「はい、できるだけ遠くの世界に移住する事です。
人間界とつないだ他の世界全てを、移住先の世界と繋ぎ直して魔力を確保したうえで、この世界との繋がりを完全に断ちます」
「神々であろうと遠くの世界にまで来るのは魔力を浪費するだろうしな。
移住先の世界に転移門を開こうとした時に反撃する事も可能だ。
今のままでは神々のいる場所も分からないから、こちらから攻撃する事もできない状態だからな。
問題はこの世界を捨てる覚悟ができるかどうかだな」
「はい、どうされますか、ルーパス」
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