5.5話 学年1の美少女の誕生日会で問題発生
今日はとある水曜日。いつもの数百倍俺のクラスの周りがうるさい日。というか、伊藤花のクラスがうるさくなる日。つまり、今日は花の誕生日というわけだ。
「伊藤さん、誕生日おめでとうございます。これ、プレゼントっす」
「伊藤先輩、お誕生日おめでとうございます。プレゼント受け取ってください」
「花さん、おめでとうございます。プレゼントです」
「あ、ありがとう……」
うわぁー、ムッチャ渡しにくいな。まぁ分かってたから持ってきてないけど。この感じだと家にも押しかけてくんだろうな……そうだ!
「なぁ花」
「あ、早野くん。お、おはよう」
やべぇ、あれ以来なんか花と喋るとどうしても鼓動が早くなる……
「あぁ、おはよう」
「それでどうしたの?」
「あぁそうだった。花ってさ、いっつも誕生日ってこんな感じなのか?」
「うん、いつもだよ」
「もしかして、家にも押しかけてくんのか?」
「うん…………家の場所教えたことないんだけどね、勝手に……」
それってストーカーってやつじゃねぇのか?犯罪だよな……
「嫌じゃなければなんだけどさ、俺の家で誕生日会でも開くか?」
「!?」
「悪い悪い、嫌なら嫌でいいんだよ」
「違う、嬉しい」
「そ、そっか、それなら決まりだな。言えそうなやつには声かけとくは」
「うん!ありがとう、早野くん」
この笑顔、反則級です。
「お、おう。じゃ放課後、家で待ってるは」
放課後、早野家。
「てことで、花ちゃん誕生日おめでとう!」
「「「「「「おめでとう!!」」」」」」
「ありがとみんな」
にしても、来すぎだろ。声掛けたやつ全員来てるし。
メンバーは、俺、康晴、健人、正午、花蓮、陽菜、りせ、ルン、そして、主役の花の計9人。ん?ルンって何気に初登場じゃね?
「まさかルンちゃんと門田くんも来てくれるとは思はなかったよ」
「まぁ、花とは付き合い長いのですから当然ですよ」
「たくみんの誘いだから断れなかったんだよね……俺はすっぽかされたけど」
『ピーンポーン』
ん?インターホン?俺これ以上誰も呼んでないんだけど……もしかして誰かが、花がここにいるのをバラしたのか?そんなはずは……
「あ、お兄ちゃんそろそろ来たかも」
「エ?ウソ?オニイチャン?」
「うん、私が呼んだんだけど……ダメだった?」
「いや、いいんだけど……」
風紀委員長か……気まずくなりそうだな。
「はーい」
と、言いながら扉を開けると……
「あー、たくちゃん久しぶりだね、元気にしてた?」
「げっ」
「辞めてください会長。早野さんが困っています」
「フンッ。これだから生徒会はなっていないんだ」
3年成績トップ3が勢揃いじゃねぇかよ
「あっ、ルンちゃんも来てたの?」
「ご無沙汰してます、会長」
「なんで呼んでくれないのよたくちゃん!」
「先輩こそなんで来たんですか?」
「えー、だって広樹にどこ行くの?って聞いたら『妹の友達の誕生日会が妹の彼氏の家であるから来てと頼まれた』って言うから。あ!たくちゃんのお家だわって思ったから来たんだよ?もう、先輩のことすぐ忘れるんだから、たくちゃんは!」
もう嫌だ。なんで生徒会長来てんだよ。
「会長、早野さん本当に困っていますよ」
この清楚な人は
2人とも綺麗な顔立ちで、花が入るまでは、2大美女で有名だったらしい。
「そうだ!今日花ちゃん誕生日なんだって?プレゼントっていうかケーキ買ってきたからみんなで食べよっか」
「ありがとうございます会長」
「あ、そうだ花ちゃんそろそろ生徒会、入らないの?」
そうやって、自分が持ってきたケーキを満足そうに頬張り、口をモゴモゴさせながら会長が花に聞いた。
「いや、私はいいんです」
「えー、残念だな~。花ちゃんが居れば、もっと楽しくなるのになぁ~。後継ぎも安心だし」
そっか、3年だもんな。あっという間に卒業だもんな。ん?3年だよな?受験大丈夫なのか?
