episode78 指輪の作製
拠点に戻った俺は早速アイテムの作製に取り掛かっていた。
「さて、まずは適当な物で指輪の作製を試してみるか」
いきなり本命の素材を使って失敗すると困るからな。まずは適当な素材で試してみることにした。
「金属類の素材はコーラルアにするか」
一番安いアイアン金属でも良いのだが、大きさ的にナゲットで十分だからな。
コーラルア金属であれば、金属糸の作製を試したときにナゲットにした物があるので、それを使って試してみることにした。
「宝石類は……とりあえず、これで良いか」
宝石類も別に何でも良いので、一番数が多かった【レッドジュエル】を使って作ることにした。
俺はいつものように【コーラルアナゲット】を赤熱するまで加熱して、それをハンマーで叩いて形を整えていく。
(これは手間が掛かりそうだな……)
うまくリング状に整える必要があるからな。
いつもよりも細かい作業になるので、今回は少々時間が掛かりそうだった。
「……む、冷めたか」
だが、時間が掛かったせいか、作業中に金属が冷めてしまっていた。
仕方がないので、再度炉に入れて加熱して、作業を続行する。
「ふぅ……できたな」
そして、二回目の加工で無事に目的の形状に変形させることに成功した。
「後はここに【レッドジュエル】を
仕上げに【レッドジュエル】を窪みに
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【赤宝石の指輪】
耐久:50
空S:0
重量:0
品質:25
効果:火耐性(小)、火の付与力
付与:なし
Cost:0/5
説明:レッドジュエルをあしらった指輪。宝石の力で火耐性が上昇する。
【火耐性(小)】
火耐性が3%上昇する。
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確認すると、狙い通りにアイテムとして完成していた。
(慣れるまでは一発で行けそうにないな……)
MPの消費が増えてしまうので、できれば一回で終わらせたいが、武器の作製よりも精密な作業が必要だからな。
慣れないと一回で終わらせることはできなさそうだった。
「……それで、何故付与コストが消費されているんだ?」
それはそうと、この指輪には付与効果を付けていないのに、何故か付与コストが消費されてしまっていた。
「もしかして、これが原因か?」
だが、一つだけ思い当たる原因があった。
それは『火の付与力』だ。これは付与効果ではなく効果として付与されているが、付与されていることには変わりないからな。
他に原因だと思われるものも見当たらないので、これが原因だと思われた。
(察するに、付与コストを5消費して効果に『火の付与力』を付与できるといったところか)
考えられる可能性としてはそれぐらいだからな。
『火の付与力』の付与には付与コストを5消費する物だと思われた。
「……余ったコストを活用するためのシステムか?」
付与効果は三つまでしか付与できないからな。
これは付与効果を三つ付与した上で、余った付与コストを有効活用するためのシステムだと思われた。
「となると、今使っている物とは別に鍛冶用のハンマーを作った方が良いか?」
意図せずに付与コストを消費してしまう可能性があるからな。
今使っている『火の力』が付与された物の他に、鍛冶用のハンマーを作ることを検討しても良さそうだった。
「……まあ気を付けていれば問題ないし、大丈夫か」
とは言っても、気を付けておけば防げることだからな。
追加の鍛冶ハンマーの作製は保留することにした。
「とりあえず、指輪を作れることは分かったし、使う素材を考えるか」
指輪の作製方法は確立できたからな。次は使う素材を考えていくことにした。
「まず、付与コストを20以上は確保しないとな」
『
「となると、金属はクロライト製、できればリザルライト製が良いか」
最低でもクロライトを使わないと、必要な付与コストを確保できないだろうからな。
金属はクロライトを使うことに決定した。
「【シルバーコッコの嘴】から付与効果を移す必要があるが……まあ適当に合成すれば問題ないか」
金属は【アイアンインゴット】プラス【コッコの嘴】で【コッコアイアンインゴット】、【クロライトインゴット】プラス【リザードマンの擬宝核】で【リザルライトインゴット】のように、決められた組み合わせで特定の合金が完成する。
かと言って、適当な組み合わせで作ると失敗するということは基本的にない。
適当な組み合わせで作っても粗合金になるので、合金にして付与効果を移すことは可能だ。
もちろん、【デヴェストインゴット】と【スケルトンの骨】を合成しようとしたときのように、相性が悪いと失敗することもあるが、今回は金属に近い物同士の合成だからな。
付与効果の移し替えに関しては特に問題なさそうだった。
「となると、決めるべきは使う宝石類のアイテムだな」
金属の問題は解決したので、次は使う宝石類のアイテムを決めることにした。
「知っているアイテムの中で性能が良いと思われるのは……【自然の結晶】か【リザードマンの擬宝核】になるな」
