第17話 甘い生活
「ロビン、ママが服を脱がせてあげますよ」
えっっっっ!
夕食を終えて二階のキャシーの部屋へ入ってからのことだった。
前触れもなくそう告げた美人ママは慣れた手付きで
まさかと思ったが最後の一枚も
12歳らしからぬデカチンがキャシーの前に晒される。
だがキャシーは全く動じずに、今度は自分の服を脱ぎ始めた!
呆然と立ち尽くす俺の前で全裸になった美人ママは
さすがにこれは不味いだろ。
しかもこの大ピンチに何故かルディはいない。
トイレか何か知らんが早く戻って来てくれ夫の操のピンチだ・・・
「さあ、お風呂はこっちですよ」
風呂かい!
先にそう言ってくれよぉ。
心の中でぼやきながらキャシーに連れられバスルームへ入る。
窓際の一段高くなった場所に木製の大きなバスタブがあった。
長さ2m、幅1.2mぐらいありそうだ。
既に湯が張られていて浮かべられた紫色の花びらが甘い芳香を放っていた。
「ロビン、気持ち良い?」
美人ママが海綿スポンジで全身を優しく洗ってくれる。
こんなの気持ち良くない訳がない。
「うん、とっても気持ちいいよ」
なんだかその手のお店でサービスを受けてるみたいだ。
湯の中で裸で密着しながら体中をまさぐられてる。
相手はその体の母親だが
当然ながら興奮してしまい肉体の一部を硬くしてしまった。
「ごめんなさい。我慢してね」
それに気づいたキャシーから何故か謝罪されてしまった。
しかも、どこか嬉しそうにしながら。
うーん、こういう母親の心理はサッパリ分からん。
だけどまぁ、嫌われたりキモがられたりしてないようで良かった。
キャシーとは可能な限り親密になって事件のことを訊き出す必要がある。
遺体を発見した時のこと、残されたリンゴの歯形のこと。
そこをクリアにしないと容疑者から外せない。
そんな訳だから、ここはもっと仲良くしておくべきだ。
「今度は僕がママを洗ってあげるね」
キャシーの手から海綿スポンジを奪って彼女の腕をこすり始める。
止められなかったのでそのまま俺も全身を洗ってあげることにした。
「ママ、気持ちいい?」
「ええ、とっても気持ち良いわぁ」
洗い終えた頃にはキャシーは幸せのあまりウットリと
そしてバスタブ脇のテーブルに置いてあったワインを一口飲んで味を確かめると、今度は俺に口移しで飲ませてくれた。
ワインと一緒に愛情を飲まされた気分だ。
あぁこの美人ママが犯人ではありませんように。思わずそう願った。
「私が戻るまでお風呂はお待ちくださいと申し上げましたのに」
バスルームから出るとキャシーの部屋に戻っていたルディが不満の声をあげた。
「大丈夫よ。私が十分に気を付けていたから」
これはいかんな。
また妙な三角関係が二人の間の溝を広げ始めている。
「ル、いや、マティルダさん、どこに行ってたの?」
これで何とか話を
「キッチンをお借りして薬の調合をしていました」
「そうだったんだ。いつも僕のためにありがとう」
笑顔の最中にアイコンタクトで落ち着いてくれと懇願してみた。
「いえ、私の仕事ですからお気遣いなく」
不承不承だが、分かりましたとアイコンタクトが帰ってきた。
ドクターの家に帰ったらご褒美をあげるからとまた目で合図する。
それでやっとルディは納得してくれたようだ。僅かに頬が赤い。
よし、次は母親のキャシーだな。
「ママ、疲れたからもうベッドに行こうよ。一緒に寝てくれるんでしょ?」
「ええ、ええ、もちろんですよ。さあベッドへ行きましょうねぇ」
チョロいな。
「マティルダさん、貴方はロビンの部屋のベッドをお使いになって」
有頂天でも邪魔者を排除するのは忘れないキャシーだった。
「いえ、急に体調が崩れた際に直ぐ処置が出来るようにここに残ります。ソファーがあれば十分ですのでお気になさらないで下さい」
だがルディは引き下がらない。
キャシーがロビン殺害犯かもしれない疑いがあるのだから当然だった。
ここは俺も慎重に事を運ぶべきだろう。
