第27話 詩歌と茜【前編】
○町中(日替り)
ウスケシ作戦のポスターが貼られている。
○高校・体育館
全校集会が開かれている体育館。
壇上で校長がウスケシ作戦の協力を呼びかけている
(一華は本部に行っていて不在)
生徒1「なんでウチらまで?」
生徒2「てか、怪獣に町歩かせるってありえねーだろ?」
生徒3「光がやってりゃいいじゃんね?」
生徒4「やってりゃ、ちやほやされんだしな」
熱弁している校長とは対照的に生徒達の反応は否定的。
詩歌「……」
周りの声に苛立つ詩歌。ただ、何も出来ないでいる。
と、生徒達のざわつく声。
見ると茜が生徒達をかき分け壇上に向かっている。
詩歌「?」
壇上に上がる茜。校長を押しのけてマイクをぶん取る。
茜「あー……ムカつく」
怒りを抑えるように呟いた後、顔を上げる。
茜「あんたらさ、言いたい事あんならハッキリ言いなよ」
ざわついている生徒達。詩歌も驚いて見ている。
茜「知ってる?あんだけ怪獣出てさ、今までドコも壊されたとかないんだって。てか、私も最近まで知らなかったんだけど(笑)」
自虐的に笑う茜。
茜「ちょっとぐらい壊されたからってさ、それが何だっての?電気ぐらい消してやりゃいいじゃん」
詩歌「……」
茜「この町住んでてさ、誰かアイツに文句言える奴いんの?」
生徒達を睨みつけるように見る茜。
マイクを掴んだ手に力が入る。
茜「あたり前だと思ってんじゃねーよ!!!」
館内に響く茜の声。静まり返っている生徒達。
詩歌「……」
茜はマイクを置くと校長に軽く頭を下げ、壇上を降りて体育館を出て行く。
またざわつき始める生徒達。
詩歌は出て行く茜をじっと見つめている。
○駅前(夕方)
ビラ配りをしている蒼志、詩歌、一閃、一太、親衛隊。
ビラには『ウスケシ作戦』の文字が見える。
男性「あの、もっと貰ってもいいですか?会社の人間にも渡したいんで」
一閃「ええ、勿論。ありがとうございます」
何枚もビラを持っていく男性。
ランドセルを背負った男の子もやって来て。
男の子「もっと頂戴。学校のみんなにも配るからさ」
一太「うん。ありがと」
他にも多めにビラを貰って行く人や熱心に話を聞く人がいる。
ビラを配っている詩歌。と、通りがかった茜に気づく。
詩歌「リア充!」
少し驚いて振り返る茜。
すると、ぽいとビラの束を渡される。
詩歌「暇なら手伝ってよ」
茜「……(困惑)」
× × ×
戸惑いながらもビラを配っている茜。
おばあさんに話しかけられている。
おばあさん「これはどうすればいいんかね?」
茜「ああ、えっとね。怪獣出て、そしたらサイレン鳴るでしょ?その時、電気消して貰いたいんだ」
それなりに対応している茜。
詩歌が見ていて、少し笑っている。
× × ×
配り終えた茜。
ベンチに腰掛けていると、ぽいっと飲み物を渡される。
詩歌「お疲れ」
茜「……(警戒)」
茜の隣に座る詩歌。ジュースを飲む2人。
暫く無言。
2人の視線の先に蒼志がいて、町の人に熱心に話している。
茜「何で、あんな一生懸命なの?」
詩歌「まあ、ずっとやってきたからね」
茜「ふーん」
チラと茜を見る詩歌。
綺麗な横顔と凛とした目。
詩歌「……」
蒼志に視線を戻す。
詩歌「アイツさ、中学の時、一華から能力受け継ごうとした事があるんだ」
茜「マジ?そんなの出来るの?」
詩歌「うん。一華にビームさせてさ。で、それで一回死にかけてんだよ?バカでしょ?」
茜「わかんないけど(苦笑)」
詩歌「けどさ、そうでもしないと収まらなかったんだよね」
茜「?」
詩歌を見る茜。
少し遠い目をしている詩歌。
そして、話し出す。
詩歌「一華、お母さん亡くなる時に立ち会えなかったんだ……」
茜「……」
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