戦いの後の戦い?

「ジャっ!!!!???? ィ……ガ、ァ」


頭部を貫くことはなかったが、バルバラが放ったウィンドランスはキングワイバーンの頭部に突き刺さり、脳の一部を破壊した。


貫かずとも……そこまで攻撃を深く与えることが出来れば、チェックメイトも同然。


「これ……死んだんじゃ、ねぇか?」


「そう、みたいね」


高速再生などのスキルや特性を持っていれば、この状態からでも復活して動き出すモンスターは稀にいるが……キングワイバーンにそこまでの再生力、回復力は備わっておらず、完全に息絶えた。


「ぃよっしゃ!!!!!!!!!!!」


「っ!? ちょ、バゼス!!! あたな喜ぶしても、もう少し声を抑えなさい!!! 他のモンスターが寄ってきたらどうするのですか!!!!!!」


「んな眉間に皺寄せて怒んなって、バルバラ。子供が見たら鬼婆って言われんぞ」


「なっ!!!!????」


貴族令嬢であるバルバラにとって……鬼婆と呼ばれるのは無縁も無縁。

バゼスはそう言われそうな顔をしてるぞと言っただけで、本人はバルバラに言ったつもりはない……あくまで、俺はそうは思ってないぞというスタンスだが、ぶっちゃけ……本人が口にした言葉を要約すると、バゼスも今のバルバラを鬼婆と思っていると捉えられる。


「おわっ!? いきなり何すんだよ!!」


「言って良いことと悪いことがありましてよ!!!」


二人が追いかけられて追いかけてを繰り返している間、残り五人で見張りと解体を行う。


(それなりにキツイ戦いが終わったばかりだろうに……二人とも元気だな~~~)


(キングワイバーン……次、遭遇する機会があれば、一対一で戦いたいものだな)


今回の昇格試験、ラストとしては再びリザードマンジェネラルと戦えたことは素直に嬉しかったが、それでも……できれば、キングワイバーンという初めて出会った強敵と一対一で戦いたかった。


「ところで、結果はどうなのでしょうか」


「さぁ……どうだろうな。俺としては、全員合格してもおかしくないとは思うが」


最年長者であるゴルダから見て、最初こそあれこれ不安があったものの、標的と遭遇してからは……とりあえず、負けるという不安は全くなかった。


「そうでしょうか? 私としても、それなりに戦えたとは思いますが…………やはり、結果を伝えられるまでは不安ですね」


「なに、シャーリー。そんなに自分に自信がないの?」


「そういう訳ではありませんよ。ただ、それはそれでこれはこれといった感じです」


シャーリーをからかおうとしたゼペラだが、そんな軽いからかいに乗ってしまうシャーリーではない。


「ふ~~ん? でも、Cランクを一人で倒せた時点で、ある程度のラインは越えてるでしょ。問題あるとしたら、あのバカが一直線に突っ込んだことぐらい?」


「……ティール君はどう思う?」


「バゼスさんが突っ込んだことですか? まぁ、もう少し待ってほしかったとは思いますけど、ぶっちゃけあそこまで数が増えてたたら、作戦を変更する前に匂いや気配やらで気付かれていてもおかしくなさそうなんで……あの場合に限れば、思い切りの良いスタートダッシュ? になんるじゃないですかね」


決して一番落ちる、不合格になる確率が高いそうなのがバゼスだからという理由で庇っているわけではない。


「俺も、マスターと似た様な意見だ。バルバラが攻撃魔法で牽制してから駆け出した方が良かったとは思うが……誰かが全力で駆け出せば、その姿が他者の背中を押すこともあるだろう」


「ラスト、それはちょっとバゼスのことを買いかぶり過ぎなんじゃないのかしら?」


「そうか? ……そうだな、思いっ切りが良いって長所は時と場合によるか」


出会った当初の態度などは褒められたものではないが、一応……今は、あまいバゼスのことが嫌いではないラスト。


今よりも強くなれば、いずれ自分の良い遊び相手になると……少し期待していた。

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