「では、風紀委員はどうだい?俺はキッチリとしている君ならきっと大丈夫だと思うのだが……不覚だが、お前も大丈夫だという認識はあるぞ、早野匠」
「いや、僕は絶対にお断りです」
「だろうな。そういう性格だと思っている。だからこそ、俺はお前に花蓮を託すことが出来ているのだからな」
「は、はぁ……」
「それで、君はどうだい?伊藤花」
「私は……今はいいです。今は色々やりたいことがあるので」
「そうか、それは残念だ」
「ところで岡田先輩って、彼女とかいるんすか?」
思わずその場にいた全員が拍子抜けしてしまった。まじかよ、それ聞くのかよ、流石康晴だな。その空気を読めないところが尊敬出来る唯一の長所だは。
「恋愛などといった戯れごとには興味はない。そういう事は、将来的に収入が安定して、安定した生活を送れるようになってから、追加で考えるオプションのようなものだ」
「えー、広樹モテるのに勿体ないよー?」
確かにモテるというのは納得がいく。実際、普通にイケメンだ。運動神経は半端じゃない程の良さだという。学年では、どの競技でも勝てる人はいないと言われているらしいし。
「会長、モテるというのはあなたにも同じことが言えるのですけど……。生徒会室に押しかけてくるので、ほんとに迷惑しているんですよ?」
「ごめんねー。初音に迷惑かけてるのはいけない事だね、気を付ける?でいいのかな?」
いや、どう気を付けるんだよ!と、思わず突っ込みたくなったが、恐らくそう思ったのは俺だけではないと思ったので、ぐっとこらえた。
「モテるって言ったら和泉先輩もモテますよね?」
「そうですかね?あまり実感はありませんが……。それとは関係ないですが、よく手紙をいただきます。男女問わず頂くので、恐らく生徒会宛だと思うのですが、量が多いのでいつも見れないんですよ」
副会長さん。それ、ラブレターですよ。てか、同性からのラブレターとか、アニメの中だけだと思ってたは。
「同性からのラブレターって、アニメ見たいですね、和泉先輩」
康晴や、何故に何でもかんでも思ったことを口にするのじゃ、やめなはれや。
「ラブレターではございませんよ。ファンレターは、いくつか見かけましたが」
「そうだよねー、初音はモテるもんねー」
なんて言うふうに、少し話の流れが嫌な展開になって言った時
「あのー、盛り上がってるところ悪いのですが、そろそろピアノの稽古があるので帰らせてもらいますね」
「あー、ルン帰るのか。今日は来てくれてありがとな」
「ルンちゃんありがとね、また明日ね」
「花、ちょっといい?」
「ん?」
「脈アリかもしれないですよ」
「!?」
「バレてないとでも思ってるんですか?見たら分かりますよ。いいですか?チャンスは必ず物にするんですよ?」
「わ、分かったけど……私にそんなこと出来るのかな?」
「当たって砕けろですよ。一か八かでも構いません。やってみることに意味があるのですから、ね?」
「う、うん、ありがとうルンちゃん」
「それじゃぁ頑張ってね」
「お邪魔しました、早野君」
「おう!またなルン」
「バイバイ、ルンちゃん」
そんな感じで、割りと盛り上がってしまい、気付いたら、もう23時だった。
「やべぇ、もうこんな時間だ。てか、えぐいな」
「ほんとだ、康晴一緒に帰ろうね」
「花蓮は私と一緒に帰ればいいよね」
「そうだね陽菜ちゃん」
「ワイと門田は割りと家近いから、帰れる所まで一緒に帰るは」
「そうだね、たくみんまたな」
「おうみんなまたな」
という事で、俺は花を送っていくことにした。
「ここまでで大丈夫だから……今日はありがとね、誕生日会なんて友達としたの初めてだったからとっても楽しかった」
「喜んで貰えたなら光栄だよ」
「じゃあまた明日ね、早野くん」
「……ちょっと待った」
「!?」
今しかないよな、渡すタイミング。
「これ、誕生日プレゼントなんだけど……大したもんは買えなかったけど、返品は辞めてくれよ、心が痛むから」
「!?」
花の顔が異常な程に赤い。
「あ、ありがとう早野くん」
「気に入ってもらえるかは分からんけどな」
「そんな事ないよ、早野くんのセンスなら絶対大丈夫だよ、今開けてもいい?」
「え?ここで開けんのか?…………まぁ、いいよ、別に」
そして、可愛らしいラッピングを丁寧に外して、花が中の人形を取り出した。
「クマの縫いぐるみだ!可愛い!これ早野くんが買ってくれたの?」
「うん、ほらこの前買い物行った時にいいなこれと思って買ったんだよ」
「ほんとにありがとう」
「気に入ってくれたなら幸いだよ」
「大切にするね」
そう言って、まるでこどものように無邪気に笑う姿が、愛おしすぎて、耐え切れそうになかった。だから、早々に帰宅することにした。
「じゃ、じゃあな。また明日」
「うん!また明日ね、早野くん」
そして、俺は家に帰った。
家に着き、ちゃっちゃと寝支度を整え、俺は今日のことを思い出していた。
「今日は誕生日会開いてよかったな。プレゼントも渡せたし」
それに、花の笑顔も……。
「やばいな。ますます花に惹かれてんぞ俺……。しっかりしろ早野匠、お前には花蓮という彼女がいるんだ。浮気は許されないぞ!」
こうして俺は、深い眠りについた。
夢には、今日の出来事が出てきた。もちろん、花のあの無邪気な笑顔もだ。
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