episode144 魔法道具
拠点に戻った俺は早速、魔法道具の作製に取り掛かろうとしていた。
「さて、早速作ってみたいところだが、その前にミルファからもらった魔法道具を見てみるか」
参考にするためにもらったわけだからな。まずはそれらを見てみることにした。
「一つずつ詳細を確認してみるか」
受け取った魔法道具は三種類あるからな。ここは順番に詳しく見ていくことにした。
まず一つ目の魔法道具は何かの文字が刻まれたリングが取り付けられたガラス球だった。
その内部では炎と冷気が渦巻いていて、相反する二つの属性が混じり合って存在しているようだった。
ひとまず、その詳細を確認してみる。
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【
品質:50
効果:凍てつく炎
付与:なし
Cost:10/10
説明:炎と冷気が封じ込められた魔法道具。投げると爆発して、範囲内の敵に火属性と氷属性のダメージを与える。
【凍てつく炎】
範囲内の全ての対象に火属性と氷属性の魔法ダメージを与える。
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確認してみると、おおよそ予想通りの効果の魔法道具だった。
「ふむ……これは封印系の術式機構を使っているのか」
各魔法道具にはミルファのメモが添えられていて、この魔法道具の分のメモには封印系の術式機構を使って作られていることが記されていた。
どうやら、封印系の術式機構を使って炎と冷気を内部に封じているらしい。
「次はこれにするか」
次に俺が手に取ったのは五センチメートルほどの大きさの、
種は厚めの皮で覆われていて内部の状態は確認できないので、詳しい構造は確認できない。
とりあえず、こちらも詳細を確認してみる。
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【豊穣の種】
品質:50
効果:癒しの樹
付与:なし
Cost:15/15
説明:地面に投げることで樹が生成される魔法道具。樹からは癒しの力がある魔力が放出されるので、周囲にいる味方のHPが徐々に回復する。樹は複数本展開することはできないので、既に樹が展開されている場合は使用できない。
【癒しの樹】
樹の周囲にいる味方のHPを一定時間ごとに回復する。
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どうやら、この道具は樹を出現させて、その周囲にいる味方を回復させる回復用の魔法道具らしい。
「ふむ……樹にはHPが設定されていて、攻撃されると壊れると……」
また、付属されているメモによると、樹は効果時間が基本的に永続である代わりに、攻撃されてHPがゼロになると壊れるとのことだ。
「それで、使われている術式機構は増幅系のものか」
そして、この魔法道具に使われている術式機構は増幅系のもので、内部にある錬金で作った特殊な種を急成長させるために組み込まれているとのことらしい。
「さて、最後はこれだな」
最後に手に取ったのは研究用として受け取ったカンテラのような魔法道具だった。
この魔法道具は見た目こそカンテラのようだが、この道具全体が複雑な機構になっているようで、火種がある場所は強力な封印が掛けられていた。
こちらも同じように詳細を確認してみる。
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【オリジンorルイン――
品質:100
効果:究極錬金道具、核炎、
付与:究極の破壊力、弱り目に蜂、付与する魔力
Cost:0/100
説明:究極のエネルギーが
【究極錬金道具】
高度な錬金によって作られた、扱いにも知識が必要な魔法道具。
使用にMPの消費が必要になる。
また、このアイテムは【術式機構】と【古代術式】のアビリティのレベルが不足している場合や、特定のステータスボードのパネルを取得していない場合は使用することができない。
【核炎】
究極のエネルギーが
【
煉獄の炎は無限に続き、骨すら残さず果てさせる。
対象に最大HPが減少する効果と超過回復を無効にする効果と一定時間ごとにダメージを受ける効果を付与する。
【終わりの白炎】
このアイテムで対象に与える全ての効果が耐性及び免疫効果を無視して与えるようになる。
また、対象の強化効果を全て解除する。
さらに、対象の物理防御力と魔法防御力を低下させて、全属性耐性を50%低下させる。
加えて、対象の状態異常耐性と弱体耐性を低下させて、HPとMPの回復量を低下させる効果を付与する。
【究極の破壊力】
付与コスト:50
攻撃系アイテムのダメージ量が50%上昇する。
【弱り目に蜂】
付与コスト:30
対象に付与された状態異常と弱体効果の数に応じて攻撃系アイテムのダメージ量が上昇する(最大40%)。
【付与する魔力】
付与コスト:20
使用時に任意の量のMPを消費することで、アイテムの効果が上昇する(最大25%)。
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「何と言うか……今の俺から見るとオーバースペックだな」
どの程度のダメージ量なのかは分からないが、相当な火力があるだろうからな。
攻撃がメインだと思われるのに追加効果もエグいことになっているので、オーバースペックと言う他なかった。
「まあ俺には使えないし、返す必要もあるので、性能は関係ないか」
『究極錬金道具』の効果で使用制限が付与されているからな。
どうせ自分では使えないし、使えたとしても使うわけにはいかないので、性能はあまり気にする必要はなさそうだった。
「と言うか、超過回復とは何だ?」
それはそうと、『
この画面からその詳細を確認できそうなので、このまま確認してみることにした。
「ふむ……HPの最大値を超えて回復ができるのか」
どうやら、超過回復はHPの最大値を超えて回復できるシステムで、超過回復する効果のあるスキルやアイテムなどでHPの最大値を超えて回復することが可能らしい。
(HPが100%「以上」という文言を何度か見てきたが、それはこういうことだったか)
超過回復によってHPが最大値を超えるのであれば、HPが100%以上の値になるからな。
表記がHPが「満タン」や「最大」などではなく、「100%以上」となっていたのはそのためだったらしい。
「まあその話は置いておいて、肝心なメモは……ふむ、よく分からないな」
このアイテムに添えられたメモを確認してみると、そこには仕組みが詳しく書かれていた。
だが、その内容は非常に複雑で、残念ながら今の俺には理解できそうになかった。
(後で返しておくか?)
