episode251 新調した装飾品
それから拠点で待機していると、しばらくしたところでリッカが帰って来た。
「戻ったか」
「……うん」
「とりあえず、現状がどうなっているかを話そう」
かなり準備は進んだからな。マテリアルクラフターの件のことも含めて、進捗状況を話していく。
「――ということだ」
「……そう」
「ひとまず、装備品から見ていくか?」
「……そうする」
『猫又商会』に装備品を作ってもらったからな。まずはそれを見せることにした。
「では、まずは俺の装飾品から見せることにしよう」
俺は取り出した首飾りを直接リッカに手渡して、その性能を確認させる。
ちなみに、今回作った俺用の装飾品の性能は以下のようになっている。
━━━━━━━━━━
【聖角竜の首飾り】
物防:10
魔防:10
耐久:200
重量:1
空S:2
品質:60
効果:聖角竜の心、宿りし炎、ドラゴンイグジスト
付与:高まる霊力、慈悲なき災い
Cost:0/40
説明:ホーリーホーンドラゴンの鱗をあしらった髪飾り。首飾りの素材には炎竜の牙が使われていて、炎の力と光の力が宿っている。
【聖角竜の心】
装備品に宿ったホーリーホーンドラゴンの力。
HPが一定量以上回復したとき、確率で状態異常を一つ回復する。
この効果は状態異常が付与されていないときには発動せず、一度の戦闘中に三回までしか発動しない。
また、光耐性が10%上昇して、光属性攻撃の威力が上昇する。
さらに、攻撃時に光属性の追加ダメージを二回与える。
加えて、キャストタイムのあるスキルの詠唱中に怯み耐性と氷結、スタン、麻痺耐性が上昇して、受けるダメージが減少する。
『聖角竜の心』の効果は重複せず、『聖角竜の心魂』の効果が適用されている場合、この効果は適用されない。
【宿りし炎】
装備品に宿った炎竜の力の一端。
火耐性が5%上昇して、攻撃時に火属性の追加ダメージを与える。
さらに、火属性ダメージを与えたときに確率で炎上、火傷、火耐性低下の効果を付与する(確率判定はそれぞれで独立)。
『宿りし炎』の効果は重複せず、『宿りし煉獄』の効果が適用されている場合、この効果は適用されない。
【ドラゴンイグジスト】
強大な力を持つドラゴンは存在そのものが脅威となる。
装備者が生存している限り、敵に以下の効果を与える。
〇状態異常及び弱体効果が付与される確率が上昇する。
『ドラゴンイグジスト』の効果は重複せず、パーティに『ドラゴンイグジスト』の効果が発現した装備品の装備者が複数人いても、それらの効果は重複しない。
また、パーティ内で『ドラゴンクオリア』の効果が適用されている場合、この効果は適用されない。
【高まる霊力】
付与コスト:25
霊力を増幅させることで、更なる力を得る。
戦闘時に効力が上昇して、呪い状態の敵に与えるダメージが増加する。
この効果は状態異常の付与に成功するたびに効果が上昇して、最大で五段階まで上昇する。
さらに、その効果段階に応じて以下の効果が追加される。
三段階以上:状態異常の付与に成功したとき、対象からMPを吸収する。
五段階:状態異常の付与に成功したとき、対象に確率で呪いを付与する。既に呪いが付与されている場合は代わりに効力値に応じた無属性のダメージを与える。
『高まる霊力』の効果は重複しない。
【慈悲なき災い】
付与コスト:15
状態異常が付与された敵を攻撃するとき、状態異常付与効果の発動率が上昇する。
『慈悲なき災い』の効果は重複しない。
━━━━━━━━━━
効果は耐性を中心に、付与効果は状態異常系の効果を中心にして、良い感じに整えることに成功していた。
「……耐性値揃った?」
「ああ。良い感じにな」
この装備で属性耐性値は火耐性は37%、氷耐性は42%、光耐性は37%になったからな。【マーチャルフレイムの宝珠】と【マーチャルブライトの宝珠】を着けることで、これらの耐性値を42%に揃えることができていた。
そして、それによって火、氷、光の三属性の耐性が『
「まあ地味に『高まる霊力』の移し替えに手間取ったようだが、費用的な問題はなかったので安心してくれ」
『高まる霊力』は【霊魂結晶】にしか付与されない付与効果だからな。
そこから移し替えていく必要があったので少し手間取ったらしいが、それに伴う費用は大したことがなかったので、そこは問題にするほどではなかった。
「では、次はリッカの物を見せよう」
「……分かった」
俺の装飾品の方は確認が済んだからな。次はリッカの装飾品を確認させることにした。
俺は首飾りを返してもらったところで、リッカ用の装飾品を手渡す。
ちなみに、その性能は以下のようになっている。
━━━━━━━━━━
【
物防:12
魔防:12
耐久:50
重量:0
空S:5
品質:100
効果:
付与:浮かび上がるようなふわふわ、軽快な風、
Cost:0/40
説明:
【
HPの回復量が大きく減少して、戦闘中にこの効果が付与された装備品を外すことができなくなる。
上記の効果は装備品が破損状態になっても無効にならない。
