Origins Tale Online ～物質使いと神速竜姫～

episode72 魔力炉の補助機構

「リッカはまだ戻っていないか」

　スピリア遺跡の攻略を中断した俺は適当に歩いて拠点に戻って来たが、リッカはログアウトしているので、そこにはいなかった。

「まあデスペナルティが切れたら勝手に戻って来るか」

　ログアウトしているのはデスペナルティがあるからだろうからな。

　それが切れたら勝手に戻って来ると思われるので、俺は一人で作業しておくことにした。

「【コッコの羽】と【コッコの鶏冠（とさか）】は……集まっていないか」

　抽選券と交換できるように設定していたが、まだ交換者は現れていないようで、【コッコの羽】と【コッコの鶏冠（とさか）】は集まっていなかった。

「とりあえず、魔力炉の補助機構を作るか」

　不足していた【ストーンゴーレムコア】は手に入ったからな。

　まずは魔力炉の補助機構を作ってみることにした。

「必要な素材は術式機構を組み込んだ素材と金属素材は共通で、それに加えて【魔力増幅機構】には魔力結晶系素材、【火力増幅機構】には火属性の魔力結晶系素材か。とりあえず、【魔力増幅機構】から先に作るか」

　今回作る魔力炉用の補助機構は消費ＭＰを軽減する【魔力増幅機構】と火力を上げる【火力増幅機構】だが、ここはひとまず、【魔力増幅機構】から作ってみることにした。

「良い素材を使った方が性能が上がるのだろうが、どうするか……」

　素材はある程度自由に決めることができるからな。

　素材が良いほど性能が上がると思われるので、素材をどうするかはちゃんと考えた方が良さそうだった。

　まず、術式機構を組み込んだ素材は【ストーンゴーレムコア】しかないので、選択肢はない。

　次に金属素材についてだが、こちらは現時点で最高性能の【クロライトインゴット】を使うか、妥協して【デヴェストインゴット】を使うかの二択になりそうだった。

「……まあどうせその内新調することになるだろうし、今回は少々適当でも良いか」

　どうせゲームが進めば性能が高い物を新しく作ることになるだろうからな。今回は妥協気味に作ることにした。

「とりあえず、素材は【ストーンゴーレムコア】と【デヴェストインゴット】に決まったし、魔力結晶系の素材を作るか」

　魔力結晶系の素材であれば【霊魂結晶】が該当するのだが、装備品にすると強烈なデメリット効果が付くこれをそのまま使うのは不安だからな。

　今回は他の素材を作って、それを使うことにする。

「まずは【ベースクリスタル】を作るか」

　目的の【マナクリスタル】の作製には【ベースクリスタル】が必要だからな。まずはそれを作ることにした。

「素材は【クリスタルの欠片（かけら）】で良いか」

　【ベースクリスタル】はクリスタル系の素材を使えば作れるので、今回は採掘で手に入れた【クリスタルの欠片（かけら）】を使って作ることにした。

「大きさ的に考えて、五個あればちょうど良いか」

　まずは五個の【クリスタルの欠片（かけら）】を錬金板に乗せて、それを一つになるように合成していく。

「……こんなところか」

　合成はすぐに終わって、五つの欠片（かけら）は一つのクリスタルになった。

「次はこれだな」

　無事に合成できたところで、俺は【マナの実】を取り出す。

　これは【基本ＭＰ回復ポーション】の素材になる木の実で、説明によると、この木の実には魔力が蓄えられているとのことだ。

　この魔力をクリスタルに移せば【ベースクリスタル】ができるはずなので、早速、作業に取り掛かることにした。

「今回は少し違うが……まあ同じようにやってみるか」

　今回はアイテム同士を合成するのではなく、魔力を移す作業になるからな。

　普段の錬金とは少し違うが、とりあえず、いつものやり方でやってみることにした。

　俺はクリスタルと【マナの実】を錬金板の上に置いて、いつものように錬金作業を進めていく。

　すると、【マナの実】から靄（もや）のように漏れ出た白い光がクリスタルに吸収されていった。

「……これで完成か？」

　【マナの実】から光が出なくなったところで止めて、クリスタルの状態を確認する。

