episode277 島の調査イベントの情報整理

 それからイベントに関しての情報を集めた俺達は頃合いを見て拠点に集まっていた。


「そちらはどうだった?」


 互いに席に着いたところで、俺はリッカに首尾を尋ねる。


「……大した情報ない」

「そうか」

「シャムは?」

「こちらも似たようなものだな」


 街で情報は集めたが、大した情報は得られなかったからな。わざわざ話をするまでもなさそうだった。


「とりあえず、情報をまとめてみるか」


 だが、知らない情報があるかもしれないからな。ここで話をり合わせておくことにした。


「……ユヅハから提示されたリスト見た?」

「む、そう言えばまだだったな」


 そう思ったのだが、その前にユヅハに見せられた報酬のリストを確認しておいた方が良さそうだからな。

 その情報を見てからの方が何かと都合が良いので、先にリストの確認を済ませておくことにした。


「では、確認してみるか」


 そのリストは情報を得たことでイベントページから見られるようになっているからな。

 俺はメニュー画面を開いて、ユヅハに見せられたリストを表示する。


「ふむ……目玉報酬は【霊妖の宝珠】と【妖狐の勾玉飾り】の二つか」


 リストを見た感じだと、目玉報酬は【霊妖の宝珠】と【妖狐の勾玉飾り】の二つのようだからな。

 【玉藻石】など他にも魅力的なアイテムはあるが、ユヅリハ側に付くのであれば、限定品と思われるこの二つを優先するのが良さそうだった。


「とりあえず、【霊妖の宝珠】は俺だけ取れば良いか」


 【霊妖の宝珠】は効力を30上げる宝珠だからな。リッカには必要ないので、これは俺だけが取れば良さそうだった。


「問題は【妖狐の勾玉飾り】だが、どうやら、効果は五つの中から三つを選ぶことになるようだな」

「……うん」


 また、一番の目玉報酬である【妖狐の勾玉飾り】に関してだが、この装飾品は品質を上げることで効果を発現させるのではなく、初めから品質は100の状態で、ポイント交換の報酬として効果を付与してもらうという形になっていた。

