第9話 純情派アマゾネスにプロポーズ
せ、成人っ!?
あの無邪気で元気で泣き虫で子供100%のロビンが大人だと・・・
いくら何でもそれは無理があるだろ。
「おいおい、こんな誰が見ても子供のロビンが成人なんてあり得ないぞ!」
「大陸法では12歳で成人じゃ。結婚だって出来るわい」
「そんな無茶な」
「無茶でも何でもそれが法律なんじゃからしょーがないじゃろ」
悪法だ!
・・・いや待て、これまでと同じパターンだ。
また俺の常識がこの世界へ溶け込むのを邪魔しているな。
文化が違うんだから文句を言っても仕方がない。ただ受け入れろ。
そうだ、日本だって昔は12歳で元服してたじゃないか。
どうもオッサンの俺は頭が固くて駄目だな。
それにロビンが12歳で大人だというのは、むしろ好都合だろ。
大人なら家を出て一人暮らし出来るかもしれない。
敵が家にいる場合は独立して逃げることだって可能なわけだ。
さらにもう一つ、ドクターが良いこと言ってたよな。
「マティルダさん、俺が言ったこと考えてもらえませんか?」
「え?」
アマゾネスメイドはさっきの俺の軽口が冗談になってなくて氷の様に冷たく固まっていたが、再度の申し出には純粋に驚いていた。
これはハッキリと言うべきだな。
「俺の嫁さんになってくれませんか?」
「な、何を言うとるんじゃお前さんは!?」
ドクターには求婚してない。
ちょっと黙っててくれないかと目で訴えておく。
「・・・本気なのですか?」
「もちろん本気です」
「何故、私なのです?」
「俺たちはお互いを必要としているからです」
地球のアマゾネス伝説と話が違ったら御免なさいだけどな。
「アマゾネスのあなたが故郷を出たのは子種を授かる為ですよね?」
「そうです」
「俺はその子種を提供出来ます。この体でまだ試したことはないですが、ドクターの言う通り12歳で結婚できるならもうその機能はあるはず」
俺が確認の為にクラウリーを見ると渋い顔をしながらも答えてくれた。
「ロビンも12歳になって直ぐに精通しとる筈じゃわい」
よし、それならば取引可能だな。
「そして故郷から遠く離れたこの国へ召喚された俺には心強い味方が必要です」
「それが私ということですね」
「はい、ロビンは殺害されたようですから蘇生したとなると再び襲われるでしょう。この貧弱な体では俺もどこまで抵抗できるか不安ですから」
「ご提案は了解しました。正直、私にとっても魅力的な申し出です」
「それでは、受けて頂けますか?」
「・・・でも、そこには愛がありませんね」
LOVE!
この世界のアマゾネスは愛を重視するのか。
強い男の
だけどマティルダさんは肉体以外は完全に常識人だからなあ。
ここは普通に口説くのが良策だろう。
「
「運命・・・」
「そうです。ドクターに召喚されて
「ただの偶然かもしれませんよ」
「偶然だとしても奇跡のような確率の出逢いです。絶対に縁はありますよ」
「確かにご縁があるとは私も思います」
「そうでしょう。それに愛だってこれから生まれると思います」
「本当にそう思っていますか?」
「はい、俺たちが一緒に支え合って生きて行けば自然とそうなります」
「・・・こんな体の私を愛せると仰るのですか?」
そこを気にしてたか。
アマゾネスといっても中身は本当に普通の女の子と変わらない。
だけど安心してくれ。
俺はそんな体がむしろ好物だったりするからな。カレンで実証済みだ。
「もちろん愛せます!」
極上の笑顔で自信たっぷりに答えてみた。
「おい、本当に大丈夫なのか?
ドクターが情けないほど心配そうな顔で忠告してきた。
マティルダさんも俺の言葉だけではどうにも不安な様子だ。
仕方ない。ここは有言実行するしかないだろう。
俺もこのロビンの身体の性能がどんなもんか試しておきたいしな。
「マティルダさんさえ良ければ、今夜、証明してみせます」
少女の如き可憐なロビンの顔で可能な限り
ふふふ、やはりその効果は絶大だったようだ。
巨体をモジモジさせながら心をドキドキさせている。
もしかするとマティルダさんはショタコンとかいうやつなのかもな。
これならきっと良い返事を期待できるはず・・・
「・・・では、そのように・・・」
イエス!
マティルダさんから最高のリターンパスが来た。
あとは俺がキッチリとゴールを決めるだけだ。
「おーい、ワシはもうどうなっても知らんぞお」
まったく、お爺さんは心配性だな。
俺だってそれなりに経験があるんだから任せておけって。
種付けだって3回も成功した実績があるんだからな!
まぁ誰一人まともに成長を見届けられなかったが・・・
おっと、イカンな。また沈んでしまうところだった。
今はロビンとして生き延びることを最優先しないと。
直ぐにまた
あの泣き虫小僧の為にも俺は全力で戦い抜いてやるさ。
「どうして今夜なんて言ったんじゃあ? 明日は母親のキャシーが蘇生の成功を信じてきっと朝からやってくるぞ。その時にお前さんがどうなっとるか・・・」
マティルダさんが食事の後片付けをして俺との夜の準備の為に去って行くと、医者にして召喚士であるクラウリーはまくし立ててきた。
死者の蘇生とかやってる事は大胆不敵のくせに肝が小さいとは不思議な爺さんだ。
「子作りするだけじゃないか。何がそんなに心配なんだ?」
「相手はアマゾネスじゃぞ! そんなひ弱な体じゃあ一瞬で背骨を折られるわい」
「さ、さすがに子作りの時ぐらいは手加減する・・・だろ?」
それにマティルダさんは肉体はさておき、頭は常識人だからな。
「子作りじゃからこそ熱くなって我を忘れるんじゃろが!」
た、確かにそれは言えてるな。
あれ? 強力な味方欲しさに致命的なことやっちまったか?
「まぁ何とかするさ・・・」
「本当に頼むぞ。サバ折りにされたロビンの遺体など渡したら、キャシーはそれこそ発狂しかねんわい」
おいおい、脅かすなよ。想像して背筋に冷たいものが走ったじゃないか。
だがもう遅い。もう後には引けない。
今夜、マティルダさんのゴールの中へボールを叩き込む。何発もだ。
あわよくばそれで決勝点をあげてやる。受精的な意味で。
んんん? ちょっと待てよ。
本当に子供が出来たらその時点で彼女は故郷に帰ってしまうんじゃないか?
そうなったら俺はどうするんだ。
一緒に付いて行くのか、一人残されてしまうのか。
ここは重要なポイントだな。
人の世界で普通に生活するか、アマゾネスの世界で種馬という名のハーレム生活を送るか・・・まさに運命の分かれ道だ。
さて、どうする?
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