第14話 名付け
魔兎達は食事をし終えると今度は私のお腹周りで丸くなり眠り出す。
まったく、随分と私になついているものだ。
無条件にこうまでなつかれてしまうとどうしても愛着が沸いてしまう。
眠る彼等を優しく見守っている時、私は有る重要な事に気付いてしまった。。
そう言えばこの子達の名前がなかった!
うーん。
これから一緒に暮らすのだから……名前くらいつけてあげたいけど、名付けなんてしたことがないからどうつければ良いのか検討がつかない。
…………。
暫しの間、熟考し私は深く考えるのを諦める。
とりあえず呼びやすい名前にしとこう。
動く植物事リアルマは『リア』
石の亀ちゃん事ヒマルは『ヒマ』
そして魔兎は……『ミリム』
よしこれで__。
……あれ?
私の中から何かが流れ出し意識が遠退いていく。
……眠い?
あれ可笑しいな?
____________________。
次に目を覚ました時、魔兎達は私の周りでじゃれあっていた。
(わ、ママ)
(起きた……)
私はまだ気だるい身体を起こして状況を確認する。
一体今のは何だったんだろう。
急激な眠気で意識を保つ事すら出来なかった。
とりあえず試しに自分の「ステータス」を『鑑定』で確認してみる。
[
[種族]:魔魔兎(中位種)
[状態]:魔素欠乏
[加護]
『兎神之寵愛』_全能力値に成長補整(大)・特殊耐性・超回復(夜間時)・身体能力強化(大)(夜間時)
[
『
『
『鑑定』_情報解析・情報分析
『突貫』_突貫(突進時貫通補整(大))
『氷魔法(低級)』
『感覚強化』_五感の継続的強化
『敵性感知』_敵性意思を持つ生物を感知
『大食らい』_食欲増加・胃袋拡大
『同胞の絆』_兎種の魔獣との
[
『物理』lv2
『貫』lv9(最大補整)
『斬』lv1
『魔法耐性』
『火』lv1
『闇』lv5
『氷』lv2
『精神』lv9(最大補整)
―――――――――――――――――――
どうやら、今の私は魔素欠乏状態らしい。
うーん。
魔素は魔法を使うときに消費するエネルギーだと言うのは理解しているけど、魔法も一切使っていなかった私が何故この状態になったのだろうか。
不思議に首を傾げて改めて[ステータス]を確認すると『
しかも、補足欄に魔素の消費と記載されているのだ。
これだ。
もしかして、と私はじゃれている三匹を鑑定する。
___解析。
[ミリム]
[種族]:麻兎(下位種)
[加護]
『生命之祝福』_全能力値に成長補整(小)・全能力強化(小)・生命力に補整(小)・生命の還元・意志疎通
[
『跳躍』
『魔導之教え』_魔法系統の
New!『氷魔法(低級)』
______
[リア]
[種族]:アンアルマ(劣種)
[加護]
『生命之祝福』_全能力値に成長補整(小)・全能力強化(小)・生命力に補整(小)・生命の還元・意志疎通
[
『硬質化』_表皮を硬質化
New!『伸縮』
______
[ヒマ]
[種族]:
[加護]
『生命之祝福』_全能力値に成長補整(小)・全能力強化(小)・生命力に補整(小)・生命の還元・意志疎通
[
New!『土魔法(低級)』
三人とも私の考えた名前がついている。
それに新しく『能力』が増えているし、種族名も変化していた。
名前を与えることで種としての強化がされる。これが名付けの効果なのだろう。
良く見ると見た目も多少変化している。
けれど彼ら自身はその事に全く気づいていないようだ。
しかし、となるとあの眠気は魔素欠乏による緊急事態だった訳か。
もし、あれ以上の数を名付けしてしまっていたらどうなっていたのか想像がつかない。
良くて昏睡。悪くて死亡。
そんな想像をしてしまったら気分が悪くなったきた……
全く、自分の『能力』で死にかけるなんて間抜けすぎる。
次はもう少し気を付けないと。
と言っても今回は『能力』を使おうとしたわけじゃなかったけど。
(ママーどうしたの?)
(元気ない?)
じゃれていたミリム達は私の様子に心配したのか駆け寄ってくる。
心なしか言葉が上手くなっているような気がする。
……あれ?
(今、リアも喋らなかった?)
(リアー?)
(……誰?)
(そういえば伝えて無かったね。貴女がリア)
(……私、リア?)
(そう、リア。貴女の名前よ)
リアは枝をくねくねと動かしながら嬉しそうに自分の名前を繰り返していた。
それを見たミリムは羨ましそうに私のお腹に頭突きしながら。
(あたしはー!あたしー!)
(貴女はミリム)
(ミリムーっ!)
私が名前を教えるとぴょんぴょんと嬉しそうに跳ね回る。
こんなに嬉しそうにしてもらえるなら名付けをしたかいがあったと言うものだ。
そして、もう一人。
未だ沈黙したままのヒマにも名前を教える。
(君は静かだね?まだ喋れない?君はヒマ)
小さな亀がのしのしとゆっくり歩き、此方に近寄ってくる。
そして私の前で止まり固まる。
(どうしたの?)
(……)
たずねても何も返さないのでまだ喋ることが出来ないみたいだ。
名付けをしても意志疎通がとれるようになるわけではないというか。
けど、能力に『意志疎通』はあるのでいずれは喋られるようになるのだろう。
私が視線をヒマから離すとヒマは殻の中に身体を隠す。
(……俺、ヒマ)
ぽつりと呟いたようなテレパシーが私に伝わってきた。
喋った!
どうやら、ヒマは恥ずかしがりやなようで余り喋らないみたいだ。
なるほど。私の前で能力で生み出したと言ってもしっかりと個性があるんだな。
うむうむ。
小腹の空いた私は貯めておいた干草を食べながらこの子達をこれからどう育てるのか思案するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます