②
目が覚めると、目の前に豪華な食事が目の前に広がっていた。
「ぅあぅ・・・」
む、思うように声が出せない。それに周りがかなり大きく見える。
そんなことを考えていると人の気配が近くにした。
「あら!セロムちゃんどうしたのかしら?」
俺は見知らぬ女に持ち上げられた。
「あぅ〜?」
「セロムちゃんのママですよー」
「マ・・・マ〜?」
この人が俺の母か。めっちゃ若く見えるが何歳なんだ。
俺はありがたく育ててもらうことにした。
すると母が興奮気味に俺を見ている。
「ちょっとカラム!セロムちゃんが、セロムちゃんがママって!」
そう言いながら扉の奥へと走って行った。
騒がしい母親だな。退屈にはならないようで何よりだ。
さて、今の状態を確かめよう。母のことはこれから母上と呼んでいこう。表面上はママと呼ぼう。今の俺は赤子の姿みたいだしな。赤子らしくいればよいだろう。そしてこの部屋、料理。平民のものとは思えないことから貴族と考えるのが妥当。
しかし貴族はこんなにご飯を食べるのか。俺は平民の出だから貴族はよくわからないが、すごいな。
俺は貴族の暮らしに面を食らっていた。
そして今の俺はセロムという名前らしい。他のことは後々把握できるだろう。
すると扉置くから騒がしい足音が聞こえる、数は2。母上と、誰だ?
「セロムがほんとに言ったのか?ミアのことをママと!」
「ええ!聞き間違いじゃないわ!」
この男は父上か。名前はカラムというらしい。母上はミアか。これからこの2人にはお世話になる。サービスしてやろう。
しかし、この2人。美形の中の美形だな。俺の顔はどんな顔なんだろうな。
「セロム、パパだよー」
やれやれ、この俺がこんなことをするとは。
「パ・・・パー?」
俺が喋ると2人はとてつもなく興奮していた。
「セロムちゃんの1歳のお誕生日だから今日はご馳走よ!」
今の俺は1歳か。上手く喋れないわけだ。しかし、なんだろうこの感覚は。両親、特に父上から感じるオーラ。わざと隠しているように見えるが。今はまだ知らなくていいか。
飯の時間になった。テーブルには俺の他に3人座っている。父と母、そしてアルンという名の兄。兄は5歳上らしい。
そして、ウェスパールという家名。どこかで聞いた事がある気がする。
まぁいい、これから俺はセロム=ウェスパールとして生きていく。新しい人生の幕開けだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます