第3話

 辺りを包む砂埃の中、たたずむ男を見つめる男女。静寂の中、ぱらぱらと舞い散る舞い上がった土塊の音がやけに大きく耳に響く。剣持ちの女がよろめきながら立ち上がり、声を出す。


「あ、あんた何者だ。キ、キングボアを素手で殴り倒すなんて。」


 砂埃を払いながら辺りを見回していた大河は女に目を向け、


「一応、この山の持ち主のおっさんなんだが…君らは?それと…怪我ないか?」


「あぁ大丈夫。助かった。…ってこの山の持ち主?…此処は未開の森のハズ。持ち主なんているわけが…」


 声を荒げ女は詰め寄ってきた。倒れた大盾持ちの男や他のメンバーも集まってきて各々礼を行ってくる


「しかしアンタ、すげぇな…キングボアを一撃かよ…」


 短剣持ちの男が猪?を見下ろしながらこちらをチラリと見ながら、どこか呆れたように話す。


「キングボア?ソイツの事か?まぁでかいが所詮動物だろ?狩人なら狩れ…」


「キングボアが動物の訳ないだろう!!」


 剣持ちの女が更に詰め寄ってきた。どうも猪ではないらしい。ならこいつは?


 「クリス、少し落ち着く…その人助けてくれた人…失礼」


 今まで黙っていた弓持ち女が口を開く。

クリスと呼ばれた女は「ごめん」と小さい声で呟き一歩下がる。


「いや、こちらもすまん、どうもそちらと俺の常識が食い違っているようだ。」


 腕を組み、顎に手を当てふと、

「そう言えば君らは何故ここに?此処が未開の森と言っていたが…?」


 すると大盾持ちの男が前へ出てコホンと咳払いの後、頭を下げる。

「まずは礼を、俺達は【銀翼の風】探索者をしている。ここへは、未開の森に山が出来たという依頼をを受け調査に来たんだ」


 「未開の森?山ができた?…?ちなみに聞くが日本という国聞いた事あるか?」


 嫌な予感がした。見知らぬ格好の探索者?を名乗る若者、見たことの無い角のあるデカイ猪、変わった地形…


 周りの全員が顔を見合わせ首を傾げる


「すまんがそんな国は聞いたことがないな何処にある国なんだ?」


 俺は膝から崩れ落ちた。コレはアレか異世界への転移とかそんなヤツか?たまにCMやネットの広告やらでながれていたラノベ現象か?


「うぬぅ〜〜〜……」


「お、おい大丈夫か?アンタ…」


 心配そうに覗き込む4人に手を地面に落とし唸る俺。


少しして落ち着きを取り戻した俺は取り敢えず自己紹介をしあった。

 よく考えたら家もあるし時給自足の環境も揃っている。特に取り乱す事も無かったな。住む場所が変わっただけだ。


大盾持ち(男) ルガー


剣持ち (女) クリス


弓持ち (女) アルカ  


短剣持ち(男) ルッツ


 全員同じ村出身の16歳らしい。俺が40歳と言ったら驚いていた。?別に若くは見えないと思うが…

 俺は川の場所知らないかと聞き、キングボア?を担ぎ、冷やす為向かう。ルガー達を襲っていたヤツも一緒に担いで案内してもらった。



 川につき、2体のキングボアを木に吊るし、穴を掘って内蔵を落として血抜きをする。銀翼の風と共に解体したので案外早く終わった。


 川へ解体した肉塊を冷やす為、川に近づくき肉塊を沈める。

 作業が終わり手についた血を洗い流し顔を洗い水面を覗くとそこには自分の顔ではない若い青年の顔が映っていた。







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