第十一章時点
【あらすじ】
強力な呪詛に侵された志乃を助けるべく、芳親は気絶しながらも、雷雅に誘導される形ながら助けを呼んで常世に入った。常世ではかつて芳親を育てた仙女が待機しており、妖雛たちと雷雅は彼女の元で約ひと月を過ごすこととなる。
志乃と芳親に背負わされた〈特使〉たる妖雛の定めが、志乃の場合は物の怪を取り込みもろとも芳親に殺されること、芳親の場合は取り込まれた物の怪ごと志乃を殺すことだと判明。そのために互いに殺し合うことを幸せに思う性から逃げられない、自分たちの定めは仕組まれたことと悟った妖雛たちは、それでも人の側として生きること、結末は自分たちのものだと言えるよう手を取り合う。
【現世】
麗部直武
無事帰還し、紀定と共に兼久隊と合流。中枢十三家および色護衆をまとめる
志乃と芳親が戻った後は、二人の進む道を尊重し、改めて旅のお供の継続を願い出る。了承後、次の目的地が慰霊祭の行われる
天藤茉白
常世から帰還した志乃と芳親を、天藤家の敷地内にある禁足地にて出迎えた。天藤家の巫女装束を纏っていたが、天藤分家の邸宅内では妖雛たちを誰にも会わせないまま後にする。
天藤分家が生家であるものの、好きではないと零す。
武器職人を生業としている妖怪。完全中立の存在だが、人間に好意的で、色護衆との信頼関係も築いている。今回は雷雅からの依頼を受け、晴成の義手を作りに訪ねてきた。
穏やかで丁寧な言動をしているが、外見はひとりでに動く獅子舞。本来は人が入っている布の下から自作の義手を生やし、獅子の頭部には眼鏡を引っ掛けている。笑い方はそのまま口を鳴らす音で、目玉も弧を描く糸目に変更される。
晴成の義手の他、澄美の武器や志乃の面頬の製作も担うことになる。
【幽世から常世へ】
花居志乃
昏睡状態で常世に運ばれ、目覚めてもしばらくは動けなかった。その間、介抱を担った仙女の
呪詛から回復し、常世でも活動可能になった後は、自分が殺されるべき害悪であることを芳親に伝える。しかし大人しく死ぬ気はなく、結末を変えられずとも至る道の模索を提案する。
直武との合流後は、晴成の腕を食らったことによる変化を実感しつつも、変わらず旅の供ができることに感謝した。
境田芳親
志乃を助けられず、雷雅に従うしかなかった自分の無力さを痛感。様々な後悔を抱え、志乃との殺し合いが不可避である現実に打ちひしがれながらも、結末をたた受け入れるだけには留まらない決意を固める。
赤子の頃に現世の神域を通じて常世へ捧げられ、衰弱死を逃れるために天藤山近辺に連れてこられたのち、芳紅に保護されたことが明らかとなった。常世では言動に不自由がなく滑らかになる。
今回の件で雷雅が大嫌いになった。
雷雅
思惑通り芳親を介して常世に侵入したものの、即座に身動きが取れなくなり、そのまま洞窟に一時封じられた。仙女の芳紅と情報交換を行い、彼女を介して志乃と芳親に妖雛の真実を明かす。引き続き、〈特使〉と呼ばれる妖雛に関して調査を続行している。
帰還は妖雛たちと別だったが、晴成への食欲を抑える効果が施された面頬を志乃に渡し、見送られて常世を後にした。
【常世】
常世に住まう仙女であり、芳親を育てた仙女。芳紅という名前は便宜を図って名乗っている。
穢れの流出を防ぐ結界や、雷雅を拘束する結界を張る、穢れを防ぐため計三体の童女を介して芳親たちと接するなど、行使する術はいずれも高度。操る童女は見た目に似合わない年長者の雰囲気を醸し出している。仙女になる前は内裏に仕える術者の家系の関係者であり、雷雅も憶えがあると言うほど古い時代の人物。そのうちの一つである牡丹を形作って数多の用途に役立てる術は芳親に受け継がれている。
妖雛たちを道具と見なす勢力に
芳紅に仕えている巨大な雌の白狼。額には赤く牡丹の紋様があり、瞳は金色。芳親からは姉上と呼ばれ、彼女自身も芳親を弟分と見なしている。芳親に対する言動は、完全に弟を窘める姉。夜蝶街で志乃と喧嘩をした際、芳親が意識を取り戻す前にも彼の夢に現れていた。
芳紅が芳親を保護した時も傍にいたが、雷雅に情報を聞かれた際も、芳紅の許可がないと話さなかった。
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