episode105 歪みの狼
ウェスティアを出発した俺達はいつものように東セントラル森林に向けて移動していた。
「さて、いつも通りに出発したは良いが……
探して見付かるようなものではないので、出会えるかどうかは運次第になる。
「……プレイヤー同士で情報交換すれば行ける」
「ふむ、その手もあるか」
他のプレイヤーと交流して、情報収集をするというのはありだった。
「まあその話は後で良いか」
今回の探索で見付かる可能性もあるからな。情報収集についての話は一旦置いておくことにした。
「とりあえず、このまま普段通りに木材を集めて、今回の探索で
「……うん」
「では、このまま行くか」
そして、リッカの了承も得たところで、普段通りに木材を採りに東セントラル森林へと向かったのだった。
◇ ◇ ◇
それから東セントラル森林で木材を入手した俺達は、そのままウェスティアの近くにまで戻って来ていた。
「そう簡単には出会えないか……」
いつものように木材を運搬したが、結局、
「……やっぱり、情報収集」
「そうするしかないか」
当てもなく探しても見付からないだろうからな。
ここはやはり、情報収集をして
「とりあえず、ゲーム内の掲示板を見てみるか」
「……うん」
一番ゲーム内の情報がやり取りされているのはゲーム内の掲示板だからな。まずはそこで情報を探ってみることにした。
俺達は歩きながらメニュー画面を開いて、ゲーム内の掲示板のページを開く。
「……検索機能を使うまでもなく見付かったな」
ページを開くと、イベントのことについて話しているスレッドが一番上にあったので、わざわざ探すまでもなく発見することができた。
(まあイベント期間中だし、それも当然か)
現在進行形で開催されている上に、新要素も追加されたからな。
今一番盛り上がっているであろう話題なので、トップにあるのも当然と言えた。
「……でも、それイベ総合スレ。鯖別の探した方が良い」
「む、それもそうか」
俺達が知りたいのは、このサーバーにおける
イベント総合スレッドではその情報は手に入らないので、サーバー別に話をしているスレッドを探してみることにした。
「俺達は三番サーバーだが……あったな」
画面をスクロールすると、該当するスレッドはすぐに見付かった。
早速そのスレッドを開いて、書き込みの内容を確認してみる。
「ふむ……遭遇したという報告が何件かあるな」
確認してみると、
「……討伐報告はなさそう」
「そのようだな。となると、報告のあった場所の近くにいる可能性が高いか」
まだ討伐されていないとなると、その周辺をうろついている可能性が高いからな。
ひとまず、報告を頼りに探すのが良さそうだった。
「とりあえず、発見場所と報告時刻をまとめてみるか」
報告は複数上がっているが、同じ個体の可能性もあるからな。
ここは一旦、発見場所と報告時刻をまとめて、情報を整理することにした。
「リッカは敵を警戒しておいてくれ。俺がメモしよう」
「……分かった」
ここはフィールドマップで、普通に敵がいるエリアだからな。
二人共がメモに集中すると、敵の発見が遅れる可能性があるので、ここはそれぞれで担当を決めて動くことにした。
俺はリッカが警戒に移ったことを確認したところで、スレッドの書き込みを見て発見場所と報告時刻をまとめていく。
「こんなものか」
そして、メモが済んだところで、掲示板を閉じてマップを開いた。
「後はこれをマップのピン機能を使ってと……」
マップにはピンを立てる機能があり、ピンに名前を付けることもできるからな。
その機能を使って、発見場所に発見時刻の名称を付けたピンを立てていく。
「……できた?」
「ああ。発見された
データをまとめてみた結果、現時点で発見されている
さらに、ここから一番近い位置にいる個体は、ウェスティアから南西にいる個体で、その個体は現在北に移動しているものだと思われた。
「木材を届けたら行くか?」
「……うん」
「分かった。では……む?」
と、方針が決まってウェスティアに戻ろうとしたそのとき、何者からか連絡が入った。
ひとまず、メニュー画面を開いて確認してみる。
「……クオンか」
確認してみると、それはクオンからの連絡だった。俺はすぐに彼女と通信を繋ぐ。
「何だ?」
「あ、シャム? 今良い?」
「ああ。構わないぞ」
「
「ああ。もちろん知っているぞ」
今から戦いに行こうと思っていたところだからな。もちろん、
「それなら話が早いや。それの撮影をしたいんだけど、一緒に来てくれない?」
「別に構わないぞ。ちょうど戦いに行こうと考えていたところだったからな」
「分かったよ。じゃああたしはウェスティアで待ってるね」
「ああ、すぐに行く」
そして、話がまとまったところで通信を切って、少し急ぎ気味にウェスティアに戻ったのだった。
◇ ◇ ◇
ウェスティアに戻ると、入り口付近でクオンが待っていた。
「あ、シャム。早かったね」
「まあ近かったからな。リッカ、木材を納品しておいてくれるか?」
軽く話をしておいた方が良さそうだからな。ここは木材の納品をリッカに任せて、その間に話をしておくことにした。
「……うん」
指示を受けたリッカはすぐに木材を納品しに向かう。
「さて、
「うん。情報は持ってる?」
「ああ」
軽く情報は集めたからな。現段階で分かっている情報は全て持っているつもりだ。
「それなら話が早いや。
「そのことについてだが、居場所の見当なら付いているぞ」
先程、居場所を絞ったところだからな。
「そうなの?」
「ああ。見てみるか?」
ここで俺はメニュー画面を開いて、ピンを立てた東セントラル平原のマップをクオンに見せる。
「うわー……よくこういう
「いや、そんなに
そのあたりのことに突っ込むのも面倒だからな。そこはスルーして話を進めることにする。
「とにかく、
「うん。それで良いよ」
「……納品した」
と、ちょうど話がまとまったところで、木材の納品を済ませたリッカが戻って来た。
「戻ったか。悪いな、任せて」
「……別に」
「とりあえず、このまま軽く準備を整えたら出発するが、それで良いな?」
「……うん」
まだ戻って来たばかりで準備が整っていないからな。これからボス戦を想定した準備を整えることにする。
「クオン、一度待たせておいて悪いが、もう少し待っていてくれるか?」
「分かったよ。それじゃあ街の入口で待ってるね」
「ああ。リッカ、行くぞ」
「……うん」
そして、その後は一旦拠点に戻って整理をして、準備が整ったところでウェスティアを発ったのだった。
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