また、自身の一番目と二番目に低いステータス値が低下して、一番目と二番目に高いステータス値が上昇する。
さらに、戦闘時に以下の効果を得る。
〇クリティカル攻撃の威力が30%上昇する。
〇クリティカル攻撃時に防御力の一部を無視する。
〇クリティカル攻撃時に確率で対象の強化効果を一つ打ち消す。
〇クリティカル攻撃時に確率で自身に付与されているランダムな弱体効果一つを対象に移し替える。この効果は一度発動すると、六十秒は発動しない。
『
【魂の代償】
魂の力が装備者に絶大な力を与える。
HPの最大値が減少して、戦闘中にこの効果が付与された装備品を外すことができなくなる。
上記の効果は装備品が破損状態になっても無効にならない。
また、状態異常の敵に対して与えるダメージが増加する。
この効果は対象に付与されている状態異常の数に応じて効果が上昇する。
さらに、一度の冒険中に一度だけ、蘇生待機状態のときにソウルリリーストークン一つとMPを最大値の半分消費することで、自身を最大HPが1で固定された状態で蘇生できるようになる。
加えて、全状態異常耐性が上昇して、戦闘時に『ソウルリリース』が使用できるようになり、以下の効果を得る。
〇戦闘開始時にソウルリリーストークンを一つ得る。
〇攻撃時に対象のHPとMPを減少させて、この効果で減少させた値が一定値を超えるたびにソウルリリーストークンを一つ得る。
『魂の代償』の効果は重複しない。
【ソウルリリース】
ソウルリリーストークンを任意の数だけ消費して発動できる。
自身の全ステータスが上昇して、攻撃時に無属性の追加ダメージを与える。
効果時間はソウルリリーストークンの消費数×10秒になる。
━━━━━━━━━━
付与効果は希望通りのものにして、効果もちゃんと火力に寄せたものにしておいた。
もちろん、『
「どうだ?」
「……想定以上」
この性能にはリッカも満足してくれたようで、そう言ってその場で腕輪を装着した。
「……値段は大丈夫?」
「少し安くはしてもらったが、正直あまり大丈夫ではないな」
【
他の装備品でも結構お金を使っているので、正直なところかなり厳しかった。
「まあ予算オーバーで一つしか作れなかったが、そこは許してくれ」
本来はリッカ用の装飾品を二つ作る予定だったが、予算的に厳しかったからな。予定を変更して一つだけにしたが、良い物はできたので、そこは許して欲しいところだった。
「……別に良い。ところで、ソウルリリーストークンは何?」
「む、そのことか」
ここで話は装備品に付与された効果についてのことになる。
「ソウルリリーストークンは段階のある特殊バフとして付与されて、それを消費することで『ソウルリリース』を使用できるとのことらしいぞ」
ソウルリリーストークンに関しては、『魂の代償』の下位効果である『魂の対価』で検証されたものになるが、仕様的には同じはずだからな。
それでも問題ないはずなので、調べておいた通りのものを説明する。
「……つまり、打ち消されることはない?」
「まあそうなるな」
特殊バフは通常の強化効果とは違って、打ち消されないようになっているからな。強化効果の打ち消し効果を受けてソウルリリーストークンを失うことはないので、そこは安心できそうだった。
「蘇生効果と『ブラックテンペスト』の兼ね合いは?」
「それは不明だ」
『ブラックテンペスト』にはHPが回復できなくなる効果があるが、この付与効果が付いた装備品の使用者が他にいないからな。
検証報告がないので、それが蘇生効果にどう影響を及ぼすかは全く分からなかった。
「……そう」
「他に聞きたいことはあるか?」
「……ない」
「そうか。では、このまま今後の方針について話すか」
装備品についての話はもう良さそうだからな。ここから今後の方針について話していくことにした。
「装備的にはもう試練に挑んでも良いと思うが、リッカはどう思う?」
「……同意見」
まあ装備品に関しては現状ではこれ以上の物を用意できそうにないからな。そこはリッカも同意見のようで、そろそろ挑戦を視野に入れても良さそうだった。
「では、挑戦時期はいつが良いと思う? 次のイベントが始まるまでには終わらせておきたいが」
次のイベントに関してはまだ発表もされていないので、開始時期も分からないが、一週間以内には始まりそうだからな。
それまでには終わらせておきたいので、できるだけ早く挑戦は始めたいところだった。
「……明後日」
「その理由は?」
「明日はホーリーホーンドラゴンの調査とアイテムの準備」
「ふむ……まあそれぐらいの時間はあるか」
まあ準備不足で突っ込むわけにも行かないからな。期間的にも余裕はあるので、明日を準備の時間に充てるのはありだった。
「では、必要な物は今日中にまとめ上げて報告してくれ。俺は魔法道具の開発でも続けておこう」
「……分かった。じゃあまた後で」
「ああ」
一緒に動く必要はなさそうだからな。そのままそこで別れた俺達は、引き続きそれぞれで試練に向けての準備を進めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます