episode274 島の調査イベントの報酬
市場を後にした俺達は特設受付が近くにあるという中央広場にやって来ていた。
「さて、この近くにあるはずだが……あそこか?」
中央広場に到着したところで辺りを見回してみると、北の通りにプレイヤーが集まっている場所があることが確認できた。
「とりあえず、行ってみるか」
「……うん」
「グルッ!」
他にそれらしき場所も見当たらないからな。行かない理由もないので、このまま近付いて見てみることにした。
俺達はそのまま歩いて人混みの前にまで移動して、そこからプレイヤーが集まっている場所を確認してみる。
「ふむ……どうやら、ここで間違いないようだな」
確認してみると、そこには「参加受付」と書かれた看板が掲げられていて、イベントの参加受付が行われていた。
「ここからでも情報を見られれば良いが……む、行けるな」
剣闘祭で掲示板を調べたのときのように、遠距離から情報を確認できないかと試してみると、この距離でも情報を確認することができた。
なので、このままこの場から情報を見ていくことにした。
「ふむ……報酬のリストがあるな。見てみるか」
「……うん」
情報を確認してみると、すぐに『クローフェル商会』と『サルフェリー商会』のそれぞれの陣営における報酬のリストを発見することができた。
このリストの確認はここに来た一番の目的なので、早速リッカと一緒にその内容を確認していく。
「目玉報酬は『クローフェル商会』側は【ギルドコンフォートの宝珠】と【護法のアミュレット】、『サルフェリー商会』側は【ギルドライフの宝珠】、【破鉄の腕輪】、【魔壊の腕輪】といったところか」
リストを見た感じだと、この五つが今回のイベントの目玉報酬のようで、これらの獲得を目指して攻略を進めていくことになりそうだった。
「……宝珠は良い」
「そうだな。だが、どちらか一方しか取れないのがな……」
【ギルドコンフォートの宝珠】は耐暑レベルと耐寒レベルを0.3上昇させる効果、【ギルドライフの宝珠】はHPの最大値が50上昇する効果で、どちらも欲しいぐらいだが、一方しか選べないからな。これだけでも悩ましいところだった。
「まあそれはさておき、装飾品の品質は三段階で、効果が追加されるタイプのようだな」
また、装飾品は前回の【剣闘士の腕輪】と同じように、品質を上げると効果が追加される形式で、それぞれの性能は以下のようになっている。
━━━━━━━━━━
【護法のアミュレット】
物防:12
魔防:12
耐久:100
重量:1
空S:3
品質:100
Cost:40/40
説明:護りの力が込められたアミュレット。その守護の魔力が装備者を守ってくれる。
《発現効果》
【物的守護】
確率で受ける物理ダメージを減少させる。
さらに、戦闘開始時と戦闘中に三十秒が経過するごとに、自身に一度だけ受ける物理ダメージを減少させる効果を付与する。
【魔力守護】
確率で受ける魔法ダメージを減少させる。
さらに、戦闘開始時と戦闘中に三十秒が経過するごとに、自身に一度だけ受ける魔法ダメージを減少させる効果を付与する。
【厄災守護】
状態異常及び弱体効果を確率で無効にする。
さらに、戦闘開始時に自身に一度だけ状態異常及び弱体効果を無効にする効果を付与する。
【破鉄の腕輪】
物防:12
魔防:12
耐久:200
重量:1
空S:3
品質:100
Cost:30/30
説明:破壊の力が込められた腕輪。物理攻撃に破壊の力を与える。
《発現効果》
【破壊の剛力】
物理攻撃時に確率で靭力低下、物理防御力低下の効果を付与する(確率判定はそれぞれで独立)。
この効果は三段階まで重複して、段階が上がると効果が上昇する。
【破壊の追撃】
物理攻撃で敵を怯ませたとき及びスタンを付与したときに追加ダメージを与える。
また、クリティカル攻撃の威力が10%上昇する。
さらに、クリティカル攻撃成功時に追加ダメージを与えて、自身に一定時間、物理攻撃力が上昇する効果を付与する。
【貫く破壊】
物理攻撃時に確率で防御力の一部を無視する。
この効果は靭力及び物理防御力が低下している敵を攻撃する場合、発動率が上昇する。
【魔壊の腕輪】
物防:12
魔防:12
耐久:200
重量:1
空S:3
品質:100
Cost:30/30
説明:魔法に破壊の力を与える腕輪。装備すると、魔法攻撃に破壊力を持たせることができる。
《発現効果》
【破壊の魔力】
魔法攻撃時に確率で理力低下、魔法防御力低下の効果を付与する(確率判定はそれぞれで独立)。
この効果は三段階まで重複して、段階が上がると効果が上昇する。
【魔力の壊撃】
キャストタイムのある魔法スキルでの攻撃時に確率で敵を怯ませる。
また、クリティカル攻撃の威力が10%上昇して、魔法攻撃で敵を怯ませたときに追加ダメージを与える。
さらに、クリティカル攻撃成功時に追加ダメージを与えて、自身に一定時間、魔法攻撃力が上昇する効果を付与する。
【貫く魔力】
魔法攻撃時に確率で防御力の一部を無視する。
