城壁前ーお猫様との別離~その4
「いろいろありがとうございました。俺はここで失礼しますね。」
「まてまてまて!悪かった!ちょっとミステリアスな感じを出したかったんだ!ちょ、まて!去ろうとするな!」
「ダイジョウブデス。ダレニモイワナイノデ」
どこまでおっさんの話が本当かわからないが、とりあえずこの目の前のおっさんが破滅主義のやばい奴だってことはよくわかった。あぁたしかに都合がよすぎる展開だと思ったよくそっ!
頭だけ下げてさっさとテントから出ようとしたが、やはりというかおっさんに肩をつかまれて止められてしまった。
「まてって!ホント待って?!いろいろ勘違いしてるから!おっさん悪いおっさんじゃないから!」
ズーリ ズーリ
「離せおっさん!世間知らずの俺でも破滅主義の奴がやばいのはわかるっての!」
おっさんの制止を振り切ってテントを出ようとすると今度は肩から腰に抱き着いて止めようとしてきやがった。とにかく人目につくところに行けばさすがにおっさんも離れるだろうとおっさんを引きずりながら外に向かう。
「待って!ホント待って!ちゃんと説明させて!」
「説明も何も厄災が封じられてるっていうのにその封印を解こうとするやつがまともな奴とは思えない!」
「うんうん、その通り。さっきのはちょっと大げさに言っただけだから!何も厄災をふりまこうとか考えてないよ!おっさん善良なただのおっさんだから!」
って、おっさん力強っ…ほんの数歩のテントの外まで行くのにこのままじゃ日が暮れるわっ!
「わかった、おっさん。話を聞くからとりあえず離れて。」
「本当か?手離した瞬間に逃げるなよ?」
「にげねぇよ。おっさんもわかってる通り、俺ここに知り合いも誰もいねぇから。」
おっさんのあまりに必死な様子に話を聞くことにする。まぁおっさんから逃げられても現状俺には街の中に入る手段もなければ、この世界に知り合いもいないしな。ならどうにも常識からずれているようなおっさんと行動を共にしたところで今思う範囲での大きな不利益はない。
「そうか、それなら離すぞ。いいか、離すけど逃げないでくれよ!」
「分かった、分かった。あんま言われるとなんか逃げたくなってくるわ」
パッ
そういった瞬間におっさんは手を離した。
「まぁ、ちょっとおっさんの話を聞いてくれや」
改めて居住まいをただすおっさん。今更とりつくろわれてもさっきまでのおっさんでイメージが固定されたからなぁ。最初は人の良い男気のあるおっさんに見えていたのに今では情けなく縋り付いてくるおっさんだ。
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