「ありがとう、僕もその方が安心して眠れるよ。さ、ママ行こう」
俺はキャシーの手を引いて大きな天蓋付きのベッドへ向かった。
「ママ、いつも裸で寝てるの?」
「ええ、そうですよ」
バスローブを脱がされ全裸でベッドに上げられたあと、キャシーも同じようにして俺の隣で横たわっていた。
ま、それがこの世界の習慣なら受け入れるだけだ。日本にも裸族とかいるしな。
今はそれよりも事件のことを訊かないと。
「ママが最初に木の下で倒れてる僕を見つけてくれたんだよね?」
「・・・そうなの。驚いて死にそうになったわ」
「ゴメンね。でもママのお陰で僕は命拾いしたよ」
「本当に良かったわ。もう二度とあんなことしないでね。お願いよ」
「うん、でも自分が何をしたか思い出せないんだ。何があったの?」
「ロビンはリンゴの木に登ってそこから落ちてしまったのよ」
「えー、僕がそんなことしたの? 何だか信じられないや」
「・・・私も信じられないわ。どうして貴方があんなこと・・・」
あらら、ママさんが目に涙を浮かべてしまってる。
「止められなかった・・・母親失格だわ・・・」
何だか俺が悲しませてるみたいでやりきれないな。
「泣かないでママ、僕はもう大丈夫だから。ね?」
指でそっと目元を拭ってあげてから涙を舐め取るようにキスを繰り返した。
「ロビン・・・ママのこと許して。嫌いにならないで」
うーん、これはとても演技とは思えないわ。
キャシーは本当にロビンが木から落ちて死んだと思ってるみたいだ。
そして、それを止められなかった自分を本気で責めている。
俺も本気でこの美人ママが可哀想になってきた。慰めてあげたい。
「絶対に嫌いになんかならないよ。僕はママが大好きだもん」
よし、効果は絶大だ。キャシーは夢中で
しかしこんな
・・・あれ? そういえばキャシーから聞かされてないな。
あんなに情熱的な愛情表現をしてくるのに、まだ一度も好きとも愛してるとも言われてない。
そう気づいたら無性に言わせてみたくなった。
「ねえ、ママは僕のこと好き?愛してる?」
俺の体をギュッと抱いていたキャシーの腕から急に力が抜けた。
一体どうしたんだろう?
「いいの? まだロビンのこと好きでも愛していてもいいの?」
そんなことを気にしていたのか。
自分の管理不行き届きで死なせてしまった罪悪感がそこまで深ったのか。
母親の愛情というのは複雑にして尊いものだな。
「もちろんだよ。僕がそうして欲しいんだもん」
「あぁ大好きよロビン!愛してるわ!」
これまで言えなかった分を取り戻すようにキャシーは好きと愛してるを壊れたレコードのように繰り返しながら、
ドクターの家でもやられたが、今度はお互い全裸でキスのゲリラ豪雨だ。
あっという間にまた肉体の一部が大きく硬くなってしまった。
美人ママはそれでもお構いなしに俺の顔から胸、お腹と標的を下げていく。
さすがにそれ以上はヤバイですって。
チュッ チュッ チュッ
「キャサリン様、そこまでにしておいて下さい」
ルディいつの間に!
音もなくベッドサイドに現れたアマゾネスナースが仁王立ちしていた。
「魔力が欠乏しているのに精を吐き出させるとロビン様が危険です」
その言葉で息子を愛することに夢中になっていた美人ママが我に返る。
「な、私はそんなつもりはありませんわ!」
「キャサリン様にそんなつもりはなくとも、敏感な年頃のロビン様は少しの刺激で簡単に果ててしまいます。お気をつけ下さい」
よく言うよ。俺が早漏じゃないことは知ってるくせに。
そんな思いを表情に出してたらルディに睨まれた。すまんすまん。
「ロビン様、座ってお口を開けて下さい。これはよく眠れる薬です」
言われた通りにして差し出されたスプーンから薬を飲み込んだ。
すると直ぐに薬が効き始めて倒れるように横たわりそのまま朝まで熟睡した。
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