第6話 誕生日なんです

「ありがとうございますー」


拍手が湧き上がった。

なんて気持ちい日なんだ。

なんていい一日だ。

なんていい誕生日なんだ。

「皆様私今日っで二十歳になります〜」


「オ〜いいじゃん」

「お姉ちゃんお酒飲めるね」

「おめでとう」

「ありがとう」


代々木公園。広場では男女入りまじったアイドルグループが歌っている。

小学生の女の子が憧れの眼差しで見ている。


数時間たち


ライブが終わり、広場では物販が行われていた。


「おかあさーん・・おかあさーん」

女の子はお母さんとはぐれたのか、あたりを見回している。

「どしたの❓」

「・・・」

「・・お母さんとはなれっちゃった・・・ゆうこと聞かないでずっとここにいたからかな・・・」

今にも泣きそうな女の子に

「よしじゃあお兄さん探してあげるよ」

「ほんと〜❓」

「うん」

女の子は左胸にバッチをつけている。

「 今日誕生日なの❓」

「うん」

「そうなんだおめでとう」

「・・ありがとう」


お兄さんの笑顔で自然と笑顔になれた。


「まこ〜あんたどこ行ってたの」


お母さんはいつもと同じ誕生日でも眉を顰めている

「ごめんなさい」

「あんた・・アッごめんなさい。うちのこが・・」

「いやいや今日誕生日なんですよね❓」

「・・・そうですけど」

「可愛いお子さんですね絶対将来別嬪さんになりますよ」

「・・・」


笑った。母が初めてだろうか笑った。



石崎拓。

その人がいなければ母の笑顔見ることもできなかったのかな。

もう一度会えただけでもラッキーだった。

それだけで終わると思っていた誕生日の夜だった。

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