第26話 作戦会議
○市役所・会議室(日替り)
陣川「改めて今回の作戦を説明する」
会議室には一華、蒼志、陣川を含む市の職員、町の人が勢揃い。
机には函館の市街図と、怪獣とビーム砲の模型が置かれている。
陣川「まず怪獣を五稜郭まで誘導する訳だが、町の被害を最小限に留めるには、大森橋から亀田川を北上させ、公園線を通って直進させるルートが最も適していると考えられる」
南の海側に面している大森橋。
啄三「なら怪獣の野郎には南から出てもらわなきゃなんねえって事だな」
陣川「それについては蒼志君」
蒼志「はい。なので前に怪獣が出た時、一華には南に向かってビームして貰いました。なので次は必ず南の海から出ます」
啄三「やるじゃねえか坊主」
蒼志「(笑み)」
陣川「よし。で、その南から出た怪獣を、このルートに沿って誘導させる訳だが、その時に使うのがビーム砲だ」
地図上に配置されているビーム砲の模型。
(下記ノベルアップ版に作戦図の挿絵を公開しています)
https://novelup.plus/story/421634554/937549312
陣川「まず海岸沿いに設置し、南の海から出た怪獣を待ち受け大森橋まで誘導。そして亀田川の左右にも配置し、川に沿って公園線まで北上させる。その分岐点となるのが、この
亀田川と公園線が交差する場所にある中の橋。
陣川「ここが第一の山場となる。北と西からの一斉ビームで方向転換。怪獣の向きを東に変え、公園線に沿って直進させ五稜郭に向かわせる。公園線の左右にもビーム砲を設置し、ルートから逸れないように怪獣を誘導。そして五稜郭の中央まで追い込む」
怪獣の模型を五稜郭中央に置く。
陣川「稜堡に設置した土偶が反応し、ビームが発射。怪獣は消滅する」
陣川の説明を固唾を飲んで聞いている面々。
陣川「一華ちゃんには土偶が反応しなかった場合を考え、五稜郭で待機してもらう」
一華「はい」
陣川「蒼志君には、そのフォローを頼む」
蒼志「わかりました」
改めて作戦図を見て。
陣川「この作戦での鍵は何と言っても、このビーム砲だ。このビーム砲の中核は漁師さん、地元有志、そして我々市の職員も参加して行う。職員には函館山に設置する作戦本部との連携役として機能して貰う」
職員(若)「はい!」
陣川「そして一番の問題は、これだけのビーム砲を使うには函館中の電気が必要という事だ」
地図上には数多くのビーム砲が並べられている。
陣川「前も言ったが強制は出来ない。停電という措置は取れないという事だ。ただ企業や商店は協力的な所も多くて、病院なんかも自家発電で対応してくれると言ってくれている。だが一般の市民はそうはいかない。現にこの作戦に不安を持ってる人もいる」
厳しい表情で語る陣川。少し場の空気が重くなる。
陣川「これからまた寒くなる。やるなら今しかない」
少しの沈黙の後、声が上がる。
町の人「出来るだけ声掛けてみるよ」
漁師「んだ。俺らも仲間や近所の連中に声掛けっべ」
親衛隊「僕らもやります!」
次々と声が出て来て、場が活気づく。
啄三「でもよ、これだけ規模が大きくなると、何か名前があってもいい気がするよな?」
漁師「んだな。何か作戦名みたいなもんがあってもいいよな」
みなが少し話し出す。
すると、話を聞いていた戸倉がぽつりと呟く。
戸倉「函館……いや
町の人「あー宇須岸か。確か函館の古い名称なんだよな?」
戸倉「ええ。函館の地名の由来ともなった、言わば、この地の始まりとも言える名称です」
啄三「いいかもしんねえな。ここまで来れたのは、この町の歴史があってこそだ」
陣川が大きく頷いて。
陣川「それで行こう。作戦名はウスケシ作戦だ!」
みなに一体感。闘志が溢れる。
と、後ろにいた禅之介がしゃしゃり出て来て。
禅之介「じゃあ戦闘服か何かあった方がいいですよね?それなら僕らに任せて下さい!」
蒼志「戦闘服?」
○テレビのニュース
アナウンサー「今日、函館市長はウスケシ作戦を行う意向を示しました。但し、これを行うには住民のみなさんの協力が必要です」
○茜の家(夜)
会見をしている陣川がテレビに映っている。
そのニュースを見ている茜。
茜「……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます