episode110 星界のアミュレットの性能
それから夜になってクオンと合流した俺達は今後のことについて話し合おうとしていた。
「二人とも、来たよー。ごめんね、遅くなって」
「そちらの都合もあるだろうからな。別にそこは気にしていない」
彼女には彼女の都合があるからな。こちらの都合でゲームに付き合わせるわけにも行かないので、別にそこは問題ない。
「動画はもう上げたのか?」
「うん。速攻で編集を終わらせて上げたよ。ついでに他の動画も編集してたら、夜になっちゃったけどね」
「そうか。……疲れていないか? 疲れたらちゃんと休めよ?」
「分かってるよ。……そんなに不安?」
「まあな」
クオンの生活力は決して高いとは言えないからな。彼女の性格的に無理をする可能性もあるので、少々心配なのは事実だ。
「ちょっと! 少しは信用してくれても良いじゃん!」
「お前のことをよく知っているからこそだ。……困ったら相談しろよ?」
「困ったらね。ところで、この後はどうするつもりなの?」
ここで話は本題であるイベントについての話になる。
「今後は
「問題?」
「ああ。その
クオンはそれなりに有名なゲーム実況者だからな。
彼女が参加していることが知られると、それを目当てに人が集まることは容易に想像できる。
そして、そうなると本人であるクオンにも、参加する他のメンバーにも迷惑が掛かるからな。
それでは困るので、そのあたりのことについて考える必要があった。
「なるほどね。それなら、あたしは参加しないでおくよ」
「良いのか、それで?」
ソロだと効率が落ちるだろうからな。本当にそれで良いのか確認を取る。
「【ギルドハーツの宝珠】までは後ちょっとだからね。それでも大丈夫だよ」
「そうか。悪いな、こちらの都合で動いてもらうことになって」
「シャム達と一緒だとかなり稼ぎの効率が良くて、すぐにポイントが集まったからね。むしろ、助かったのはあたしの方だよ」
「そう言ってくれると助かる」
こちらの勝手な都合にも関わらず、文句も言わずに受け入れてくれたからな。謝意を込めて、きちんと礼を言っておく。
「別にお世辞じゃないよ? リッカがいると安定するし、効率が良かったのは事実だからね」
「……俺はどうなんだ?」
「別にいなくても何とかなるって感じかな」
「おい」
確かにそれは事実だろうが、はっきりと言うのは止めて欲しいところだ。
「冗談だよ。ところで、そっちはどのぐらいポイントは集まってるの?」
「十三万ちょっとだな」
「じゃあ【星界のアミュレット】の品質を100にすることはできるね」
「まあそれはそうだな」
本体が一万、品質20アップが一回につき三万で、必要な貢献度ポイント合計十三万だからな。
もう品質が100の【星界のアミュレット】を作ることは可能な状態だった。
「……交換してみて」
「分かった」
交換はイベントが終了してから一週間までであればいつでも交換できるので、交換するのはイベントが終わってからでも良いのだが、交換する物は決まっているからな。
もうここで交換してしまって、性能を確認してみることにした。
俺は一万ポイントを消費して【星界のアミュレット】を交換する。
「ねえ。品質はちょっとずつ上げてみたら?」
「何故だ?」
「品質を上げるごとに効果が変わるかもしれないし、情報は欲しくない?」
「ふむ……それもそうだな」
そのあたりの情報は欲しいからな。品質を上げるごとにどうなるのかを確認してみることにした。
俺は品質を20ずつ上げていって、【星界のアミュレット】の効果を確認していく。
確認してみると、品質を上げるごとに効果が変化していった。
ちなみに、品質が80までの効果は順に以下のようになっている。
━━━━━━━━━━
【星の力】
星の力が装備者に力を与える。
戦闘時、靭力と理力が徐々に上昇する(上限は3%)。
【星の輝き】
星の輝きが装備者に力を与える。
戦闘時、靭力、理力、敏捷、効力が徐々に上昇する(上限は3%)。
【星界の力】
星の世界の力が装備者に力を与える。
戦闘時、靭力、理力、敏捷、効力が徐々に上昇する(上限は5%)。
さらに、戦闘時、全属性耐性が徐々に上昇する(上限は5%)。
【星界の輝き】
星の世界の輝きが装備者に力を与える。
戦闘時、全ステータスと全属性耐性が徐々に上昇する(上限は5%)。
さらに、装備者に応じた能力が上昇する。
━━━━━━━━━━
「確認はできたし、このまま完成させるか」
確認は済んだからな。そのまま品質を上げて100にすることにした。
「……できたね」
「そうだな」
完成したところで、早速、性能を確認してみる。
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【星界のアミュレット】
物防:10
魔防:10
耐久:100
重量:1
空S:3
品質:100
効果:星界の理
付与:なし
Cost:40/40
説明:星の世界の力が込められたアミュレット。その魔力は完全に覚醒していて、装備者の潜在的な力を引き出してくれる。
【星界の理】
星の世界の理が装備者に力を与える。
戦闘時、全ステータスと全属性耐性が徐々に上昇する(上限は5%)。
また、戦闘時に一定時間ごとにHPとMPが回復する。
さらに、装備者に応じた能力が上昇して、潜在する能力が引き上げられる。
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「潜在する能力が……」
「引き上げられる……?」
『星界の理』の説明を見た俺とクオンは説明を読み上げながら首を
「装備者に応じた能力が上昇するというのは何となく分かるが……」
「こっちはよく分からないね」
装備者に応じた能力値上昇は『根源解放』のように適した能力が上がるものだと思われるが、潜在する能力が引き上げられるというのはよく意味が分からなかった。
「それはそうと、コスト上限がさらに上がっているな」
「だね」
コスト上限は品質を80に上げた際にも10上がっていたが、品質を100にした際にもさらに10上がっていた。
「って言うか、強いのかな?」
「……ステの上昇速度とリジェネの回復量による」
クオンのその疑問に対して、リッカは一言そう答える。
まあこの説明文だけだと、そのあたりの詳しいことが分からないからな。
実際にどの程度のものなのかは確認できていないので、正確に評価するのは難しいところだった。
「まあそれもそうだね。ところで、付与効果を何にするのかは決めてるの?」
「いや、まだ決めていないな」
「そうなんだ」
イベント終了後から一週間は余裕があるからな。その間に新たな候補となる付与効果が見付かる可能性もあるので、付与するものはまだ決めていない。
「それじゃああたしはそろそろ行こうかな」
「そうか。では、またな」
そして、話が済んだところで、クオンは拠点を出て行った。
「……この情報どうする?」
「店で情報を取り扱っても良いが……別に公表してしまっても良い気はするな」
【星界のアミュレット】は今回のイベントの目玉報酬で、その性能は誰もが気にしていることだからな。
この情報は判明次第すぐに広まる可能性が高いので、伏せる必要性は感じなかった。
「リッカはどう思う?」
「……それを店に展示で良い」
「ふむ……それが一番良いか」
店では物品をただ展示おくこともできるからな。どうせイベントエリアには持ち込めないし、実物であれば信憑性も高いので、ここは店の宣伝も兼ねて実物を展示することで情報を開示することにした。
「では、この【星界のアミュレット】を展示したらイベントエリアに向かうか」
「……うん」
そして、そのまま【星界のアミュレット】を店に展示して、掲示板に匿名でこの件に関してのコメントを残したところで、イベントエリアに向かったのだった。
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