6.マチルドに捧ぐ
それで、どうなったかって?
もちろん生きてたさ。酷い怪我と捕虜生活だったけどな。
でなきゃこうして孫のお前を膝に抱いて昔話なんて出来ないだろう?
ん? そうじゃなくて戦争のことだって?
ああ、そっちも終わったよ。
数十年ぶりに起こった戦いのせいで数日で何万も死んだ。
時代も変わってたのさ。もうこんな不毛なことはやめよう、国のお偉いさんたちもやっとそう思ったんだろうよ。
さぁ、そろそろ始まるよ。テレビでも見ようか。
――快晴のもと、かつて塹壕都市と言われたこの地で、4年ごとに平和を祈るスポーツの祭典が行われるようになり既に10回目を迎えるに至りました。大会の開幕を飾るのは、遠距離射撃競技『マチルドに捧ぐ』です。
この競技は、ある伝説的狙撃手が敵軍の女性将校に恋をし、当時行われていた相手の掲げるヘルメットを撃ち合うという慣習を利用して、ヘルメットに『愛してます』の文字を撃ち込んで求愛したことが由来となっています。その後2人は結ばれ、今ではたくさんの家族に恵まれているとのことです。
それでは、各選手の素晴らしい技をご堪能ください。
塹壕都市の狙撃手 椰子草 奈那史 @yashikusa
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★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 10話
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