 その効果は全部で五つあり、最大で三つまで付与できるので、戦闘スタイルに合わせて好きな効果を選ぶことができるようになっている。

 ちなみに、その性能と効果は以下のようになっている。



━━━━━━━━━━


【妖狐の勾玉飾り】

物防:12

魔防:12

効力:60

耐久:100

重量:1

空S:3

品質:100

Cost:40/40

説明:妖狐の力が込められた勾玉をあしらった首飾り。妖狐の魔力が装備者に力を与える。



《発現効果》

【妖狐の妖力】

 妖刀の妖力の回復量が増加して、消費量が減少する。

 また、妖刀スキルでダメージを与えたとき、対象に消費した妖力値に応じた無属性の追加ダメージを与える。

 さらに、戦闘開始時に妖刀を装備していた場合、妖力値が50回復する。


【霊神の片鱗】

 霊杖の霊力の回復量が増加して、消費量が減少する。

 また、霊杖スキルでダメージを与えたとき、対象に消費した霊力値に応じた無属性の追加ダメージを与える。

 さらに、戦闘開始時に霊杖を装備していた場合、霊力値が50回復する。


おんあやかし

 戦闘時に効力が上昇して、状態異常及び弱体効果の付与率が上昇する。

 さらに、戦闘時にHPとMPが一定時間ごとに回復する。


【退魔の勾玉】

 全状態異常耐性と全弱体耐性が上昇する。

 さらに、状態異常及び弱体効果の効果を軽減する。


【化かす者の見地】

 クリティカル攻撃の威力が10%上昇する。

 さらに、『見透かす瞳』が使用できるようになる。


『見透かす瞳』

 一定時間、以下の効果を得る。

 〇幻影が分かるようになる。

 〇遮蔽物の先を一定距離まで確認できるようになる。

 〇効果時間中に一度だけ、対象に自分だけが確認できる発光を付与できる。

 クールタイム:90秒


━━━━━━━━━━



「この効果だと、リッカなら『妖狐の妖力』、『退魔の勾玉』、『化かす者の見地』、俺なら『おんあやかし』、『退魔の勾玉』、『化かす者の見地』の三つになりそうだな」

「……他に択はない」


 この選択肢だとこれよりも良い組み合わせはなさそうだからな。どの効果にするかで迷うことはなさそうだった。


「霊杖は気になるが、今考えるようなことではないか」


 霊杖は杖の上位武器だと思われるが、霊杖に関しての情報は一切持っていないからな。考えても仕方がないし、イベントとも関係がないので、今は考えないことにする。


「『見透かす瞳』のスキルは……どうなんだ?」

「……さあ?」


 『見透かす瞳』には三つの効果があるが、幻影が分かるようになるという曖昧な説明だったり、発光を付与するなど、よく分からない効果だらけだからな。

 何と言うか、実際に使ってみなければ効果を実感できない、非常に評価に困る内容になっていた。


「まあその話は一旦置いておいて、リッカは確実に取っておいた方が良さそうだな」


 俺は装飾品の枠が既に埋まっているが、リッカはそうではないからな。効果も悪くなく、繋ぎとしては十分な性能なので、是非とも取っておきたいところだった。


「とりあえず、確認はここまでにして、話を戻すぞ」


 少し脱線したが、本題は情報をまとめることだからな。確認は済んだので、そろそろそちらに戻ることにした。


「まず、確かなことは言えないが、各組織との仲には影響しそうだな」

「……うん」


 これに関しては確証は得られていないが、話を聞いた感じだと、所属した陣営の組織との仲に影響しそうな感じだったからな。

 どの陣営に付くべきかはそこも考えて決めた方が良さそうだった。


「それと、貢献度ポイントのメインの稼ぎ手段になると思われる遺物の回収だが、これは思った通り早い者勝ちになるようだな」

「……しかも奪える」


 また、一番の稼ぎ頭になると思われる遺物の回収についてだが、倒されると遺物はその場にドロップしてしまうようだからな。

 遺物の数に限りがあることもあって、かなりの争いになることが予想された。


「となると、事前にどう動くかは考えておいた方が良いか」


 様子を見て立ち回りを考えるというのも一つの手だが、早い者勝ちである以上、初動で出遅れるのは避けたいからな。

 少なくとも、初動でどうするかは事前に考えておいた方が良さそうだった。


「至上派の連中が動いているという噂話もあるが、今はその話はしなくて良いか」


 至上派は共存派とは反対になる派閥で、自身の種族が至高であるとして他種族を排斥するような至上主義の派閥らしいが、あまり詳しいことは知らないからな。

 これに関して語れることはないし、イベントと関係があるかどうかも分からないので、その件については一旦置いておくことにした。


(だが、このタイミングでその話が流れ出した以上、イベントに関係する可能性は高いよな……)


 昨日まではそんな話は一切されていなかったからな。イベントの情報が公開されたこのタイミングで話が流れ出したとなると、イベントに関係して来る可能性は高いので、調べておいても良さそうだった。


(『セントラル運営評議会』のメンバーに聞くのが一番だが、現実的ではないか)


 共存派の代表が集まった『セントラル運営評議会』のメンバーであれば詳しいことを知っていそうだが、立場が高い者ばかりで、そう簡単には会えないからな。

 話を聞けそうなエルリーチェやミルファとは会えないことが確定しているので、『セントラル運営評議会』のメンバーに聞くのは難しそうだった。


(まあそれに関しては機会があれば聞くぐらいで良いか)


 イベントでの立ち回りを考えることと比べると優先度は低いからな。その件に関しては、今は機会があれば聞くといった程度に留めておくことにした。


「俺からは以上になるが、そちらからは何かあるか?」

「……特には」

「そうか」


 リッカに他に情報がないかを確認してみるが、思った通り特に情報はないようで、話をするのはここまでで良さそうだった。


「では、その上で聞くが、リッカはどの陣営に付くべきだと思う?」

「……ユヅリハ」

「分かった。では、その方針で話を進めて行くか」


 俺もそれで良いと思っていたからな。ここはユヅリハ側に付く方針で動いていくことにした。


「早速そのことを伝えるか?」

「……うん」

「分かった。では、連絡するか」


 ユヅリハ側に付くことを表明すれば、新たに情報を開示してくれるかもしれないからな。早い段階で伝えておいた方が良さそうなので、早速ユヅハに連絡することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る