最初に身に付けた武器で

「それで、マスター。雷鳥はどのように倒したんだ」


「い、いやぁ~~~~…………別に、あれだよ。闘争心が爆発し過ぎて、雷鳥まで爆発させるような倒しかたはしてないよ」


「そうか……それで、どのように倒したんだ?」


ラストとしては、別にティールが雷鳥を爆発させるような倒し方をしていても構わなかった。


結局意見が被ったため、アキラと賭けは行っておらず、ただ純粋にティールがどういった攻撃方法で雷鳥を倒したのかだけが気になった。


「……豹雷と疾風瞬閃で滅茶苦茶に斬撃刃を放ったら、思いっきり上に逃げたんだよ」


「ふむ」


この時点で、ラストとアキラは……そのまま雷鳥を跳んで追いかけ、空中で切断したのかと予想した。


「俺の方を見てなくて、完全に上を向いた状態で逃げてたから、俺は俺で思いっきり疾風瞬閃をぶん投げたんだ」


「「……」」


自分たちが予想していた攻撃方法とは全く違い、中々にワイルドな仕留め方だったこともあって、二人はほんの少しの間驚き固まってしまった。


「い、いや! あれだぞ!! こう……なんか凄いいける!!!! って感覚があったんだ。だから迷いなく疾風瞬閃を投げてしまったというか」


「マスター、俺はその仕留め方を否定する気など全くない。ただ、予想していた仕留め方と違って、少し驚いただけだ」


「そ、そっか」


(投擲、投擲だったか……そういえば、マスターが最初に身に付けた攻撃方法は確か投擲だったか)


衝動的と言えなくもない攻撃ではあるが、ティールのこれまでの経験を考えれば、一番信頼出来る武器を選んだと言えなくもない。


「それにしても、やはり短時間で勝負を終わらせたのだな」


「焦ってた訳じゃないんだよ。ただ、珍しいモンスターだって言うのは知ってたけど、本当に全然遭遇出来なかっただろ」


「そうだな。珍しいとはいえ、三日か四日も探索すれば遭遇できると思っていた」


「俺もだよ。けど、全然見つからなくて、そんな状態でようやく発見出来たから……鬱憤ではないけど、溜まってた何かが解放されてさ」


強敵を短時間で仕留めることは決して恥ずべき行為ではないのだが、苦笑いを浮かべてしまうティール。


「ふふ、やはりもっと楽しんで戦えば良かったと思っているか?」


「ん~~~~~…………多少は思うけど、もし数分前に戻れたとしても、多分同じように全速力で走って、後先考えずに思いっきり仕留めると思います」


体の中に溜まっていた何かが爆発した、という感覚を久しぶりに体感したティール。


数分前に戻ったとしても、結局溜まりに溜まった何かも元通りになってしまう。


(……うん、絶対に無理。また同じように爆発するだろうな。仮に何か変わるとしても、倒し方が変わるぐらい?)


とにかく、力一杯攻撃をぶつけて倒す光景しか思い浮かばなかった。


「では、今度はじっくり戦える様に……もう一度探すか、マスター?」


「えっ、い、いやぁ……それは、う~~~~~ん……また機会があったらで、良いかな」


「そうか」


「もしかして、ラストもソロで戦ってみたい?」


もしラストにその気があるのであれば、勿論付き合う気満々のティール。


「…………確かに気になる強敵ではあるが、これほど発見出来るまで時間が掛かるとは思っていなかった。もし運良く遭遇出来たらで構わない……アキラはどうなんだ?」


「私か? 私も気になりはするが、同じ感想だ。運良く遭遇出来たらで構わない」


長時間、自分の為だけに時間を掛けてしまうのは申し訳ないのでな……とは、ティールの前で口にしなかった。


(危ない危ない。私にその気がないと解っていても、彼は落ち込んでしまうだろう)


見事、大人の判断を下したアキラ。


ただ……二十四階層から二十一階層に戻るまでの間……奇跡が起きた。

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