この効果は理力及び魔法防御力が低下している敵を攻撃する場合、発動率が上昇する。
━━━━━━━━━━
「……この中なら【破鉄の腕輪】一択」
「まあリッカはそうなるよな」
魔法攻撃を強化する【魔壊の腕輪】は論外として、防御に特化した【護法のアミュレット】はリッカには合わないからな。
彼女には物理攻撃を強化する【破鉄の腕輪】以外に選択肢はなかった。
「……でも、そこまで必要じゃない」
「確かに繋ぎとしては優秀だが、もっと良い物が作れそうではあるな」
【破鉄の腕輪】の性能自体は悪くないのだが、作ろうと思えばより優秀な装飾品を作れるだろうからな。そこまで無理して取る必要はないし、最悪スルーでも良さそうだった。
ただ、【星界のアミュレット】よりかは使えるので、取れそうなのであれば取っておきたいところだった。
「俺は……どれもいらないか」
消去法で選択肢は【護法のアミュレット】に絞られるが、今使っている装備品の方が優秀だからな。俺は装飾品を取る必要はなさそうだった。
「リッカは所属するとしたらどちらの陣営が良いと思う?」
「……まだ保留」
「そうか」
一通り情報を確認したところで、俺はリッカに所属する陣営についての意見を求めるが、まだ決める必要はないと流されてしまう。
(まあ確かに今考える必要はないか)
所属する陣営はイベントが始まるまでに決めれば良いからな。情報が揃ってから考えた方が良いので、今は情報を集めることに専念することにした。
「では、話の聞けそうなNPCから話を聞いていくか。む、そう言えば……」
俺は頭の中で情報を持っていて、かつ話を聞けそうなNPCを探していくが、ここであることを思い出す。
「昨日、アドラ様がユヅリハ様から話があると言っていなかったか?」
それはユヅリハからの話についてだった。試練が終わった後にアドラがそんなことを言っていたからな。
有力な情報を持っている可能性があるし、どうせその内話を聞きに行くことにはなるので、今から彼女に話を聞きに行くのはありだった。
「……うん。行く?」
「とりあえず、連絡してみることにしよう」
だが、アポなしで屋敷に行っても出掛けていて居ない可能性があるし、そもそもあそこまで行くのはかなり面倒だからな。
できれば向こうから来てもらいたいし、内容によっては通信して話すだけで済むので、ひとまず、連絡してみることにした。
「では、拠点に戻るか」
すぐに連絡したいところだったが、できるだけ人には聞かれたくないからな。
もうここで得られる情報もなさそうなので、ここはこのまま拠点に戻って、彼女に連絡することにした。
「その前にどこか行きたい場所はあるか?」
「……特にないし、情報収集も後で良い」
「分かった。では、行くか」
そして、そこで情報収集を中断した俺達はユヅリハから話を聞くために拠点に戻ったのだった。
◇ ◇ ◇
拠点に戻った俺は早速ユヅリハに連絡を取ろうとしていた。
「ユヅリハ様と話すのも久々になるな……」
彼女に最後に会ったのは剣闘祭の前になるからな。現実時間で換算すると二週間ほど前になるが、その間にも色々なことがあったので、その程度の期間でもかなり久々に感じられた。
「まあそんな話はさておき、早速、話を聞いてみるか」
だが、そんなことを考えていても仕方がないので、俺は準備ができたところでメニュー画面を開いて、ユヅリハと通信を繋ぐ。
「……ようやく連絡して来たわね」
「悪いな、昨日の内に連絡できなくて」
「別に気にしていないわ。アドラから話を聞いて、あなた達のことは分かっているから大丈夫よ」
「そう言ってくれると助かる。それで、用があると言っていたが、用件は何なんだ?」
歓談するために話をしているわけではないからな。通信を繋いだところで、早速、本題を切り出す。
「話はユヅハに任せているから、そちらから聞くと良いわ」
「そうか。では、このままユヅハと通信を繋げば良いか?」
「いえ、別件で直接会ってもらう必要もあるから、彼女に会って話を聞くと良いわ」
「分かった。どこに行けば会える?」
そう言われても、こちらにはユヅハの居場所が分からないからな。どこに行けば彼女に会えるのかを確認しておくことにする。
「そうね……セントラル遺構で待機するように言っておくから、すぐに向かってくれるかしら?」
「分かった。すぐに向かおう」
「良い返事を期待しているわ。またいずれ会いましょう」
そして、必要な話が済んだところで、通信が切断された。
「……話は聞いていたな?」
「……うん。このまま行く?」
「そのつもりだぞ」
この後はアギオスの装備品を作る予定だったが、南セントラル平原であれば装備も必要なさそうだからな。
あまりユヅハを待たせるわけにも行かないので、ここは装備品の作製は後回しにすることにした。
「では、行くか」
「……分かった」
「グルッ!」
そして、そのまますぐに街を出た俺達はセントラル遺構を目指して南セントラル平原を駆け抜けたのだった。
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