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唄は「どうぞ。体、あったまるよ」と言って道子が煎れてくれた温かいお茶を飲んだ。
そのお茶は、とても美味しかった。(それに体も確かに温まった)
突然の大雨はまだ降り続いている。
それから二人はなにを話すでもなく、お互いに相手のことを見つめあった。
日下部道子はとても美しい人だった。
長い黒髪と白い肌。
背が高くて、顔もとても綺麗だった。
性格も明るくて、勉強もできた。
道子はみんなから人気があった。
でも、どこか遠いところにいる、と言う雰囲気がして、誰も道子の、本当に近いところにいる、ことはできなかった。(男女問わず、だ)
どこか神秘的といってもいい。
道子にはなにか、近寄ってはいけない、触れてはならない、というような、そんな気持ちにさせる雰囲気がした。
「白川くんの家。ここから近いの? 確か、白川くんの家は神社だったよね」
道子はいった。
道子の言う通り、確かに唄の家は神社だった。
白川神社という、この地域を守るための水の神様を祀るために、古い時代に建てられた神社の家系に唄は生まれた。
「うん。そうだよ」
道子を見て、唄はいった。
道子は客間の明かりをなぜかつけなかったから、薄い暗闇の向こう側に道子は見えた。
道子の白い顔はその薄い暗闇の中にぼんやりと浮かんでいるように見えた。
道子は今日、いつも巣ノ森高校で見るような、黒色の制服姿ではなかった。道子は私服を着ていた。
白いセーターに、青色のジーンズというラフな格好だった。
唄も今日は巣ノ森高校の黒色の制服をきていなかった。
唄は灰色のトレーナーに、紺色のジーンズという格好だった。
唄は座布団の上に正座をして座っていた。
道子は座布団の上で足を崩して、両足を揃えて横にするようにして、楽な姿勢で座布団の上に座っていた。
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