第79話:神々の戦い

「怖かったですわね」


 ミネルバが正直の想いを口にした。


「そうだな、三日とは思っていた以上に長くかかったな」


 ルーパスが考えながら答えた。


「人界の神々は人族を助ける気がなかったのでしょうか。

 だったとしたら人族を守る神とは言えません。

 そのような神などには頼らず、人族は自身の手で身を護らなければいけません」


 グレアムが怒りを隠さずに率直に自分の考えを口にした。


「アラステア、人族の神々はなにを考えていたのだと思いますか。

 私達はどう対応すべきだと思いますか」


 オードリーがアラステアに問いかける。


「恐らく人族の神々は魔族の神々が襲撃するとは思っていなかったのでしょう。

 その油断を魔族の神々は見逃さなかった。

 奇襲を許した人族の神々は面目が丸潰れになったしまった。

 自分達の失敗を他の世界の神々に知られたくない。

 できれば全てなかった事にしたい。

 だから人族には滅んで欲しかったのでしょう」


「酷い、酷過ぎます」


 オードリーも怒りをにじませていた。


「だから三日間も放置していたという事か。

 だが嫌々でも魔族の神々と戦おうとしたのは何故だと思うアラステア」


 ルーパスが疑問に思う事を口にした。

 その場にいる全員がオードリーの胸に輝く守護石を見つめた。


「あくまもで想像でしかありませんが、人族が多くの世界に移民したからでしょう。

 その世界の神々が何故人族が移民したのか調べて、魔族の神々の暴挙と人族の神々の卑怯を知って介入したのだと思われます」


「だとすれば、移民してもらった人々が現地の神々に殺される可能性があるのか」


「いえ、神々にとっても知的生物が自分の世界に来てくれるのは悪いとこではないのだと思われます。

 他世界から知的生物が来るのを嫌う神々が支配する世界なら、そもそも我々が転移門を繋ぐことができません」


「アラステアの言う通りだろうな。

 だとしたら、魔族と神々と人族の神々を牽制するためにも、これからも他の世界への移民を続けなければいけないな。

 それに、今回避難した人々をこちらに戻す事もできないな」


「はい、そのまま定住していただきべきだと思います」


「まあ、それは大丈夫だろう。

 家族や一族がそろって移民しているから、以前よりも安全に豊かに暮らせるのなら、誰も戻りたいとは思わないだろう」


「はい、最初からそういう人々を選んで避難移民させましたから」


「ルーパス、アラステア、避難と移民はそれでいいとして、結界はどうするの。

 神々の攻撃を考慮して今の規模の防御魔法陣を展開し続ければ、莫大な魔力を消費することになります。

 それでは魔力を蓄えることができなくなりますよ」


 ミネルバが今後の方針を話し合おうとした。

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