episode97 物資と貢献度ポイント
それから出会った敵を倒しながら移動した俺達は、無事にウェスティアの街に辿り着くことができていた。
「着いたな」
「だね。何て言うか、楽勝だったね」
「まあ見た感じだと、スピリア荒原よりも難易度は低いようだし、こんなものではないか?」
このエリアの難易度はコスタル平野以上、スピリア荒原未満といった感じのようだからな。
既にそれらよりも難易度が高いエリアに進入したことがある俺達にとっては、容易に攻略可能だった。
「とりあえず、物資を渡しに行くか」
「そうだね。担当は……あの人かな?」
「恐らくそうだろうな」
ここで街の入口付近を見回してみると、街に入ってすぐの右手側のところに受付らしきものが設置されていた。
そこに並んでいる受付嬢は物資を渡していた者と同じ制服を着ているので、ここで物資の受け渡しをするものだと見て間違いなさそうだった。
「とりあえず、俺が話をしよう。……少し良いか?」
「はい、何でしょう?」
「セントラルから物資を運んで来たのだが、ここで渡せば良いのか?」
「はい。東セントラル大橋の修繕の件に関しては全てこちらで受け付けています」
「そうか」
どうやら、イベントの件に関してはここで全て取り扱っているらしい。
「……物資を持って来てくださったようですね。渡していただけますか?」
「ああ。リッカ、クオン、渡してくれるか?」
「……うん」
「はーい」
ここで俺は他のメンバーの物資を回収して、代表して物資を手渡す。
「十個ですね。確かに受け取りました。またのご利用をお待ちしております」
「ああ」
そして、物資を渡し終わったところで、俺達はその場を離れた。
「さて、貢献度ポイントは……1000ポイントか。物資一つにつき300ポイントといったところか?」
「みたいだね」
パーティで運ぶと、ポイントが等分されて入るからな。
一人当たり1000ポイントということは、合計ポイントは3000になるので、物資一つ当たりのポイントは300ポイントのようだった。
「そう言えば、必要なポイント数を確認していなかったな」
「そうだね。確認してみる?」
「そうだな」
それはそうと、各種アイテムの交換に必要なポイント数の確認をまだしていなかったからな。
今後のことを考えるためにも、ここで一度必要なポイント数を確認しておくことにした。
俺はメニュー画面からイベント情報のページを開いて、報酬アイテムのリストを確認する。
「ふむ、【ギルドハーツの宝珠】は五万、【星界のアミュレット】は一万か」
「でも、【星界のアミュレット】の品質アップと付与効果の付与にかなりポイントが掛かるね」
「問題はそこだな。品質アップは一回につき三万、付与効果の付与には一回につき一万か……」
「つまり、完全な状態にするには合計で十六万掛かるってことだね」
【星界のアミュレット】は初期状態ではあまり使えないからな。
品質を上げたいところだが、そのために要求されるポイントはかなりのものだった。
「それに対して、今回稼いだポイントは討伐ポイントを含めて約1100ポイントか……」
「かなり遠いね」
敵はあまり倒さずにスルーしていたので、討伐ポイントはあまり入っていないが、この調子だと百往復しても足りないからな。
【星界のアミュレット】を完全な状態にするにはかなりの手間が掛かりそうだった。
「……でも、そのぐらいなら余裕」
「確かに時間的にはそうかもしれないが、問題は途中でアイテムが尽きないかどうかだな」
リッカの言うように時間的には不可能ではない。
だが、必要なアイテムはイベントエリアで補充する必要があるので、途中でアイテムが尽きてしまう可能性があった。
「ってなると、いかにアイテムを節約したり、補充できる環境を整えるのかが重要そうだね」
「そうだな」
どうしても回復ポーションなどのアイテムは必要になるからな。
アイテムに関しての制限があるこの環境では、アイテムの節約や安定して補充できる環境を整えるのも重要になりそうだった。
「まあそうは言っても、俺達の戦闘スタイルだとあまりアイテムは使わなそうだし、大きな問題にはならなそうだがな」
そうは言うものの、【矢】と【クラフトマテリアル】は例外的に補充できるし、戦闘スタイル的にダメージを受けることはあまりないからな。
HP回復用のアイテムはあまり必要ないので、俺達にとってその重要度は低かった。
「それもそうだね」
「とりあえず、木材採取の方も試してみないことには計画も立てられないか」
木材採取の方が難易度が高く設定されていて、獲得できるポイントが高いだろうからな。
計画を立てるには正確な獲得ポイントを知っておく必要があるので、そちらの方法でどの程度のポイントを獲得できるのかを確認しておきたいところだった。
「まあそれはそうだけど、あたしは【ギルドハーツの宝珠】の回収だけで済ませようかな」
「良いのか? まだ木材採取の方の効率も分かっていないが?」
まだ木材採取は行っておらず、その効率も分かっていないからな。
そういったことを考えるのは、それが分かってからで良いように思える。
「そこまでの時間はなさそうだからね。そのぐらいにしておくよ」
「……そうか」
まあクオンは何かと忙しいだろうからな。それも仕方がないことか。
「まあ狙えたら【SPアップの巻物】も狙うけど、無理するつもりはないかな」
「そうか。一万五千ポイントだが、リッカは取らないのか?」
「……取れたら取るけど、限定品が優先」
「そうか」
まあSPはアビリティのレベルが上がれば増えるからな。【SPアップの巻物】に関しては無理をする必要はないか。
「ところで、橋の修繕への協力で入るポイントは確認しなくて良いの?」
「それもしておきたいところだが……とりあえず、受付嬢に聞いてみるか」
イベントのことについては彼女達に聞くのが良さそうだからな。先程の受付嬢に話を聞いてみることにする。
「少し良いか?」
「何でしょうか?」
「橋の修繕のことについて聞いても良いか?」
「必要な物品の納品の件ですね。かしこまりました」
それを聞いた受付嬢は一拍置くと話を続ける。
「納品についてですが、こちらの指定したアイテムを納品していただくことになります」
「そうか。指定のアイテムはどうなっているんだ?」
「こちらになります」
そして、受付嬢がそう言うと、俺達の前に納品アイテムのリストが表示された。
(消費アイテムと木材を加工した【修理用木材】が納品対象のようだな)
リストを確認してみると、納品対象となるアイテムは指定された消費アイテムと、木材を加工することで作ることができる【修理用木材】の二種類の物が納品対象となっていた。
「【修理用木材】を作るための木材はどうすれば良いんだ?」
「納品された木材を提供しますので、それを使っていただくことになります」
「そうか」
どうやら、作製に必要な木材は納品された物から提供されるので、わざわざ採りに行く必要はないらしい。
まあこちらは生産系のプレイヤーに向けたものになっているので、それも当然と言えばそうかもしれないが。
「【修理用木材】を作製なさいますか?」
「いや、今は止めておこう」
今はクオンも一緒だからな。この時間をアイテムの作製に使うのは勿体ないので、今は止めておくことにする。
「そうですか。また何かありましたらご相談ください」
「ああ」
そして、納品に関しての話を聞き終わったところで、他のプレイヤーの邪魔にならないようにその場を離れた。
「……で、この後はどうするの?」
「とりあえず、木材の採取だな」
一番効率が良いと思われる方法で、どの程度のポイントになるのかが気になるところだからな。
ひとまず、準備が整い次第、木材の採取に向かうことにする。
「分かったよ」
「では、装備品の耐久度の回復を済ませたら行くか」
「……うん」
「はーい」
そして、その後は一度拠点に向かって、装備品の耐久度の回復を済ませてから木材の採取に出発したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます