第5話

 2つの肉塊を持ち上げ俺は皆を引き連れ帰路につく為歩き始めると銀翼の風大盾持ちのルガーが慌てて呼び止める。


「お、おいタイガ、素材は放置かよ」


「素材?」


 いつの間にかひとまとめにされた毛皮等の素材指差すルガーを見ながら


「いらんけど?そんなん」


「そんなんて…高級素材だぞ!キングボアは中堅の探索者のパーティーでも手を焼く程で都に持っていけばかなりの額に…」


「こっちに流れてきたばかりの異世界人に価値は解らん?いるならやるぞ。肉は貰うがな」


 固まる一同を尻目に


「それより早く飯行こうや。早くその素材担いでついてこいよ」


 肉以外の素材は銀翼の風に全て譲る事にした。大盾持ちのルガー、剣持ちのクリスが素材を担ぎ森を進む。

 短剣持ちのルッツは辺りを警戒しながら進み弓持ちアルカはなぜか俺の肩に乗り寛いでいる。


「…アルカっつったか?」

 

「お〜何?タイガ」


「何で俺に乗ってる?」


「疲れたし…お腹減ったし…」


「…そうか」


「そう…ラクラク…」


 ルガーがスマンと手を顔の前に出し軽く頭を下げる。ルッツはケラケラ笑いクリスは引き剥がしにかかるが一向に離れない。


 少し歩いて俺の山の入口につき山を登り俺のログハウスに到着した。


「はぁ疲れた」


 アルカが俺の肩から飛び降りその言葉を聞いたその他メンバーが


「お前が疲れるか!」


 敷地内にはいりその場に座り込む銀翼の風。アルカ以外は肩で息をしている。


「んっ皆お疲れ」 


 アルカは右手を前に出し悪びれない態度を取る。そんなアルカを銀翼の風は恨みがましい顔でジト目を送る。


「こらこらアルカ。皆を煽るなよ」


「幼馴染はこんなもの」


 やれやれと肩をすぼめ井戸のポンプを作動し水を出す。


「お〜い!ここの水使っていいから手と顔洗って少し待ってろ」


「み、みず…」


 ゾンビの様にユラリとうごめくと全員の目が怪しく光る。するとすごい勢いで井戸に突っ込んできた。


「みぃずぅぅぅぅ!!!」 


「アルカ、飲み物準備するから手伝ってくれ。俺は飯作るから」


 俺はアルカをログハウスに招き入れ冷蔵庫から麦茶を出して氷を入れた大きめのグラスに4つ準備しトレーに乗せてアルカに渡そうとすると…


「タイガ…その箱何?氷が溶けてない…魔道具?」


 アルカは冷蔵庫に興味があるようで開けたり閉めたり不思議そうにしている。


「後で説明してやるから早く持ってってやれ」


 渋々トレーを受け取るアルカ


「じゃ、頼んだ」


「おー」


 アルカはトレーを持ち外へと出た。


「さて、何を作るか。皆疲れたようだからスタミナのつきそうなもの…」


 献立を考えながら机の上に肉塊を起きロース部分を切り出す。


「よし、ガーリックステーキとコンソメのオニオンスープ、後は適当にサラダでも作るか。飯は炊いてないから買い置きの食パンでチーズとハムのホットサンドも一緒に出そう。」


 


 



 

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