1-2

 その後は奏太と一緒に学校の話などをしながら登校してそれぞれの教室に入った。

 僕は自分の席の周りの生徒に軽く挨拶だけして席に着く。

 僕の席の近くで楽しそうに昨日のテレビの話などで盛り上がっている生徒たちの輪に入ることもなく、僕はカバンから文庫本を取り出して読み始めた。

 その盛り上がっている生徒たちの話はなんとなく耳に入ってはいるが、その話題についていける自信もないし、そもそも話しかけて輪に入れるわけなんてない。

 僕は高校に入ってからずっと授業以外の時間はこのように過ごしていた。なので僕にとってはある意味授業の時間が一番心が安らぐ時間だ。

 今日の時間割は1、2時間目は普通に授業を受けて3、4時間目は星河高校の部活動紹介だ。

 この辺りでは一番人数が多い高校である星川高校は比較的部活動が盛んで、部の数も多い。

 なので2時間分の授業時間を使い、各部活5分ずつという短い時間の中でその部活の魅力や活動内容を伝える。

 僕は部活に入るつもりはないので、正直に言ってしまうと退屈な時間を過ごすことになるんだろうなと思いながら、先生の指示のもと体育館に移動した。

 部活動紹介を期待するクラスメイトたちを横目にどこか冷めた気持ちで開始を待っている。

 僕はなんとなくざわめいているクラスメイトたちを見渡した。

 その中にひとり、僕と同じようにどこか退屈そうな表情で座っている女子がいることが気になった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る