episode109 初イベントの今後の予定

 俺とリッカはデスペナルティの時間が切れたところで、木材の運搬で貢献度ポイント稼ぎをしていた。

 ひずみの狼との戦闘もしてみたいところだが、討伐ポイントは討伐されないと入らないからな。

 効率が分からないので、それが判明するまでの間は木材の運搬でポイントを稼いでおくことにしたのだ。


「この作業にも慣れたものだな」


 木材を入手してウェスティアに戻った俺は、そんなことを言いながら木材を納品する。


「……うん」

「同じことの繰り返しだが、イベントはこんなものなのか?」

「……基本的に周回に行き着く」

「そうか。……む?」


 と、そんな話をしていたところで、一つの通知が届いた。

 ひとまず、メニュー画面を開いて、その内容を確認してみる。


「どうやら、ひずみの狼の討伐ポイントが入ったようだな」


 確認してみると、それはひずみの狼の討伐ポイントが入ったことを知らせる通知だった。


「どれどれ……入ったポイントは約1300か」

「……こっちは約1500」

「む、リッカの方がポイントが多いのか」

「……回避タンクしてた分?」

「そうかもな」


 与えたダメージ量は俺の方がだいぶ多かったはずだからな。

 どうやら、前衛として攻撃を凌いでいたことが評価されて、ポイントが高くなったらしい。


「ポイント効率的には……状況にもよるが、トントンぐらいか?」


 移動時間はひずみの狼の出現場所によって変わるからな。時間効率については何とも言えないところだった。


「……ひずみの狼戦はやり方次第で効率上がる」

「まあそれはそうだが……」


 まだ行動パターンも把握し切れていないからな。詰められるところはまだまだあり、効率は上げられるので、うまくやれば木材採取よりも効率は良くなりそうだった。


「他のプレイヤーとも協力するのか?」

「……場合によっては」


 どうやら、他のプレイヤーと協力して挑むことも考えているらしい。


「とりあえず、少し掲示板で情報を探ってみるか」

「……うん」


 掲示板はひずみの狼についての話で盛り上がっているところだろうからな。

 ひとまず、掲示板を覗いて、情報を探ってみることにした。


「ふむ……思った通り、積極的に情報交換が行われているようだな」


 掲示板を覗いてみると、案の定そこではひずみの狼についての情報の交換が積極的に行われていた。


「……協力する計画もある」

「そのようだな」


 また、複数のパーティで協力して挑む計画を立てている者もいて、討伐に積極的に動いている者もいるようだった。


「どうする? 乗ってみるか?」

「……見極めは必要」

「慎重だな」

「……相手は選ばないと問題起こるし、グダる」

「まあそれもそうか」


 ガルアほどではないにしろ、問題を起こす人物もいるだろうからな。

 リッカの言うように、相手はきちんと選んだ方が良さそうだった。


「早速、探してみるか?」

「……人の増える夜にした方が良い」

「分かった」


 まだひずみの狼が実装されてからログインしていない者もいるだろうからな。

 協力相手を探すのは今日の夜からにした方が良さそうだった。


「そう言えば、ドロップアイテムを確認していなかったな。確認してみるか」


 それはそうと、ひずみの狼のドロップアイテムをまだ確認していなかったので、それを確認してみることにした。


「ドロップアイテムは……【ひずみの欠片かけら】だけか」


 確認してみるが、ドロップアイテムは【ひずみの欠片かけら】の一種類のみだった。


(詳細を確認してみるか)


 これが何なのかよく分かっていないからな。他の項目は見る必要がなさそうなので、とりあえず、説明の項目だけ確認してみることにした。



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ひずみの欠片かけら

 世界のゆがみが具現化した結晶。

 失われた神に代わって顕現したゆがんだ神の力が込められている。


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(世界のゆがみ……失われた神……ゆがんだ神……気になる単語はあるが、俺達が今握っている情報では分からないか)


 色々と気になることはあるが、今考えても何も分からなそうだからな。今の段階で考察するのは止めておくことにした。


「どうする? 通常エリアに送って、試しにこれで何か作ってみるか?」


 通常のエリアからイベントエリアにアイテムを送ることはできないが、逆にイベントエリア側から送ることはいつでもできるからな。

 向こうであれば自由に素材を使えて何かと都合が良いので、作業は通常のエリアで行いたかった。


 もちろん、向こう側に送ってしまうとこちら側に戻すことはできないが、こちらで使うことはないだろうからな。その点に関しては問題ない。


「……個数に余裕ができてからで良い」

「分かった。では、その方針で行こう」


 その性能が気になるところではあるが、【ひずみの欠片かけら】は貴重品になると思われるからな。

 今回でどれだけ入手できるかも分からないので、【ひずみの欠片かけら】を使って何かを作るのは、個数に余裕ができてからにすることにした。


「それで、この後はどうする? 木材を運ぶか? それとも、ひずみの狼と戦ってみるか?」


 後で本格的にひずみの狼と戦うことになることを考えると、できるだけ慣れておきたいからな。

 ひずみの狼との戦闘で貢献度ポイントを稼ぐというのも、選択肢としてはありだった。


「……今は安定して稼げる木材運びで稼いで、余裕を作った方が良い」

「まあそれもそうか」


 ペース的に余裕があるとは言え、目標のポイント数まではまだまだだからな。

 ひずみの狼戦は事故って一瞬で倒されるとほとんどポイントが入らないことを考えると、安定して稼げる木材運びでポイントを稼いでおいた方が良さそうだった。


「クオンは……まだ戻っていないか」


 ここでクオンがログインしていないかどうかを確認してみるが、彼女はまだ戻って来ていなかった。


「では、このまま二人で木材集めを続けるか」

「……うん」


 クオンは動画の編集もあって、まだ時間が掛かりそうだからな。

 このまま二人だけで東セントラル森林に向かって、木材集めを続行することにした。


 そして、その後は木材集めで貢献度ポイントを稼ぎながら、夜になるのを待ったのだった。

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