第4話 神々の饗宴『ラグナロク』

 今度こそ俺の異世界スローライフが始まった。


 と思ったけれど、しかしやはり平和はすぐに終わりを告げてしまった。


 別の世界から『守護者』とかいう、それぞれの世界を代表する神的存在が攻めてきたのだ。


「さぁ舞台は整った。君も神の一員として、血で血を洗う神々の饗宴『ラグナロク』に参加したまえ――!」


「……はい?」


 そして俺はこの世界の『守護者』=神として、この世界を守るためによその世界の神々と戦う羽目になってしまったのだ――!


 なんかね、俺が与えられた世界最強のチートスキル『グングニル』は、実は神の力そのものだったらしい。


 うん、そりゃ強いわ。

 魔王とか魔龍も秒で倒しちゃうわ、だって神さまだもの。


 そんな実は神さまになっちゃってた俺は、神々の頂点に立つ『絶対神』を決めるためのバトルロイヤル的大戦争『ラグナロク』に、この世界の代表として参加しないといけないんだってさ。


 そういやと、俺は異世界転生した時の会話を思い出していた。


>>

『それじゃあほとんど神さまですよねー』

『それくらい強くしてくれ、無敵な感じで』

『分かりましたー、じゃ、そーゆーことでー』

<<


 確かに、確かにそんな感じの会話はしたけども!

 まさか本当に神さまにされてしまっていたなんて――!?


 ちなみに『ラグナロク』への拒否権はなかった。


「だが断る」


 最初俺はそう言ったんだけど、


「それもまた一つの世界の神である君の自由だ。だが戦いの余波はこの世界を容赦なく焼き尽くすことだろう」


 参加しなければ俺の世界が滅ぼされると言われてしまったのだ。


 つまり俺の大切な嫁&ささやかなスローライフも、ここで戦わなければ世界ごと滅ぼされて露と消えてなくなってしまうんだとさ。


「なにそれさすがにひど過ぎない!? 俺は嫁とスローライフっていうささやかな幸せを願うことすら許されてないのかよ!? いい加減にしろやボケ! もう許さん!」


 あまりの仕打ちに、俺はプッツンと来てしまった。


「いいぜ、ならやってやるよ。神々を全部ぶち殺せばいいだけなんだろう? やってやろうじゃないか! そして今度こそ俺は、俺の嫁とスローライフを心行くまで堪能するんだ。手始めにまずはてめぇだ! 死ねぇっ!!」


 怒りの咆哮と共に、俺の長く苦しい『ラグナロク』が幕をあげた――!


 俺は2人の嫁と神なる戦場を駆け抜けた。


 超越存在たる神=ゴッドとなった俺の影響で、エルフの神官嫁も同じく超越存在『エルフの大天使嫁』へと超越進化し。


 さらに赤髪少女嫁もまた超越存在『煉獄の炎柱嫁』へと超越進化していた。


 しかし。

 これまで圧倒的な強さを誇った最強チートスキル『グングニル』と、その超必殺技『天地焼却セシ創世ノ黄金光レーヴァテイン』は、世界を代表する神同士の戦いでは最強たりえなかった。


 今までと違って、俺はどうしようもない程に苦戦を強いられた。

 何度も地べたを舐めさせられた。


 それでも俺は2人の超越進化嫁と協力し、愛と絆を深め、スローライフというささやかな夢のために死に物狂いで戦い続けた。


 時に美しいユニコーンにまたがった神騎士をぶっ倒し、時に神を模して造られた偽神兵器の大軍を片っ端から粉砕し、破滅の蛇神ヨルムンガンドやら水龍神リヴァイアサンやらといった神なる獣を撃滅し。


 2人の超越進化嫁に助けられながら、俺は薄氷の勝利を積み重ねていった。


 最強チートスキル『グングニル』も戦いの中で少しずつ強く強く成長していった。


 そうして1000年に渡る激しい戦いの末、俺と2人の超越進化嫁は神々が争うバトルロイヤルを勝ち抜き、全ての元凶たる『絶対神』をも打ち破って、そうして俺は新たな『絶対神』となったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る