どこにある?

「疲れ、ましたね」


「あぁ……そう、だな」


実践訓練が終了し、拠点である砂浜まで戻ってきたティールたち。


ヴァルも含め、意気消沈といった様子であった。


「訓練で、上げられる限り、遊泳のスキルレベルは、上げたのに……疲労感は、あまり変わらないね」


実際のところ、体力は上がっている……というより、遊泳のスキルを会得していない時と比べ、水中での疲労具合が下がっている。


ただ、今回に関しては実戦を何度も繰り返し、誰かが戦っているのを見守っていれば、血を感じ取った他の水棲モンスターが襲来するといったケースが多かった。


見張りは休憩ではないものの、戦っている時と比べれば体力の消耗は遥かに少ない。


しかし、海という場所の性質上、少しでも血が流れれば勘の良いモンスターが直ぐに集まってくる。


「そのようだな」


「……………………」


「ティール? 大丈夫か」


「えぇ、大丈夫ですよ……っし!!!!」


疲れた体に鞭を打ち、なんとか立ち上がる、

背中にべったりと付いた砂を水で落とし、夕食の準備を開始。


「「「…………っっ!!!!」」」


このまま日が暮れるまで寝転がっていたところだが、リーダーが鞭を打って頑張っているにもかかわらず、自分たちだけ寝転がっているわけにはいかないと、ラストたちもなんとか体を起こした。





「そういえばマスター。今日マーマンなどと戦って思ったんだが、俺たちとあいつらではこう……筋肉に違いがあるのか?」


グリフォンの焼き鳥を食べながら、ラストらしくない質問を投げかけた。


「筋肉の違い、か~~~」


「珍しいな、ラストがそのようなことに興味を持つのは」


「……マーマンと戦っている時、自分の感覚ではもっと弾き飛ばせると思っていたが、想定ほど押し飛ばせなくてな」


初戦以降にもマーマンと戦う機会は何度もあった。


弾き飛ばす機会も何度もあったが、結果はどれも同じ。

ラストがイメージしているほど押し飛ぶことは一度もなかった。


「ふむ……違いがあるかないかで言えば、あるだろう。なんせ、やつらは水中で生きることに特化したモンスター。地上で生きる私たちには必要のない要素もある」


「………そういえば、魚って心臓がありますよね。それなら呼吸をして生きてるんだろうけど……」


「魚にはエラという器官があり、そこから空気を取り込んでいるらしい」


「なるほど…………???? 空気……………………海中……水中に空気ってありましたっけ?」


「むっ…………………………ふむ、困ったな」


言われてみると、水中には空気がない。


だからこそ、人間は海に潜る際、息を止めなければ行動し続けられない。


「……と、とにかく魚には海中でも動き続けられる器官はあるけど、俺たちにはない。そうなると、筋肉にも違いがあってもおかしくないと思うよ」


「うむ、そうだ。ラストの考えている通りだ」


考えることは好きだが、二人とも学者ではないため、詳しい事はあまり解らない。


そのため、サラッと話題を元に戻した。


「やはりそういうものか……それにしても、Dランクと言えどやはりマーマンは侮れないな」


「そうだね。血気盛んな奴は真正面から仕掛けてくることが多いけど、普通に遠距離攻撃をしてくるし、ぐるぐる泳ぎながら仕掛けてくる冷静な個体も全然いるしね」


「当然の話だが、上位種にもなればパワーも一段と増す……槍技の腕前も中々の個体が多い」


マーマンの中にはマーマンソルジャーというCランクの上位種がいる。


BランクのティールたちからすればたかがCランクモンスターじゃないかと思われそうだが、今のティールたちにとって武器の心得がある水棲モンスターは普通に恐ろしい存在であった。


とはいえ、それにビビり続ける彼らではなく、調理した夕食が尽きた後もどのようにして戦った方が良いのかなどを語り続けるのだった。

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