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【ベースクリスタル】

品質：10

効果：低純度

付与：なし

説明：魔力が込められた結晶。魔法道具のベースや術式機構の動力源になる。

【低純度】

　純度の低い物質。このアイテムを素材にして作製したアイテムの効果が低下する。

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　確認すると、無事に【ベースクリスタル】が完成していた。

「できたは良いが……作り直した方が良いか？」

　だが、このアイテムにはデメリット効果が付いてしまっていた。

「……いや、手元にある素材だと、どれも同じか」

　そうは言っても、手元にある素材だと大した物は作れそうにないからな。

　このままこれを使って目的のアイテムを作ることにした。

「同じようにすれば作れるか？」

　【マナクリスタル】は【ベースクリスタル】にさらに魔力を込めれば作ることができるはずだからな。

　先程と同じように【ベースクリスタル】と【マナの実】を錬金板に乗せて、錬金を始める。

「……できたな」

　そして、先程と同じ手順で魔力を込めて、目的の【マナクリスタル】が完成した。

「これでようやく【魔力増幅機構】が作れるな」

　【魔力増幅機構】の作製に必要な物はこれで集まったからな。

　このまま【魔力増幅機構】の作製に移ることにした。

「金属で枠を作って、術式機構を組み込んだ素材と動力源となる素材を組み込むといった感じか」

　作製方法は分かっているからな。手順に沿って作っていくことにした。

　まずは【デヴェストインゴット】を板状に変形して、その上に【ストーンゴーレムコア】と【マナクリスタル】を乗せる。

　そして、もう一つの【デヴェストインゴット】を変形させてそれを覆って、そのまま形を整えて完成させた。

「ふぅ……やっとできたな。とりあえず、確認するか」

　これで問題ないとは思うが、一応できているかどうか確認してみる。

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【魔力炉用魔力増幅機構】

品質：20

効果：消費ＭＰ軽減

付与：なし

説明：魔力炉用の魔力を増幅する装置。魔力を増幅することで消費ＭＰする軽減する。

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「できているな。このまま一休みしたいところだが、【火力増幅機構】も作ってからにするか」

　一休みしたいところだが、【火力増幅機構】をまだ作っていないからな。

　手順もさほど変わらないので、このまま【火力増幅機構】を作ってから休憩にすることにした。

「【ベースクリスタル】を作ってと……これで良いな」

　まずは先程と同じようにして【ベースクリスタル】を作製する。

「火属性の素材には……【原初の石】を使うしかないか」

　火属性の魔力結晶系素材には火属性の素材が必要だが、手元にある火属性の素材は【原初の石】しかないからな。

　煉獄火山に行けば火属性の素材は手に入るだろうが、耐暑装備がない以上はどうしようもないので、レア素材ではあるが、今回はこれを使って作ることにした。

　俺は【ベースクリスタル】と【原初の石】を錬金板に乗せて、【原初の石】の魔力を【ベースクリスタル】に移していく。

「……できたな」

　すると、今度は【フレイムクリスタル】というアイテムが完成した。

「このまま一気に完成させるか」

　後一手間だからな。手順は同じなので、このまま完成まで持って行くことにした。

「……これで完成だな」

　そして、先程と同じようにして【魔力炉用火力増幅機構】を完成させた。

「……そろそろ魔法道具の開発にも着手した方が良いか？」

　折角【ベースクリスタル】を作ったわけだからな。

　戦闘スタイルは決まっているので、そろそろ魔法道具の開発に手を出しても良さそうだった。

「……まあ少し休むか」

　ちょうど一区切りついたところだからな。ここは軽く休憩してから次の作業に取り掛かることにした。