宝石類のみを表示するようにフィルターを掛けて図鑑を見てみると、この二つが最有力候補の素材になりそうだった。
【リザードマンの擬宝核】は意外だが、これも宝石類に分類されている。
「まあこれなら【リザードマンの擬宝核】の方が良いか」
【自然の結晶】は入手が難しいし、手元にもないからな。
【リザードマンの擬宝核】であればリッカが勝手に狩って来た分で手元にあるので、ここはそちらを使うことにした。
「ただ、問題は大きさだな」
だが、この大きさでは指輪に付ける宝石にはできないからな。何とかして大きさを調整する必要があった。
「雑に割るわけにはいかないし、ここはやはり錬金が良いか」
ハンマーで割ったりすると大きさを調節できないし、粉々に砕ける可能性もあるからな。
ここは錬金で分割してみることにした。
俺は錬金板に【リザードマンの擬宝核】を乗せて、そのまま錬金を始める。
「おわっ⁉」
だが、変形させようとして魔力を込めると、【リザードマンの擬宝核】が爆発して粉々になってしまった。
「…………」
もちろん、それによってアイテムはロストしてしまっていた。
「……他の素材を使うか」
【リザードマンの擬宝核】は後一個しかないからな。
リザルライト用にも必要になるので、ここは他の素材を使うことにした。
「となると、【ブラクジェット】あたりが候補になるが……【竜脈鉱】も試してみるか?」
【竜脈鉱】の説明にはかなりの魔力が込められているとあるからな。
先程作った【赤宝石の指輪】の性能を考えると、中石に使った素材の影響をかなり受けるようなので、中石として【竜脈鉱】を使ってみるのも悪くなさそうだった。
「問題は中石としてしようできるかどうかだが……まあ試せば良いか」
中石として使用できるかどうかは分からないが、試せば分かる話だからな。
とりあえず、試してみることにした。
俺は【竜脈鉱】を錬金板に乗せて、魔力を込めて分割を始める。
(爆発はしなかったな)
【リザードマンの擬宝核】は同じ手順で爆発を起こしたが、こちらは特に問題なく分割することができた。
「これで良いな。では、作るか」
そして、そのまま【赤宝石の指輪】を作ったときと同じ手順で、【コーラルアナゲット】と分割した【竜脈鉱】を使って指輪を作製した。
「……できたな」
完成したところで、早速その性能を確認してみる。
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【竜脈の指輪】
魔防:3
耐久:50
重量:0
空S:0
品質:30
効果:竜の目覚め、火の付与力
付与:なし
Cost:0/5
説明:竜脈鉱を中石として使った指輪。竜脈鉱の力を完全には引き出せていないが、これでも十分効果はある。
【竜の目覚め】
覚醒の片鱗を見せる竜の力。
自身が竜人なら全ステータス値が上昇する。
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「これは中々良さそうだな」
竜人専用の良さげな効果が付いたからな。このままこれを使ってリッカ用の指輪を作製したので良さそうだった。
「さて、このまま作製に移りたいところだが……一度、粗合金になるかどうか試した方が良いか?」
リザルライトと【シルバーコッコの嘴】の組み合わせは試したことがないからな。
『
「……まあ良いか」
だが、それを試すには【リザードマンの擬宝核】をもう一つ手に入れる必要があるからな。
それも面倒なので、このまま作製に移ることにした。
まずは【クロライトインゴット】と【リザードマンの擬宝核】を合成して【リザルライトインゴット】を作製する。
そして、それに『
「ちゃんと粗合金になったな」
すると、無事に【リザルライト粗合金インゴット】という名称の粗合金が完成していた。
もちろん、『
「では、このまま一気に完成まで持って行くか」
粗合金になることは確認できたからな。作製の手順は分かっているので、このまま一気に完成まで持って行くことにした。
まずは錬金で【リザルライト粗合金インゴット】をナゲットにして、それを炉で加熱してリング状に整える。
そして、そこに分割した【竜脈鉱】を中石としてセットして、指輪を完成させた。
その性能は以下のようになっている。
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【竜脈の指輪】
魔防:3
耐久:70
重量:0
空S:0
品質:40
効果:竜の目覚め
付与:
Cost:0/20
説明:竜脈鉱を中石として使った指輪。竜脈鉱の力を完全には引き出せていないが、これでも十分効果はある。
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「ふぅ……リッカに連絡をしたら、少し休むか」
そして、何とかリッカ用の指輪を完成させた俺は、彼女に戻るよう連絡してから休憩を入れたのだった。
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