幕間 座学授業・呪術とは



 妖が跋扈ばっこし、人々をその溢れる呪力を以て脅かしていた平安時代。当初は占術使せんじゅつつかいであった陰陽師達は、『呪術じゅじゅつ』と呼ばれる技を以て、妖に対抗していました。


 しかし呪術は正確に組み立てられた技術と呼べる代物ではなく、巨大な祭壇、大量の供物、莫大な代償等を用意して行う、一種のに近い物でした。


 供物と共に神に祈り、奇跡を願う。『おまじない』と言えば、伝わりやすいでしょうか?


 もちろんそれを用いる事は困難を極め、間違った方法で行われた儀式と共に、多くの術者や関係の無い人々が反動で犠牲になった、という記録も残されております。


 そんな現状を憂い、変革を起こそうとしたのが、かの『安倍晴明』です。


 安倍晴明は呪術を極めると同時に、それを正しく、簡潔に履行する為の知識を記して行きました。最終的にそれを『祓魔式ふつましき』として昇華させ、陰陽師達に広めていったのです。


 特殊な文字を起点に体系化された技術は瞬く間に広まり、現代までほとんど姿を変える事無く、伝わっています。


 逆に呪術の殆どは失われており、禁書として指定され厳重に保管された物しか残っておりません。わざわざ今現れる弱い妖を祓う為だけに扱おうとするメリットは、全くと言える程無いでしょう。


 そして呪術の本質は、妖や、恐ろしいのろいに近い物。あやふやな知識で触れれば最後、必ず身を滅ぼすことになります。

 

 皆さんは、決してそれらに触れようとは思わないで下さい。


 もし、それに関する物を見つけたなら――――学園や近くの連絡屋に速やかに届け、二度と表の世界で呪術が扱われる事の無いよう、協力してください。


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