第19話 自覚の有る無し
どういう状況?
ミリムが妖狐に襲われているのを感知した私はその場に急ぎ直行した。
その場に着いたは良いものの状況は混沌としていた。
ミリム、私を殺そうとしてきた魔法使いの女の子、転生者の山川俊吾、そして妖狐。
ミリムが未だ無事なのは良いとして冒険者二人はミリムを助けてくれていたのだろうか?
まあ理由も状況も分からないがミリムが負傷している今、早くリアの元に連れて治療させないとまずい。
――――――解析
[クラン]
[種族]:妖狐(九尾)《上位種》
[状態]:良好
[加護]:『狐種の之加護』――火系統の魔法適正上方
[
『狐火』-一定時間炎魔法に延焼時間UP
『火魔法(超級)』--『炎魔法(超級)』
『土魔法(上級)』
『闇魔法(上級)』
『魔導之教え』
『俊足』
[兎への適正]大
あれ?『鑑定』が通った。何故だろう?
まあいいや。
とりあえず私を以前襲った妖狐で間違い無いようだ。
けれど、変な違和感がある。
この違和感は何だろう。
以前とは何かが決定的に違う。
「こおぉぉんっ!」
妖狐の鳴き声とと共に辺り一面が炎に包まれ、そして私を狙うように一直線に火柱が迫る。
私はそれを一つ一つ避けながら、氷で槍を生成する。
氷の中級魔法『
駄目で元々で放った魔法であったが案の定妖狐に届くまでに炎によってかき消される。
あっちが超級、こっちは中級魔法までしか使えないので魔法の打ち合いは分が悪いみたいだ。
となると、真っ向から物理で戦うしかないか。
私は何度も妖狐の攻撃をさけながら、攻撃パターンを分析する。
ステータス通りの炎魔法を得意とした中遠距離戦闘型。
森が燃えるのお構い無しの炎魔法は火力も高く非常に厄介だ。
近付こうにも警戒されて攻めきる事が出来ない。
この膠着した状態をどうにかしないと。
けれど接近戦を警戒されてしまって距離を縮める事が出来ない。
そこで胸の中にもやもやとあった違和感の正体に気づく。
妖狐が警戒している?私を?
以前は満月時の補正も加味した上で妖狐に一方的にいたぶられていたと言うのに今回相対した時は最初から私への敵性も高く、炎魔法も容赦なく放ってくる。
明らかに以前の遊びとは一線を画している。
それに中位種のまま進化していない私が上位種の妖狐と対等に渡り合えていることが本来可笑しい。
意識しないままかなり強くなっていたと言うことだろう。
確かに落ち着いて妖狐を見ればヒマとそれほど強さに差があるようには見えない。
つまり、今の私ならある程度の余裕を持って勝てる相手だということだ。
その事実に気付いた瞬間己の魔素が知覚させる。
ああ、何で気付かなかったんだろう?
己の身から魔素が溢れる。
その変化に白子は気付いていない。
しかし、変化を察してか妖狐がこれまで以上の狐火を周囲に漂わせ、放つ。
私は『 』で思考を加速させる。
攻撃の癖を計算にいれた予測したパターン。それに対する反撃。
妖狐を倒すまでの筋書きを組み立てていく。
そして、それらの計算が不要だという結論に至る。
『 』によって加速した世界は全てをこまおくりのように見せる。
不思議だ。この程度に私は苦戦していたのか。
私は加速した思考の中、最適最短の動きで前へ出た。
妖狐にめがけて真っ直ぐ真っ直ぐ真っ直ぐに。
炎魔法。確かに強力な一撃だ。
しかし、遅い。遅すぎる。
加速した思考と比例するように速度が加速する。
その速さに既に魔法では捉えきれない。
妖狐が身体を震わす。
それが何の感情からきているのか私には分からない。
けど、そんな事はどうでもいい。
妖狐は極大の炎のベールを身体に纏う。
それが防御なのか攻撃なのか私には分からない。
けど、そんな事はどうでもいい。
突撃。突進。突貫。
私の得意技。
これをこの狐は受けられない。
確かな確信があった。
だから私は只ひたすら前へ進み妖狐に突進した。
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