目が覚めると、目の前に豪華な食事が目の前に広がっていた。

「ぅあぅ・・・」

む、思うように声が出せない。それに周りがかなり大きく見える。

そんなことを考えていると人の気配が近くにした。

「あら!セロムちゃんどうしたのかしら?」

俺は見知らぬ女に持ち上げられた。

「あぅ〜?」

「セロムちゃんのママですよー」

「マ・・・マ〜?」

この人が俺の母か。めっちゃ若く見えるが何歳なんだ。

俺はありがたく育ててもらうことにした。

すると母が興奮気味に俺を見ている。

「ちょっとカラム!セロムちゃんが、セロムちゃんがママって!」

そう言いながら扉の奥へと走って行った。

騒がしい母親だな。退屈にはならないようで何よりだ。

さて、今の状態を確かめよう。母のことはこれから母上と呼んでいこう。表面上はママと呼ぼう。今の俺は赤子の姿みたいだしな。赤子らしくいればよいだろう。そしてこの部屋、料理。平民のものとは思えないことから貴族と考えるのが妥当。

しかし貴族はこんなにご飯を食べるのか。俺は平民の出だから貴族はよくわからないが、すごいな。

俺は貴族の暮らしに面を食らっていた。

そして今の俺はセロムという名前らしい。他のことは後々把握できるだろう。

すると扉置くから騒がしい足音が聞こえる、数は2。母上と、誰だ?

「セロムがほんとに言ったのか?ミアのことをママと!」

「ええ!聞き間違いじゃないわ!」

この男は父上か。名前はカラムというらしい。母上はミアか。これからこの2人にはお世話になる。サービスしてやろう。

しかし、この2人。美形の中の美形だな。俺の顔はどんな顔なんだろうな。

「セロム、パパだよー」

やれやれ、この俺がこんなことをするとは。

「パ・・・パー?」

俺が喋ると2人はとてつもなく興奮していた。

「セロムちゃんの1歳のお誕生日だから今日はご馳走よ!」

今の俺は1歳か。上手く喋れないわけだ。しかし、なんだろうこの感覚は。両親、特に父上から感じるオーラ。わざと隠しているように見えるが。今はまだ知らなくていいか。

飯の時間になった。テーブルには俺の他に3人座っている。父と母、そしてアルンという名の兄。兄は5歳上らしい。

そして、ウェスパールという家名。どこかで聞いた事がある気がする。

まぁいい、これから俺はセロム=ウェスパールとして生きていく。新しい人生の幕開けだ。


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