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 寒い。

 ついこの前まで夏だったのに。なんでかんなに、いきなり寒くなるのか。風。吹き荒れている。


『おい。いつまで油売ってんだ。持ち場に戻れ』


 通信。


「はいはい」


 寒いけど、しかたがない。

 どうせ彼女も、どこかで風に吹かれて黄昏ているのだろう。


「くそが」


 風なんてどうでもいいのに。過ごしやすい部屋がいいのに。

 彼女が、風を通じて繋がれるなんて言うから。


「うそばっかりじゃねえか」


 風は、ただ寒いだけで。彼女を感じるどころか、彼女の温度をよりいっそう恋しくなるだけだった。


「行くか」


 それでも、彼女が言ったことだから。寒くても、ときどき風に当たる。


『研究結果出てたぞ』


「そうか」


『興味ないのか?』


「どうせこっちの仕事が終わらないと、彼女には会えないし」


『律儀だなお前』


「風に吹かれる程度にはな」

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秋風 春嵐 @aiot3110

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