第4話 エクストラスキル

 

「草木に宿りし命よ、我が言に応えて力を貸し給へ。その蔦によって我が敵を拘束せよ『リーフバインド』」


 周囲の草木が荊を生やしながら伸びていき、リトルボアを拘束する。


「切り裂け『ウィンドカッター』」


 リトルボアの首が飛び、同時にリーフバインドも解けてリトルボアの体はドサリと地面に落ちた。


 リーフバインドは草木を成長させ、自在に操り相手を拘束するのに使う魔法だ。

 難しい魔法ではないが、基本的にはほんの少し蔦を伸ばして足を絡めたり、不意打ちで腕を抑えたりするのに使う下級の魔法であり、フリージアのようにリトルボアを雁字搦めにするには大量の魔力を必要とする。

 完全詠唱して少しは魔力を抑えたものの、あまり長い時間は保たなかったため、短縮詠唱でウィンドカッターを行使した。


「そろそろギルドに登録してもいいかもな。

『ステータス』」


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

フリージア 人族 レベル29

 体力 730

 パワー 190

 スピード 280

 ガード 230

 魔力 520

 スキル 植物魔法 風魔法 水魔法

 エクストラスキル 24:00以降に解放

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 先程まではなかったはずのエクストラスキルの表示が増えていた。


 エクストラスキルとは、レベルが100になるまでに1つは手に入るもので、人によっては先天的に持っている場合もある。


 2つ目以降はレベル100毎にひとつ手に入るとされているが、レベルの最高到達者が255で、レベルが200を超えたのはたった3人であり、その全員がレベル200でエクストラスキルが手に入ったことから、そう言われているだけで、それ以降についてはいまだに謎である。


 エクストラスキルは平均的にレベル70くらいで手に入るものなので、俺のように25で手に入ったのはかなり早い方だろう。


 エクストラスキルといっても能力や強さはそれぞれ異なる。

 例えば、空間魔法などの基本属性以外の魔法属性であったり、魔法威力強化、剣術適性強化、珍しいものでは農地開発などもある。

 また、先天的なエクストラスキルでは、勇者などの特殊な職も含まれる。


「エクストラスキルが未開放‥‥か」


 エクストラスキルは開放されるときに初めて表示される。なので表示されたにもかかわらず未開放というのは特殊な条件があるということだろう。


 一般に知られているエクストラスキルの中で、フリージアと同じ現象が起きるものは、「太陽を浴びている間全ステータス二倍」や、「日陰にいる間全ステータス二倍」などの、制限があるスキルがある。

 どれも強力ではあるが、ステータスが変わるのは慣れないうちは大変な上、長時間の戦闘時に条件を満たせなくなることがあるという、使い勝手の悪いものだ。


「もう夕方だしな、今日は諦めて帰るか」


 エクストラスキルについては非常に気になるが、24時までまだ6時間近くある。

 気にはなるが、どうしようもないので今日は帰ることにした。

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