研究用に受け取ったは良いが、これだと持っていても意味がなさそうだからな。
これに関してはさっさと返しに行ってしまっても良さそうだった。
「まあ良い。何か作ってみるか」
これらの魔法道具を受け取った理由は新たな魔法道具を開発することだからな。
とりあえず、適当に何か作ってみることにした。
「魔法道具を作る上で重要になるのは術式機構だが……少し確認してみるか」
今まで詳しく確認していなかったからな。改めてそのあたりのことについて確認してみることにした。
「ふむ……やはり、使える術式は少ないな……」
俺の【術式機構】のアビリティのレベルは2、【古代術式】のアビリティのレベルは3だからな。
使用できる術式機構は【術式機構】のアビリティで封印系と拡散系の二つ、【古代術式】のアビリティで増幅系と基礎動作系と動力系の三つと、計五つだけだった。
「とりあえず、使えそうなアイテムを選定するか」
素材の種類は膨大だからな。まずは使う素材を決めることにした。
「氷属性の攻撃アイテムは作りたいし、【コールドスネークの牙】や【氷魔結晶】のあたりは候補か」
炎竜戦のことを考えると、氷属性の攻撃アイテムは欲しいからな。氷属性の素材であるこれらの物は最有力候補だった。
(いや、【氷魔結晶】は止めておくか)
【氷魔結晶】は【耐暑の宝珠】の素材になるからな。
今は【耐暑の宝珠】の需要が非常に高く、売れ筋商品であることを考えると、そちらの作製に回したいので、今回は【氷魔結晶】を使うのは止めておくことにした。
「【霊魂結晶】もありか?」
デバフ系の効果のあるアイテムを作れそうだからな。使い道に困って倉庫で
「【霊魂結晶】で作るなら、拡散系か増幅系のものが良いか」
基礎動作系と動力系は使えないだろうし、元々魔力が宿っていることを考えると封印系の術式も不要だろうからな。
ここは拡散系か増幅系のどちらかを使うのが良さそうだった。
(いっそのこと両方使うのもありか?)
両方組み込めばより強力になるだろうからな。試しに両方組み込んでみることにした。
「まずは錬金板に乗せてと……」
俺はいつものように錬金板の上に素材である【霊魂結晶】を乗せて、術式機構の付与を始める。
「このまま二つの術式を付与して……おわっ⁉」
だが、二つ目の術式を付与しようとしたところで、素材である【霊魂結晶】が爆発してしまった。
「ふむ……内部的に付与コスト的なものが設定されているのか……?」
一つ付与することはできたからな。複数付与することが可能なのはミルファから受け取った魔法道具で確認済みなので、内部的に付与コストのようなものが設定されているものだと思われた。
「とりあえず、一つだけ付与した物を作ってみるか」
一つだけであれば術式を付与できることは分かったからな。
ひとまず、一つだけ術式機構を組み込んだ物を作って、状態を確認してみることにした。
「……できたな」
作業はすぐに終わって、拡散系の術式を組み込んだ物と増幅系の術式を組み込んだ物が完成した。
完成したところで、早速その詳細を確認してみる。
「む、ダメか……」
しかし、これでは魔法道具として完成していないようで、これでは使うことができないようだった。
「やはり、別の機構も必要か……?」
【
単一の素材や術式機構で作られているのは【ウィンドボム】系統の物以外で見たことがないので、やはり、他の物と組み合わせる必要がありそうだった。
「とりあえず、【ベースクリスタル】を使って作ってみるか」
【ベースクリスタル】は術式機構の動力源にもなるようだからな。ひとまず、それと組み合わせて作ってみることにした。
(【霊魂結晶】には増幅系、【ベースクリスタル】には拡散系の術式を仕込んでみるか)
一つずつ仕込んだ上で合成すれば、二つの術式機構を組み込んだ物が作れるかもしれないからな。
ここは別々に術式機構を組み込んで、それを一つに合成してみることにした。
「……できたな。問題はこれらをどう合成するかだが……【霊魂結晶】を中心にして【ベースクリスタル】で覆う形にしてみるか」
術式機構を組み終わったところでどう合成するかを考えるが、メインになるのは【霊魂結晶】の方だからな。
ここは【霊魂結晶】をベースにするような形で作ってみることにした。
俺は【霊魂結晶】を錬金板の中心に置いて、その隣に置いた【ベースクリスタル】を変形させて一つに合成していく。
「む、覆う形にはならなかったが……まあ良いか」
【ベースクリスタル】を【霊魂結晶】に巻き付ける形になってしまったが、魔法道具として完成していれば問題ないからな。
とりあえず、このまま詳細を確認してみることにした。
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【
品質:30
効果:
付与:なし
Cost:15/15
説明:霊魂結晶の魔力を込めた魔法道具。投げると込められた魔力が解放されて、対象に災いを与える。
【
対象に確率で恐怖と呪いを付与する。
━━━━━━━━━━
「ふむ……案の定、状態異常付与系の効果だったか」
確認してみると、思った通りに状態異常を付与する効果だった。
「恐怖に呪いか……中々良さそうだな」
呪いは一定時間ごとにHPとMPが減少して、受けるダメージが増加するという強力な状態異常だからな。
作製は簡単なので、このアイテムは今後も使っていくことになりそうだった。
「とりあえず、この調子で作っていくか」
魔法道具の開発はまだ始めたばかりだからな。まだまだ開発は続ける必要があるので、その後ものんびりと魔法道具の開発を続けたのだった。
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