第4話

「うおおおおおおおお!!」


水面に映る青年の顔。それは若い時の俺だった。顔をペタペタ触り口角に指を突っ込み左右に広げる。



…………俺の顔だ…



「どうした?大丈夫か?」


 後から銀翼の風が駆け寄ってきた。俺は錆びついたロボのようにギ、ギ、ギ、と、

振り向き、「い、いや…なんでもない」

と声にならない声をしぼりだす。


 大きく深呼吸をしてもう一度水面を覗き込む。これはどういう事だ。


 ログハウスで寝て、起きたら異世界の森に生えた山に転移、ログハウスや設備はそのままあって、見た事のない猪(キングボア)を倒した…何故に若返っている?


 不思議な事ばかりに頭がはてなで埋め尽くされる。頭を抱えブツブツと独り言を行っていると、クリスが背中に手を起き、


「タイガ、大丈夫か?」


「クリス…俺って、幾つに見える?」


「???…何いってんの?あぁ、そういや自分の事、おっさんて言ってたな」


「見た目あたし等と同じ位じねぇの?まぁ世の中エルフやドワーフ、後は…魔人族とか長命種が居るから見た目詐欺は結構あるからな…」


長命種?エルフ、どわ?


「…いや、スマン…長命種ってなんだ?」


 銀翼の風の面々は顔を見合わせ、少し間をおいてルガーが口を開く。


「タイガ…お前渡り人か?」


 また新しい単語が出てきた。

「渡り人?」

 聞き返すと何かに納得したように頷き続けて口を開く。


「渡り人はこの世界とは違う世界からやってくる人間だ。

 大体は国が召喚の儀式により呼び出すが稀に時空の裂け目に落ちて世界を渡る者もいる。 

 その時世界を渡る際、この世界に適した肉体に再構築されて、若返るやつもいるらしい…ってのが渡り人なんだが…」


 腕を組み「渡り人か…そうか」と頷き俺はパァーンっと頬を叩く。思いの外大きな音がなり少しの静寂「お、おい」とクリスが駆け寄って手を肩におく。


ガシッ…


 クリスの手を取って目を合わし、ニッと笑顔で「腹、へらね?」と問う


顔を少しの赤くして「えっ?あ…」と戸惑うクリスをルガーとルッツは物珍しいものを見たという感じで目を見開いてアルカは鳴らない口笛で「ヒューヒュー」といっている。


 ギラリと光る瞳をメンバーに向けると手を振り払い腕を組みそっぽを向くクリス。

 俺は皆に「おーい」声をかけた。


「俺は腹減ったゾ!…お前ら飯食ってくか?山に俺の拠点があるからコイツら食おう!」


 川にさらしていた解体済みキングボアを指差す。くぅ〜〜〜〜…とアルカがお腹を鳴らす。「お腹すいた」とお腹をおさえる


 一同が目をぱちくりさせ大河が吹き出すのをきっかけに皆で笑いあった。




 







 













 

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