2-3
僕たちはとりあえずその日の放課後に、1年A組の教室に集合した。
僕と亜希ちゃんは部活に所属していない。美空が所属している女子バレーボール部は、点検の都合で体育館が使えないため部活は休み。一色さんが所属している美術部は今日は自由参加の日だそうだ。
4人でなんとなく僕の席のあたりに集まっていると、教室のドアの方から声をかけられた。
「朋己。帰ろうぜ。あれ? 取り込み中か?」
「ん。奏太。ちょっとね」
奏太はそのまま教室に入って僕らのところまで歩いてきた。
体育館が使えないということはバスケットボール部も休みということか。ちょうどいい。人手は多いに越したことはない。奏太にも手伝ってもらうとしよう。
「ねえ、奏太。ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」
「手伝ってほしいこと? 別にいいけどなんだ?」
詳しい内容を聞く前から了承してしまうあたり、相変わらず奏太はお人よしだ。
「よっ。奏太」
「おう。美空か。これはなんの集まりだ?」
美空が奏太に事情を説明してくれている。
「なるほどな。難しいことはよくわかんねぇけど面白そうじゃん」
奏太は詳しい話を聞いて、今回の件に興味を持ったようだ。もしかしたら奏太の身体能力が役に立つことがあるかもしれない。
そのとき亜希ちゃんが僕の制服の袖をちょんちょんと引っ張った。
「ねぇ、朋己くん。お友達?」
いきなり大きい男が入ってきて亜希ちゃんはびっくりしているようだ。
「うん。僕と美空とは中学からの友達の沢村奏太」
「B組でバスケ部の沢村奏太だ。よろしくな」
「A組の進藤亜希です。朋己くんの友達だよ」
亜希ちゃんは今日たくさん自己紹介をしている。
「私は今回のいわゆる依頼人の一色絵美。沢村くん。協力してくれてありがとう」
「おう。2人ともよろしく」
こうして今回の美術部幽霊事件を調査するメンバーが集まった。
「で、どうすんだ? 夜の学校に忍び込んでみるか?」
奏太が冗談とも本気ともわからない提案をする。
「それはリスクが高いよ。それに考えなしでそんなことしたら、はしゃいでいる野次馬と同じになっちゃう。僕はそんなのごめんだよ」
僕がそう言うと、奏太は少し呆れたように肩をすくめる。
「じゃあどうする? 私はとりあえず幽霊を最初見たっていう本人に話聞くのがいいと思うんだけど」
と美空が提案する。至極真っ当な意見で僕もそれに賛成だ。
「うん。それがいいね。一色さん。その人とは話せる?」
「大丈夫だと思うよ。今日はちょっと仕上げたい絵があるから、部活に参加するって言ってたから、美術室にいると思う」
ということで、僕たちは揃って美術室に向かった。
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